米Amazonは4月14日(現地時間)、衛星通信事業者Globalstarを買収する最終合意に達したと発表した。買収総額は約115億7000万ドル。Amazonは自社の低軌道衛星網「Amazon Leo」の通信インフラを拡充し、スマートフォンなどの端末と衛星が直接通信する「Direct-to-Device(D2D)」への本格参入を加速させる。取引は規制当局の承認などを経て2027年に完了する見通しだ。
買収が完了すれば、AmazonはGlobalstarの既存の衛星運用、地上インフラ、関連資産に加え、グローバル認可を含むMSS(モバイル衛星サービス)向け周波数ライセンスを取得する。Amazonはこれらを既存のAmazon Leo網と組み合わせ、将来世代のネットワークでD2Dサービスを提供する考えだ。
Amazonはあわせて、Appleと新たな契約を結んだことも明らかにした。Appleは現在、Globalstarの衛星ネットワークを利用し、携帯電話網やWi-Fiが届かない場所でも使える衛星通信機能をiPhoneやApple Watchに搭載している。対応する機能には、緊急通報へのテキスト送信、ロードサービスへの連絡、友人・家族へのメッセージ送信、位置情報の共有などがある。
今回の合意により、AmazonはGlobalstarの既存衛星網と計画中の後継衛星群を引き継ぎ、Apple製デバイス向けの現行衛星機能を継続して支えることになる。加えて、拡張されるAmazon Leoネットワークを用いた将来の衛星サービスでもAppleと協業する方針だ。
衛星を活用したD2D市場は、地上の携帯電話網が届かない地域や災害時のバックアップ通信を担う次世代インフラとして注目を集めている。現在この市場をリードしているのが、イーロン・マスク氏率いるSpaceXが展開する「Starlink」である。Starlinkはすでに約1万基の衛星を軌道上に展開し、全世界で1,000万人以上のアクティブユーザーを獲得しているほか、T-Mobileなどと提携してモバイル向け直接通信の構築を先行させている。
AmazonはAmazon Leoにおいて、現在200基以上の衛星を低軌道に展開しており、第一段階では3000基超の衛星群を構築する計画を掲げている。Globalstarの衛星コンステレーションは24機と小規模だが、同社は30年以上にわたる移動体衛星通信の運用実績を持ち、MSS向け周波数資産も保有する。Amazonにとって今回の買収は、衛星数の上積みそのものよりも、D2D市場への足掛かりとなる周波数の確保、そしてAppleというパートナーの獲得といった戦略的意義が大きい。
