多彩なニーズに応える数多くのPCを手がける老舗BTOメーカーのサイコム。その中でAMDとNVIDIAの最新世代CPU/GPUを組み合わせた“ハイパフォーマンスゲームPC”に位置付けられているのが「G-Master Spear X870A」だ。見た目、静音性、性能のバランスよし! の本モデルのレビューを前後編に分けてお届けしよう。
高い基本スペックに見た目にもこだわれる幅広いカスタマイズ性
「G-Master Spear X870A」はタワー型のゲーミングPC。標準構成では、AMDの最新世代CPU「Ryzen 7 9700X」とNVIDIAの最新世代GPU「GeForce RTX 5060 Ti(16GB版)」が組み合わされており、描画負荷の高いAAA級タイトルもWQHD解像度までなら快適にプレイできるパワーを持っている。それに加えて老舗BTOメーカーだけあり、ほぼすべてのパーツをカスタマイズ可能という柔軟さが大きな特徴だ。
CPU、CPUクーラー、マザーボード、メモリ、SSD、光学ドライブ、電源、有線LANカードなどとにかく細部まで選択できるようになっている。PCケースも複数選択でき、好みの見た目に仕上げられるのも大きな強み。標準構成ではロングセラーモデルのCoolerMaster CM694が採用されているが、今回試用したものはカスタマイズで「【白】Fractal Design North Chalk White+背面12cmファン」を選んだもの。
Fractal Design North Chalk Whiteは鮮やかなホワイトカラーのボディにクルミまたはオークの天然材を使用した前面パネルを備え、インテリアの雰囲気を持つPCケース。前面、天面、左側面はメッシュ構造で、背面に12cmファンを追加することでゲーミングPCにおいて重要な冷却力をさらに強化している。サイズは幅215×奥行き447×高さ469mm。ブラックカラーも選択できるので、部屋の雰囲気に合わせやすいのもポイントだ。
G-Master Spear X870Aは、PCケースだけで3モデル、ガラスの有無やカラーバリエーションまで含めると9種類も選択肢がある。CPUはAMDの新旧合わせて13種類、CPUクーラーは15種類、ビデオカードについては30種類以上も用意。メモリやSSDの容量選択肢も広く、予算や目的に合わせて細かく調整できる。キーボードやマウス、スピーカー、ヘッドセット、モニターといった周辺機器も同時に注文可能だ。
定番ベンチで基本性能をチェック! 動作音は温度はどう?
ここからは実際の性能や静音性、温度などをチェックしていこう。今回の試用機のスペックは以下の通りだ。
| 試用機の構成 | |
|---|---|
| モデル | G-Master Spear X870A |
| OS | Windows 11 Home |
| CPU | Ryzen 7 9700X(8コア16スレッド) |
| CPUクーラー | Noctua NH-U12S redux |
| マザーボード | ASUS TUF GAMING X870-PLUS WIFI |
| メモリ | 32GB DDR5-5600(16GB×2) |
| グラフィックス | MSI GeForce RTX 5070 12G SHADOW 2X OC |
| SSD | Crucial T500 CT1000T500SSD8(M.2 PCIe Gen4 SSD 1TB) |
| ケース | Fractal Design North Chalk White+12cmファン |
| 電源 | SilverStone SST-DA750-G(80PLUS Gold) |
CPUはAMD最新世代のRyzen 9000シリーズからミドルレンジの「Ryzen 7 9700X」を採用。Zen 5アーキテクチャーを採用し、8コア16スレッド、最大5.5GHzとゲームプレイには十分なスペックを持つ。デフォルトのTDPは65Wと低めなので、消費電力や発熱が小さいのも特徴だ。扱いやすい良コスパのCPUとして人気となっている。
ビデオカードは標準構成ではなく、MSIの「GeForce RTX 5070 12G SHADOW 2X OC」にアップグレードされていた。ファンブレードを3枚ごとに外周部を連結させて、ヒートシンクへの気流を集中させる「TORX FAN 5.0」を2基備えているモデルだ。GPUはNVIDIA最新世代でアッパーミドルに位置する「GeForce RTX 5070」。前世代よりもAI処理性能を大幅に強化したBlackwellアーキテクチャーを採用し、高速なGDDR7メモリを12GB搭載。8GB以上のビデオメモリを求めるゲームやAI処理にも対応できるのが強みだ。
高い性能かつ静かで冷える快適ゲーミング環境
ここからは定番ベンチマークで性能をチェックしていく。CPUパワーを測定する「Cinebench 2024」、PCの基本性能を測る「PCMark 10」、3Dベンチマークの「3DMark」を実行する。
Cinebench 2024はMulti Core、Single CoreともにRyzen 7 9700Xとして順当なスコアを出している。PCMark 10のスコアも総じて高く、とくにクリエイティブワークのDigital Content Creationは優秀でクリエイティブワークにも十分対応できるスペックと言ってよいだろう。3DMarkもRTX 5070としてアベレージスコアを出しており、しっかりと性能を引き出せている。
冷却力や動作音もチェックしてみよう。サイバーパンク2077を10分間プレイした際のCPUとGPU温度をシステム監視アプリの「HWiNFO Pro」で測定した。室温は25℃だ。
CPUは平均73.3℃、GPUは平均73.2℃と問題なく冷却できている。ケースファンは前面に2基、背面に1基とそれほど強力な構成ではないが、PCケースが通気性の高いメッシュ構造ということもあって冷却力がしっかりと確保されていると言ってよいだろう。そして動作音は前面で43.9dB、天面で41.4dB、背面で41.7dBとなった。ファンが2基ある前面が多少動作音は大きくなっているが、全体としてファンの音が少し聞こえるかな、という程度だ。ゲーミングPCとして静音性は高いと言える。常にヘッドホンをするわけではないので、PCの動作音はなるべく小さい方がよい、という人にもオススメできるレベルだ。
見栄えするPCケースに確かな基本性能
天然木を10本使った前面パネルを持つPCケースは、ゲーミングPCというよりインテリアの雰囲気を持つ。ガラスパネルやRGB LEDテープなどもカスタマイズメニューで用意されているので、ライティングにこだわることも可能だ。しっかりとした性能と静音性を確保し、自分好みに徹底してカスタマイズできるのはサイコムならではの強みとこだわりを感じる部分。後編では、実ゲームをたっぷりと用意し、その実力をさらに掘り下げて検証していきたいと思う。






















