今回は、防災グッズの売れ筋をヨドバシカメラ 新宿西口本店に取材しました。

9月1日の「防災の日」が近づいていますが、防災グッズの売れ行きはシーズンを問わなくなっているようです。同店の家電コンシェルジェチームに属する今井敏隆氏は「大きな地震や大雨のニュースがあると、コーナーに来られる方が明確に増える印象があります。その気になったときにしっかり備える、という人が多いのかもしれません」といいます。

  • ヨドバシカメラ 新宿西口本店 マルチメディア館北館8階にある防災グッズ売り場。前回に引き続き今井敏隆氏に案内してもらった

加えて、アウトドアブームの影響も見られるそうです。「防災グッズはアウトドアでも便利に使えるものが多くあるので、万が一の備えとしつつ、別のシーンも浮かべつつで買われる方も珍しくありません」

そうした傾向を踏まえて、最近の売れ筋ランキングを見ていきましょう。

<防災グッズ選び3つのポイント>

  • 必要なモノは人や住まいによってさまざま。自宅でしっかりシミュレーションしてから来店するのがベター。
  • ひととおり揃えても1万円いかないことも多い。一度の買い物でコンプリートを狙うのもあり。
  • 普段使いやアウトドア用途などが可能なグッズも多い。そういう観点で品定めするのも楽しい。

※本文や写真で掲載している価格は、2022年7月12日14:30時点のもの。日々変動しているので、参考程度に見てください。

第1位:3モードで使える懐中電灯「ESB002C」

一番人気に挙げられたのは、自社ブランドの「3ウェイスポットライト小 ESB002C」でした。LEDを使った懐中電灯で、机に置いて柄を光らせるランタンモードと、ライトを点滅させる緊急通知モードも使えます。取材時の価格は2,010円でした。

「とりあえず何かあったときに役立つということで選ばれるのが懐中電灯です。このモデルは3wayの使い方ができるうえ、ヘッドが強力マグネットになっているので、スチール製のフレームなどに固定して光らせることもできます。アウトドアにも便利ということで、ジャンル内でも鉄板の人気アイテムとなっていますね」

  • ヨドバシカメラ「3ウェイスポットライト小 ESB002C」

  • ランタンモードで光らせたところ

第2位:複数買いが多い、備えの鉄板「突ぱり耐震ポール」

続く2位には、平安伸銅工業の「突ぱり耐震ポール(地震対策用 家具転倒防止突っ張り棒)」シリーズがランクインしました。家具と天井などの隙間に取り付ける転倒防止具で、耐圧200kgの効果があります。2本で一対となっており、長さによって5つのラインアップがあります。最短の「超ミニ」(22~27cm)の価格は2,200円、最長の「LL」(65~100cm)の価格は3,200円でした。

「地震のニュースが流れたあとなどに、家中の家具の対策をしようということで買いに来られる方が増える鉄板商品です。必要な本数は各ご家庭で異なりますから、売れる長さやセット数はまちまちですね。同時に、薄型テレビや液晶ディスプレイ用の転倒防止ゲルもよく売れます」

  • 平安伸銅工業「突ぱり耐震ポール(地震対策用 家具転倒防止突っ張り棒)」

  • 耐震ゲル売り場。耐震グッズはまとめ買いされる傾向が強い

第3位:断水では欠かせない「携帯トイレ」

3位は、ジャンル全体ということで「携帯トイレ」がピックアップされました。子ども用で2回分の凝固剤と袋をセットにした旭電機化成の「ABO-20」(326円)や、身体全体を覆うポンチョをセットにした香彩堂の大人用2回分トイレ「Mzコンパクトイレ CPT-PON2」(1,310円)など、複数の製品が売り場に並んでいますが、それぞれまんべんなく売れているそうです。

「災害時の断水に備えて揃える人や、渋滞時に子どもの緊急用に揃える方、あとはアウトドア用に試してみようとという方、それぞれの目的で買われていきますね。10回分で1,000円強の製品もありますし、備える期間や人数でも選び方が変わってくると思います」

  • 緊急トイレコーナー

第4位:シンプルに防災したい人の強い味方「防災セット」

4位に入ったのは、旭電機化成の「防災セット15点 ABO-52」です。緊急持ち出し袋やカッター、軍手、懐中電灯、絆創膏など15点の災害時に役立つアイテムをセットにした製品で、価格は3,580円でした。

「こちらはアウトドアなどの活用は考えず、とにかく素早く災害に備えたいという人に人気ですね。最低限揃えるべきアイテムの目安にもなりますし、『とりあえずコレ』というふうに買われていくことも多い製品です」

  • 旭電機化成「防災セット15点 ABO-52」

第5位:アウトドア需要も伸びている「ウォータータンク」

5位も、ジャンル全体でのランクインとなります。小さくまとめられるタイプのウォータータンクで、タンゲ化学工業の10Lモデル「ジャバテン」(1,380円)や、富士商の8Lタイプ「F2262」(592円)、5Lタイプ「F2255」(448円)などが該当します。

「アウトドア用に買われることも多いアイテムですが、防災グッズとしても注目されていますね。普段の置き場所を取らず、いざというときはしっかり水をためておける安心感は絶大ですから」

  • 小さくまとめられるウォータータンクの売り場

はみ出し情報・・・夏場でも冬のことまで考えて備えたい

防災グッズは、いつ起きるかわからない災害時を想定して揃えることになります。今井氏は「夏場でも冬のことも考えて買い物するほうが安心です」と言います。

売り場には防寒グッズも並べられており、一式買いする人にはやはり夏場でもそれなりに需要があるとか。「夏や秋でも雨のなかで過ごすと体温を奪われますから、アルミシートや防寒ポンチョなどは重宝します。安全な睡眠を考えて寝袋なども揃えておくのも良いと思います」

  • 防寒グッズが並ぶコーナー