2026年9月17日から20日まで開催された「東京ゲームショウ2026(TGS2026)」のインディーゲームコーナーに、今年も「SELECTED INDIE 80(SI80)」の出展エリアが設けられた。
SI80は、世界中の多種多様なインディーゲームが集まるコンテスト形式の展示コーナーだ。2026年は68の国から1,513作品の応募があり、そのうち審査を経て選出された78作品が出展に招待された。
また、SI80の作品に加え、TGS2026のインディーゲームコーナー出展社からも応募を募り、151作品から審査を行うゲームアイデアのピッチコンテスト「SENSE OF WONDER NIGHT 2026(SOWN2026)」も開催。
SI80やSOWN2026に選出された次なる注目作を、会場の様子とあわせてたっぷり紹介したい。
インディーゲームの未来を切り拓く、アワードの数々
SI80は、世界中の注目のインディーゲームが集まるTGSの恒例企画。個人のインディーゲーム開発者や小規模企業の発想力と創造性に焦点を当て、インディーゲームの現在と未来を来場者に共有するべく、さまざまな企画を展開する。
そのひとつが、SOWN2026だ。SI80に選出されたタイトルはSOWN2026にもエントリーされ、そこにインディーゲームコーナーの出展社も加わり、151作品が審査に臨む。ファイナリストに選ばれた8作品の開発者は、2026年9月17日に幕張メッセの国際会議場にてプレゼンテーションを行う。
審査の結果、最高賞にあたる「Audience Award Grand Prix」は、日本のインディーゲーム開発者・宮澤卓宏さんが手がける『顔UFO』に決定! また、「Audience Award Semi-Grand Prix」は、中国のインディーゲーム開発者・P.F.J.さんの『Unknot! -アンノット!-』が受賞。そのほか、5つのアワードの受賞作品が発表された。
【SENSE OF WONDER NIGHT 2026 受賞作品一覧】
- Audience Award Grand Prix:宮澤卓宏『顔UFO』
- Audience Award Semi-Grand Prix:P.F.J.『Unknot! -アンノット!-』
- Best Technological Game Award:127号室『LEGACY CODE』
- Best Arts Award:127号室『LEGACY CODE』
- Best Experimental Game Award:宮澤卓宏『顔UFO』
- Best Game Design Award:宮澤卓宏『顔UFO』
- Best Presentation Award:宮澤卓宏『顔UFO』
なお、SOWN2026のプレゼンテーションの様子は、TGS2026のYouTube公式チャンネルにて配信され、アーカイブが視聴できる。
また、SOWN2026に加え、今年は新たに「SELECTED INDIE 80 Excellence Awards」を実施。こちらは、SI80に選出されたタイトルの中から、創造性・完成度を多角的に評価し、特に優れたタイトルを顕彰する新しい表彰制度だ。初回となる本年は、プラチナに1作品が、ゴールドに7作品が輝いた。
【SELECTED INDIE 80 Excellence Awards 受賞作品一覧】
- プラチナ:リドロックス『Finding Polka』
- ゴールド:宮澤卓宏『顔UFO』、石崎航琉『Adap+ation』、Studio ZeF『黒くないカギで開かないドアはない』、Mariana Games『アレタ』、Valentin Wirth『Become』、ROOMTONE Games『INTERSCAPE』、Hugecalf Studios『連帯責任』
各アワードの受賞作を中心に、実際にTGS2026の会場内にて試遊を楽しんできたので、詳しく紹介していきたい。
『顔UFO』など、SOWN2026受賞作を遊んでみた
まずは、SOWN2026の最高賞「Audience Award Grand Prix」と、そのほか3つのアワードを受賞した、宮澤卓宏さんの『顔UFO』を紹介したい。
本作は、Nintendo Switch 2とカメラを使用して、プレイヤーの表情でUFOを操作する“変顔”ゲームだ。プレイヤーが笑うとUFOは上昇し、驚くと下降する。また、無表情になるとUFOは停止し、怒った顔をすれば前進する。自身の表情を「コントローラー」に、プレイヤーは障害物を避けながらステージのゴールを目指す。
SOWN2026のプレゼンテーションでは、開発者の宮澤さん自らUFOを操作。喜怒哀楽さまざまな表情を見せながらゲームを実演し、会場を沸かせていた。
SI80の展示エリアでも、『顔UFO』の出展ブースは連日賑わいを見せていた。本作はカメラ1台で最大4人で同時に遊ぶことができる。友人や家族で試遊を楽しむ姿はもちろん、たまたまその場に居合わせた初対面の人たちが一緒に遊んでいる姿も見られた。
BitSummitではひとりで本作をプレイした筆者も、今回は友人らで来場していた方々と一緒にプレイ。ひとりのときは次第に表情コントロールに慣れていったが、誰かと一緒にプレイをすると、つい相手の表情につられて笑ってしまう。笑うとUFOは上昇して壁にぶつかり、連鎖するように爆発が起きる。その様子がさらなる笑いを誘い、出展ブースからは楽しげな声が響いた。その声にほかの来場者も足を止め、本作の魅力が次々と伝播していった。
ゲーム単体としての完成度やおもしろさだけでなく、人の輪を広げるきっかけにもなり得る本作。もしオンラインでのマルチプレイが可能となれば、ヒットを呼びそうだ。『顔UFO』は、2026年内の発売を予定。ぜひ、注目してみてほしい。
次に紹介するのは、SOWN2026で「Audience Award Semi-Grand Prix」を受賞した、中国のインディーゲーム開発者・P.F.J.さんの『Unknot! -アンノット!-』だ。本作は、複雑に絡み合った結び目を直感的な操作でほどいていく、物理シミュレーションパズルゲーム。プレイヤーはマウスをドラッグして紐を引っ張ったり、右クリックで紐の重なりを入れ替えたりしながら絡まりをほどき、クリアを目指す。
見た目も作りもシンプルに感じるが、実際にプレイしてみるとなかなか歯ごたえがある作品だった。最初のうちは手探りで、あちこち適当に紐を動かしてみるも、次第に「ここをこうすれば、ほどける!」と道筋が見えてきて楽しい。
特に、紐の上下の重なりを入れ替える「スワップ」が肝となり、どこで活用するのかはプレイヤーのひらめきが試される。すべての結び目がほどかれ、紐がひとつの輪になったときの爽快感は格別だ。となりでプレイしていた方は、クリアの瞬間に思わず感嘆の声が漏れていた。
本作はP.F.J.さんが大学で学んだ「結び目理論」から着想を得た作品で、現在は南カリフォルニア大学、ネアポリス大学パフォス、シドニー大学の結び目理論研究者と協力し、ゲームを通じて結び目理論の未解決問題に挑戦中とのこと。もしかしたら、あなたが見つけたほどき方が、未解決問題の手がかりにつながるかも…?
『Unknot! -アンノット!-』は、Steamにて現在発売中。価格は500円。デモ版もあるので、興味が湧いた方はぜひチェックしてみてほしい。
『Finding Polka』など、新たなアワード受賞作にも注目!
続いて紹介するのは、本年度より新たに設けられた表彰制度「SELECTED INDIE 80 Excellence Awards」にてプラチナを受賞した作品。日本のクリエイティブ・スタジオ「lidlocks(リドロックス)」の『Finding Polka』だ。
本作は、「PARCO GAMES」の4作目のパブリッシングタイトルとして発表され、Steamにて2026年8月12日より発売を開始。ドイツ・ケルンで開催された世界最大規模のゲームイベント「gamescom 2026」では、「gamescom award 2026『Most Wholesome』」を受賞した。
『Finding Polka』は、その名の通り、フレンチブルドッグの「ポルカ」を探すインタラクティブ・アドベンチャーゲーム。愛犬「ジャズ」と穏やかな日々を過ごしていた女性「フレンディ」は、ある日、幼い頃に飼っていたポルカにそっくりな犬と遭遇する。ポルカを追いかけるうちに、たくさんのキャラクターたちと不思議で楽しい出会いが生まれ、ハイタッチを交わして「ともだち」を増やしていく。
ゲーム内のイラスト素材はすべてボールペンでの手描きであり、個性豊かなキャラクターたちはもちろん、草木や雨の一粒まで細やかに描かれている。そのひとつひとつをじっくりと眺めたくなり、ついあちこちへ寄り道をしたくなってしまうのも、本作の醍醐味だ。
筆者はすでに本作をプレイ済みで、実績およびビンゴブックをコンプリートするほどにのめり込んだ。多彩なマップと音楽に心が躍るし、「ともだち」との出会いや、想像だにしない珍妙な出来事の数々に思わず笑ってしまう。
SI80の本作の出展ブースに訪れた人々も、国や性別、年齢を問わず、画面を見つめる顔には笑みがこぼれていた。『Finding Polka』は、最高にハッピーな作品なのだ!
TGS2026の会期初日には、最新情報としてNintendo Switch版の発売を発表!Nintendo Switch版では、新たなステージを含む追加コンテンツも多数収録予定とのこと。ハイタッチの素振りをしながら、さらなるハッピーを心待ちにしたい。
そのほか、「SELECTED INDIE 80 Excellence Awards」にてゴールドを受賞した7作品のなかから、筆者が特に気になった作品を紹介する。日本のクリエイター・石崎航琉さんが手がける『Adap+ation』だ。
本作は、変化するルールそのものを解くデジタルパズルゲーム。従来のジグソーパズルでは、ピースの絵柄や形状を手がかりにパズルを完成させていくが、本作のピースは真っ白だったり真四角だったりで手がかりがない。その代わり追加されるのが、パズルごとの「ルール」だ。
ゲーム内ではルール説明が一切ないため、プレイヤーはまず、「このパズルがどのようなルールで成り立っているのか」を推測し、その法則を解かねばならない。
筆者も早速挑戦してみるも、いきなり真四角の真っ白いピースを渡され、手立てがない。頭を悩ませていると、スタッフの方から「まずはとにかくピースを動かしてみてください」とヒントをもらった。
ひとつのピースを掴み、画面の中で上下左右に動かしてみると、左下のパズルのタイトルにピースが重なった瞬間、その部分の文字が4×4のマスのひとつに表れた。これが、このパズルのルールなのだ。
ルールが分かってしまえば、あとはピースを埋めていくのみ。すべてのピースが埋まってパズルが完成すると、また次の新しいルールを持ったパズルがランダムで出題される。
SI80の出展ブースでは、厳選した8種類のパズルが用意されていた。難易度もさまざまな全8問でほどよく脳トレされ、解き終わったときには頭がスッキリしていた。同時に、「もっとパズルを解きたい!」という欲が出てくる。なんとも中毒性の高い作品だった。
『Adap+ation』は現時点では発売日やプラットフォームなどは未定だが、今後のイベント出展などで触れる機会があれば、ぜひ遊んでみてほしい。
個性あふれるSI80出展作品を写真で一挙に紹介!
アワードの受賞作を含め、SI80には素晴らしい作品が目白押しだ。ここからは、筆者がSI80で実際に遊んだ作品のなかから、特に印象的だったものを抜粋して写真で紹介する。
インディーゲームを遊び尽くす!SI80カードコレクション
アワードのほか、本年からの新たな試みとして、「SELECTED INDIE 80 カードコレクション」が実施された。SI80の各出展ブースでは、ゲームを試遊した来場者に「SI80カード」を配布。カードには、日本語・英語での作品紹介に加え、裏面にはSteamページなどのQRコードが掲載されている。
また、SI80カードは2枚集めると、SI80の特設ブースにて1回くじにチャレンジできた。ワイヤレスイヤホンやマウスパッド、ハンディファンなど景品も豪華で、ハズレはなし。集めたカードは裏面にチェックマークを記入した後、回収されずに来場者の手元に戻る。
イベントに合わせて名刺やノベルティを準備する出展者も多いが、主催側がこうして用意してくれるのは非常にありがたいことだ。来場者としても、ただゲームを試遊するだけでなく、試遊しながら歩き回ること自体をゲームの「ミッション」のように楽しみ、カードをコレクションしていけるのはおもしろい!SI80ならではの特性を活かした、まさに「ダイヤの原石」を探す体験だ。この新企画のおかげで、例年以上に多種多様なインディーゲームを遊び回り、大満喫できた。
来年度には、どのような作品が集まるのか。そして、ここからインディーゲームがどう盛り上がりを見せていくのか。今から楽しみだ!






























