富士通コネクテッドテクノロジーズが、「arrows」シリーズの2019年夏モデル新商品・新CM発表会を開催した。新CM発表では、出演者の小栗旬さん、山田孝之さんが登場、撮影秘話などの話題でおもしろおかしいトークセッションを繰り広げた。
スマホ市場の停滞ムードに懸念
同社は事業戦略「5つのarrows新商品」を紹介するとともに、今後の事業展開として、端末事業のみならず、軸足をソリューション系にも置く方向でのビジネスを示唆した。
同社代表取締役社長の高田克美氏は、現在のスマートフォン端末市場のムードが下がり気味であることを懸念する。その背景には、米国主導による、ファーウェイの通信市場からの締め出しなどがあるわけだが、この件については、特定企業の問題としてのみならず、市場全体の空気を沈滞させる可能性があることを同氏は示唆する。
つまり、今、スマホを購入するのはちょっとやめておいたほうがいいといったムードを社会全体に醸し出す可能性が出てくるということだ。2020年に東京五輪を控え、5Gネットワークのスタートも間近になってきている今、この状況は決して楽観視できるものではない。
高田氏は慎重に言葉を選びながら、このムードについて言及、当然のことながら、あまり歓迎することではないとする。同社がコンシューマー向けの端末のみならず、翻訳端末を提供したり、ソリューション系のビジネスに力を入れ始めようとしているのは、この停滞するムードの影響を最小限に抑える意図もありそうだ。
ピースが1つ欠けるだけで未来は遠のく
今回の件で、個人的に強くした想いとしては、通信に限った話ではなく、世界の知恵の集合体がさまざまなエンドユーザー製品とそれをとりまく環境を成立させているということだ。そのジグソーパズルのピースがひとつでも欠けてしまえば、われわれの豊かな未来は崩壊する。手の届くところにあったはずの未来が、ずっと遠くに行ってしまうのだ。高田社長のいうように、そのことは、社会全体のムードを沈んだものにしてしまう。そして、それは企業にとって明日は我が身かもしれない。
残念ながら、これを解決に導く最良の方法は今すぐ思いつかない。それはどの企業も同様なのだろう。しかし、今回の件については何もコメントすることはできないと口をつぐむ企業が多い中で、富士通コネクテッドテクノロジーズはちょっと違っていた。抱いているであろういわゆる危機感を、公に見解として明らかにしたのは勇気がいることだっただろう。
一般的な論調は、ここで「早期の解決を望みたい」とするわけだが、それではその「解決」とは何なのだろうと考えこんでしまう。
(山田祥平 http://twitter.com/syohei/ @syohei)