Macには「存在するが見えない」フォルダがいくつも存在します。そのひとつ「ライブラリ」は、かつてのバージョンのmacOSでは普通に見えていたものが、Lion(Mac OS X 10.7)のときから初期設定で非表示となりました。なぜ非表示にされたのか、具体的な事例を紹介しつつ説明してみましょう。

「ライブラリ」が非表示になった理由

Macの"顔"ともいえる存在の「ファインダー」は、単なるファイルブラウザではなく、macOSというシステムの代名詞に近い存在です。使いやすさはもちろんのこと、ユーザにファイル/フォルダがどう見えるか、どう見せるかまで入念に考慮された設計が特長です。

ただしこのファインダー、ユーザに"ありのまま"を見せるわけではありません。ユーザにとって不要な情報、目に入れると混乱する情報は、そのままユーザに見せるとデメリットが生じる可能性があります。システムが利用するファイル/フォルダは、誤って削除/改変すると異常動作にもつながります。

「ライブラリ」フォルダが非表示扱いになった理由も、そこにあります。このフォルダは、一般アプリケーションの一時ファイル(キャッシュ)保存領域として利用されるほか、システムアプリケーションが設定情報を保存する領域としても利用されます。うっかり削除/改変されるとダメージが大きいファイルが多く含まれるため、フォルダ全体を非表示にしたというわけです。

とはいえ、フォントを追加する場合(下位の「Fonts」フォルダにフォントファイルをコピー)など、「ライブラリ」フォルダを直接読み書きする場面もあります。アプリの設定を初期化するために、プロパティリストファイル(拡張子は「.plist」)を削除したいときもあるでしょう。

そんな場合は、手動で「ライブラリ」フォルダを表示します。操作はかんたん、ファインダーの「移動」メニューを表示した状態で「option」キーを押し続けてみましょう。「ホーム」と「コンピュータ」の間に「ライブラリ」が現れるはずです。そこをクリックすれば、ホームフォルダの下位にある(現在ログインしているユーザ専用の)ライブラリフォルダが表示されます。

  • optionキーを押し続けると、メニューに「ライブラリ」が現れます

  • 「ライブラリ」フォルダは、うっかり削除/改変されては困るファイルが保存されています

「連絡先の写真」をコピーしよう

「ライブラリ」フォルダには、いろいろなアプリが専用のデータ保存領域を確保しています。どのようなデータを保存するかはアプリそれぞれですが、多くの場合「Application Support」フォルダ以下に用意される専用フォルダが利用されます。

「連絡先」アプリを例に説明してみましょう。「Application Support」フォルダ以下にある「AddressBook」フォルダには、SQLite3形式のデータベースファイルがいくつか用意され、そこに連絡先データが格納されています。人間が直接閲覧することを想定していないフォーマットですから、データベースファイルの扱いについては割愛しますが、利用するとすれば「Images」フォルダでしょう。

このフォルダには、連絡先カードで使用している写真が保存されています。ファイル名は暗号のようで、拡張子すら付けられていませんが、クイックルックすると登録した写真が表示されるはずです。デスクトップなど適当なフォルダへコピーし、「***.jpg」という形式にファイル名を変更してみましょう。これで、連絡先カードに登録されている画像をファイルとして取り出せます。

  • 暗号のような名前のファイルをクイックルックすると、連絡先カードで使用している写真が表示されます

  • 適当な名前にリネームして拡張子をくわえると、画像ファイルとして取り出せます

ショートカットキーで「隠された」ファイルを表示する

「ライブラリ」フォルダは、ファインダーの「移動」メニューを操作する以外の方法でも開くことができます。それは、ショートカットキー。ファインダーのウインドウが表示されている状態で、Command-SHIFT-「.(ピリオド)」を押せばOKです。フォルダによっては変化が表れないかもしれませんが、ホームフォルダを開いた状態でショートカットキーを押せば、見慣れないファイル/フォルダが薄い色で表示されるはずです。

Command-SHIFT-「.」は、ファインダーにより不可視属性とされたファイル/フォルダを表示するためのショートカットキーです。「ライブラリ」フォルダ以外にも、ドットファイル(先頭が「.」で始まるファイル)が表示されるようになります。

ただし、このショートカットキーですべてのドットファイルが表示されるわけではありません。「.DS_Store」(フォルダ上のアイコン位置などが記録されるファイル)など、一部は隠されたままです。

  • Command-SHIFT-「.」を押すと、ファインダーに「ライブラリ」フォルダが表示されるようになります