ROG XBOX Ally X20は、ASUSのゲーミングブランド「ROG」の設立20周年を記念したポータブルゲーミングPCです。Xboxとのパートナーシップで生まれたROG Allyシリーズの最新モデルで、2026年10月16日に発売。価格はASUS Storeで258,800円です。
中身は2025年に登場したROG Xbox Ally Xとほぼ共通です。プロセッサーはAMD Ryzen AI Z2 Extremeで、24GBのメモリと1TBのSSD、80Whのバッテリーを搭載しています。一方でディスプレイは7.4型の有機ELに変わり、スティックや方向キーといった操作デバイスも刷新されました。今回ASUS JAPANから実機を借り受け、ROG Xbox Ally Xから変わった部分を中心に試しました。
半透明ボディにゴールドを差した20周年仕様
外装は前モデルから大きく変わりました。カラーは「オフブラック」と呼ばれる半透明のブラックで、内部の構造がうっすらと透けて見えます。左側のコマンドセンターボタンと表示ボタン、右側のアクションボタンとメニューボタンはゴールドで、黒一色だったROG Xbox Ally Xとは雰囲気がだいぶ違います。
背面も半透明で冷却ファンのゴールドが透けて見えています。左下には金メッキの20周年記念バッジが貼られ、斜めに「REPUBLIC OF GAMERS」の文字が走ります。背面の左右にはマクロボタンを1つずつ備えます。
グリップは新たにラバー素材になりました。滑り止めのROGロゴのエンボス加工は前モデルから引き継いでいて、握りやすく滑りづらいグリップです。
ポートは上面にまとまっています。左から電源ボタン(指紋センサー内蔵)、3.5mmコンボジャック、microSDカードスロット、音量ボタン、USB Type-C×2という並びで、配置は前モデルと変わりません。変わったのは中身で、カードスロットはUHS-II対応から、より高速なmicroSD Expressカードに対応するスロットになりました。USB Type-Cの片方はUSB4で、DisplayPort 2.1の映像出力とPower Delivery 3.0に対応します。もう一方はUSB 3.2 Gen 2です。上面の左右と中央には吸排気口が並びます。
冷却機構はROG XBOX Ally X20向けに作り直されています。デュアルファン構成はそのままにプロセッサ専用の冷却エアチャネルを設け、フィンの体積を約11%、エアフローを約20%増やしました。新たにダストフィルターも加わっています。
付属品はACアダプタとスタンドです。ACアダプタはUSB Type-Cの68W出力で、前モデルの65Wから少し上がりました。スタンドは本体を横向きに立てかけるシンプルなもので、動画を見るときや外部コントローラーで遊ぶときに使えます。
本体サイズは幅300.0×奥行121.0×高さ27.5〜51.3mmです。ベゼルを約60%細くして画面を大きくしたぶん、幅はROG Xbox Ally Xの290.0mmより10mm広がりました。
重さは実測で761.5gでした。公称の約756gとほぼ同じで、前回計測したROG Xbox Ally Xの実測719.5gより42g重くなっています。手に持つとさすがに重さは感じますが、肘掛けに肘をついたり、座って本体を太ももの上に置いたりして遊ぶと気になりませんでした。
サイズアップした7.4型有機EL
ROG XBOX Ally X20で最も大きく変わったのがディスプレイです。ROG Allyシリーズでは初めて有機ELを採用し、画面サイズも7型から7.4型に広がりました。解像度は1,920×1,080ドット、リフレッシュレートは120Hzで、この2点は前モデルと同じです。
輝度はSDR時で600nit、HDR時はピークで1400nitに達します。色域はDCI-P3を100%カバーし、Dolby Visionにも対応します。可変リフレッシュレートはFreeSync Premium Pro(30〜120Hz)に対応し、応答速度は0.2msです。カバーガラスはCorning Gorilla Glass Victusで、反射防止のCorning DXCを組み合わせています。
実際に表示させると黒がしっかり沈み、液晶と比べて発色の差がはっきりわかります。7.4型の大きさも携帯機として十分で、屋内では明るさにも不足は感じませんでした。
Windowsの設定でHDRをオンにすると、最大1400nitの表示が有効になります。「ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON」もHDRで遊べました。
有機ELで気になる焼き付きへの対策として、ASUS OLED Careなどの保護機能を備えています。保証期間内に修理センターで焼き付きが確認された場合は、ディスプレイの出力補正などで対応してもらえます。
4方向と8方向を切り替えられる可変式D-PadとTMRスティック
操作系も手が入っています。目玉は新たに搭載された可変式のD-Padです。方向キーを少し上に引っ張ってから回すと、4方向入力と8方向入力を切り替えられます。
4方向入力にすると、斜めの部分が一段下がります。上下左右だけが浮き上がった形になるので、斜めに入りにくくなる仕組みです。8方向入力では斜めの部分が上下左右と同じ高さまで上がります。
4方向入力は斜めが下がっているぶん、上下左右を狙って入力しやすく感じます。8方向入力にしても普通の方向キーとして違和感なく使えました。格闘ゲームのように斜め入力が必要なタイトルと、レトロゲームのように上下左右をきっちり入れたいタイトルで使い分けられそうです。
左右のスティックにはTMR(トンネル磁気抵抗)方式のセンサーを採用しています。磁気で傾きを検出する非接触式なので接点が擦り減らず、長く使っても入力がずれる「ドリフト」が起きにくくなります。ASUSによれば、4軸方向へのスナップを取り除いて斜め入力を強化する新しいアルゴリズムを採用し、消費電力も約75%削減したとのことです。
また、ABXYボタンは押下力が約90gになるよう作り直されています。
Armoury Crate SEではスティックごとに、反応しない遊びの範囲(デッドゾーン)や外部しきい値、倒し具合と入力の強さの関係を決める反応曲線を調整できます。
スティックの根元にはAura RGB対応のライティングリングが入りました。発光パターンや色、輝度はArmoury Crate SEで選べます。常時点灯や呼吸するように明滅するパターンに加えて、操作に合わせて光る「リアクティブモード」も用意されています。音に連動して光る「イマーシブモード」といったモードもあります。
各ボタンへの機能の割り当てはArmoury Crate SEの「ゲームパッドモード」で変更できます。背面のマクロボタンにも好きな操作を登録できます。
起動すればXBOXモード、Steam中心でも困らない
電源を入れると「XBOXモード」が立ち上がります。コントローラー操作に最適化したXboxのフルスクリーン画面で、Windowsのデスクトップを経由せずにゲームを選んで遊び始められます。デスクトップを使いたいときはXboxボタンの長押しで切り替えられます。
ライブラリにはXbox Game PassやMicrosoft Storeのタイトルだけでなく、Steamでインストールしたゲームも一緒に並びます。普段はSteamでゲームを買っている人でも、Steamを開き直さずにXBOXモードから起動できるのは便利です。サクッとゲームを始めたいときに、このひと手間の少なさがありがたく感じました。
本体の設定はArmoury Crate SEで行います。動作モードは「Windows」「サイレント」「パフォーマンス」「Turbo」「手動」の5種類です。試用機では、ACアダプタ接続時はTurboが35W、バッテリー駆動時は25Wと表示されました。
ゲーム中に輝度や動作モードを変えたくなったら、コマンドセンターボタンで画面上部に設定パネルを呼び出せます。ゲームを終了する必要はありません。録画やスクリーンショットは、Xboxボタンで開くXboxゲームバーから実行可能です。
重めのゲームも画質設定次第でしっかりで遊べる性能
ここからは各種ベンチマークソフトを用いて、ROG XBOX Ally X20のパフォーマンスを検証していきます。ベンチマークはすべてACアダプタをつなぎ、Armoury Crate SEで「Turbo」を選んだ状態で走らせました。
前モデルとの違いがわかるよう、ROG Xbox Ally Xの仕様と並べました。
| 項目 | ROG XBOX Ally X20 | ROG Xbox Ally X |
|---|---|---|
| OS | Windows 11 Home | 同左 |
| プロセッサ | AMD Ryzen AI Z2 Extreme(8コア16スレッド、最大5.0GHz) | 同左 |
| GPU | AMD Radeonグラフィックス(RDNA 3.5、16コア) | 同左 |
| NPU | 最大50TOPS | 同左 |
| メモリ | 24GB LPDDR5X-8000 | 同左 |
| ストレージ | 1TB(PCIe4.0x4、M.22280) | 同左 |
| ディスプレイ | 7.4型有機EL、1920×1080ドット、120Hz | 7型IPSレベル液晶、1920×1080ドット、120Hz |
| 輝度 | SDR 600nit/HDR 1400nit | 500nit |
| 色域 | DCI-P3 100% | sRGB 100% |
| 可変リフレッシュレート | FreeSyncPremiumPro(30〜120Hz) | FreeSyncPremium |
| スティック | TMRスティック | アナログスティック |
| 方向キー | 可変式D-Pad(4方向/8方向) | D-Pad |
| カードリーダー | microSD Express | UHS-II microSD |
| バッテリー | 80Wh | 同左 |
| ACアダプタ | 68W | 65W |
| 本体サイズ | 幅300.0×奥行121.0×高さ27.5〜51.3mm | 幅290.0×奥行121.0×高さ27.5〜50.9mm |
| 重量(公称) | 約756g | 約715g |
プロセッサーやメモリ、ストレージ、バッテリー容量はROG Xbox Ally Xと共通なので、処理性能も前モデルとほぼ同じと考えてよいでしょう。ここでは携帯機としてどこまで遊べるかを見ていきます。
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Ryzen AI Z2 ExtremeのCPU-Z画面。8コア16スレッドで動作する
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内蔵GPUのGPU-Z画面。RDNA 3.5世代のRadeonを積む
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CINEBENCHはR23、2024、2026の3世代で計測した
CINEBENCHのマルチスレッドは8コア16スレッドらしく、携帯機の枠を超えた結果です。シングルスレッドも十分に高く、ゲームの裏でブラウザやボイスチャットを動かしても余裕がありそうです。
PCMark 10はアプリの起動からオフィス作業、写真や動画の編集までどのカテゴリも高い水準でした。ドックにつないでデスクトップPCとして使っても、日常的な作業で困ることはなさそうです。
3DMarkは内蔵GPUとして上位の結果で、フルHDで重めのゲームを動かす土台は十分にあります。
携帯機の画面でフルHDのまま回しても、「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク」は標準品質と高品質で「やや快適」を確保しました。最高品質では「普通」まで下がりますが、標準品質なら十分に遊べます。
負荷が一段重い「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK」では、同じフルHDで軽量品質が「快適」、標準品質が「やや快適」、高品質が「普通」と1段ずつ下がっていきます。重量級のタイトルでも、画質を軽量から標準に抑えればフルHDで十分に遊べます。
実際のゲームとして「Cyberpunk 2077」のベンチマークも試しました。解像度は1920×1080で、AMDのFSRによるフレーム生成をオンにしています。画質プリセットを低から中にすれば滑らかに動き、フレーム生成を併用すれば高でも快適に遊べそうです。ウルトラでは最低フレームレートの落ち込みが大きくなるので、画質は高までにとどめるのが無難でしょう。
シーケンシャル速度はPCIe 4.0対応SSDとして速い部類で、ゲームの読み込みで待たされることは少ないでしょう。SSDは一般的なM.2 2280規格なので、より大容量のものへ載せ替えることもできます。ただし換装した場合、他社製SSDの動作は保証されません。
ベンチマークだけでなく、ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICONをバッテリー駆動のTurboモードで実際に遊んでみました。画質は映像品質「高」、解像度は1920×1080で、負荷に応じて描画解像度を下げる「自動描画調整」をオンにしています。
映像品質「高」でプレイするとフレームレートは50前後で、「中」に下げてもフレームレートは大きく変わりませんでした。見た目を優先して「高」のまま遊ぶことも可能ですが、フレームレートを優先するなら解像度を1280×720に落とすという選択もとれます。
ファンの音はゲームの音を出していればほとんど気になりません。甲高い音がうるさく感じることもありませんでした。本体の発熱もグリップを握って遊んでいる限りは気にならない程度です。
バッテリー駆動時間は「PCMark 10 Battery Profile」のGamingシナリオで測りました。ゲームを遊び続ける想定のテストで、動作モードは「パフォーマンス」、ディスプレイ輝度は50%にしています。
結果は2時間38分でした。ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICONを遊んでいるときの放電は約38Wだったので、80Whのバッテリーなら単純計算で2時間強となります。実際に遊んでいても2時間くらいは持つ感覚で、この単純計算とも合っています。外で2時間以上遊ぶ日は、モバイルバッテリーを1台持っておくと遊べる時間を延ばせます。
見た目も画面も特別な20周年モデル
ROG XBOX Ally X20は、ROG Xbox Ally Xと同じ性能のまま、画面と操作系、外装を作り直した20周年記念モデルです。
まず手に取って伝わるのが、通常モデルとはまったく違う見た目です。半透明のボディから内部がうっすら透け、背面には冷却ファンのゴールドと金メッキの20周年記念バッジがのぞきます。ボタンにもゴールドを差していて、黒一色のROG Xbox Ally Xと並べれば違いは一目瞭然です。ROGの20年を記念したプレミアムな仕上がりで、手元に置いておくだけでも特別感があります。
中身の変化でいちばん大きいのは7.4型の有機ELディスプレイで、黒が沈み発色が良くなったことで同じゲームでも見え方が変わります。可変式D-Padはタイトルに合わせて4方向と8方向を選べ、TMRスティックはドリフトの心配を減らしてくれます。グリップにはラバー素材を新たに採用しています。
一方で価格は258,800円と、ROG Xbox Ally Xの発売時の139,800円から大きく上がりました。性能が同じぶん、差額は画面と操作系、そして記念モデルならではの外装に払う形です。ただ、最近のPCパーツの値上がりを考えると、ある程度は仕方のない部分もあります。
PCゲームを有機ELのきれいな画面で場所を選ばず楽しみたい人はもちろん、ROGの20周年を形として手元に置いておきたい人にとっては、ほかでは代えがたいポータブルゲーミングPCになるでしょう。




































