いまやスマートフォンでは常識、Macでも不可欠な機能となった「通知」ですが、デスクトップの隅に現れて気付けば消えている、スマートフォンほど活用していない、という声を耳にします。今回は、初期設定から1歩、2歩踏み込んだ通知機能の活用テクを紹介します。

「バナー」と「通知パネル」はココが違う

macOSの通知には、「バナー」と「通知パネル」の2種類があります。デスクトップ右上隅のダイアログで通知を知らせることは両者共通ですが、前者は一定時間が経過すると自動的に消え、後者はクリックなどなんらかのリアクションがないかぎり表示され続けます。

消えるタイミング以外にも、両者には違いがあります。それはアクセシビリティ機能(ハンディキャップを抱える人の操作性向上を目指した機能群)に含まれる「音声通知」の動作で、アプリの通知方法に「通知パネル」を選択していないと動作しません。ほとんどのアプリは「バナー」を初期値としているため、「通知パネル」に変更しないことには音声通知が機能しないのです。

この音声通知は、システム音声で通知の到着を知らせる機能です。通知を音声で知らせるなんて……という意見もありそうですが、メール到着のように引っ切りなしに実行される通知はともかくとして、集中して作業しているときに視線を動かすことなく通知を知ることができることは、なかなか便利に感じるものです。通知ダイアログは視界の端に突然現れパッと消えてしまいますから、注意を引くという点で音声通知は"あり"なのではないでしょうか。

音声通知を利用するためには、システム環境設定の「通知」パネルで目的のアプリを選び、通知スタイルに「通知パネル」を選択します。前述したとおり、「バナー」を選択したアプリは音声通知の対象外となるため、メールのように通知の届く頻度が多いアプリについては、安易に「通知パネル」に変更しないほうがいいでしょう。

  • 通知スタイルに「通知パネル」を選択しているアプリが音声通知の対象になります

  • 音声通知では通知パネルのタイトル部分が読み上げられます

「音声通知」を使おう

音声通知はアクセシビリティ機能として提供されるため、初期設定では無効化されています。システム環境設定「アクセシビリティ」パネルを開き、「スピーチ」タブにある「音声通知を有効にする」にチェックを入れると、通知が届いたことを音声で知らせてくれるようになります。

使用される声色と語句は、右隣の「オプション...」ボタンをクリックするとカスタマイズできます。「声の種類」はそのままでかまいませんが(初期設定では女性の声)、語句はリストの中から選べるうえ、任意の語句を追加できるので、無味乾燥になりがちな通知で"遊ぶ"ことも可能になります。

たとえば、語句に「通知が届きましたよ、」を登録しておくと、設定しておいた時刻が到来した「薬を飲む」というタイトルのリマインダーの通知が届いたとき、通知ダイアログの表示とともに「通知が届きましたよ、薬を飲む」とMacが声で知らせてくれます。

なお、通知が届いてから音声通知が始まるまでのタイムラグは、「オプション...」ボタンをクリックすると表示されるダイアログの「反応時間」スライダーで調整できます。初期設定では約15秒に設定されているため、忘れた頃に音声通知の読み上げが始まり違和感がありますから、0~2秒程度に設定変更することをお勧めします。読み上げ速度が気に入らない場合には、「スピーチ」タブにある「読み上げ速度」スライダーで調整しましょう。

  • 「スピーチ」タブにある「音声通知を有効にする」をチェックします

  • タイトル部分の前に読み上げる語句を登録できます

  • 反応時間は0~2秒程度がお勧めです

Finderでも音声通知を

音声通知の対象は、システム環境設定「通知」パネルに表示されるアプリだけではありません。システムが発する通知(ローカル通知)も対象になるため、重要な操作を行うときの"念押し"として役立ちます。

Finderもその対象に含まれます。試しに、ゴミ箱の中身を空にする操作を行ってみましょう(Finderのメニューで「Finder」→「ゴミ箱を空にする...」を選択)。登録しておいた通知語句に続けて「ゴミ箱にある項目を完全に消去してみよろしいですか?」というタイトルが読み上げられます。アクセス権のないフォルダにファイルを書き込もうとしたとき、ファイルの拡張子を変更しようとしたときも同様です。

ほかにも、システムの再起動を確認するダイアログなど、重要な場面で音声通知が活躍します。突然声が聞こえると驚きますが、重要な操作を再確認するという意味では有用でしょう。

  • Finderやシステムが表示するダイアログも音声通知の対象になります

時報を音声で知らせる

音声通知とは関係ありませんが、macOSには一定のサイクルで現在時刻を音声で知らせる機能も用意されています。システム環境設定「日付と時刻」パネルで「時計」タブを選択し、「時報をアナウンス」をチェックしてみましょう。以降、指定したサイクル(15分/30分/1時間)で現在時刻が読み上げられます。

なお、この機能を有効にすると、「SpeechSynthesisServer」がログイン項目(ログインすると自動的に起動されるアプリ)に登録されます。無効にすると自動的に消えるため、見慣れないアプリがログイン項目に登録されたと心配する必要はありません。

  • 「時報をアナウンス」をチェックすると、15分/30分/1時間サイクルで現在時刻が読み上げられます