「東京ゲームショウ2025」から、展示カテゴリに「オールアクセシビリティ」コーナーが新設されました。
同コーナーは「障がいの有無や年齢にかかわらず、すべての人がゲームを楽しめるようにするソフトウェアやツール、サービスを紹介する」(TGS2025公式サイトより)場ということで、さっそく足を運んでみました。
コントローラーを使えない人のためのコントローラー
同コーナーに展示されている「Flex Controller」は、ゲーム周辺機器メーカーのHORIが開発したコントローラー。ゲーム機のコントローラーを操作できない病気や障害を抱える人も、視線トラッカーやジョイスティックなどの入力機器を接続してゲームをプレイできます。
同製品の開発に際しては、肢体不自由者向け入力装置の開発実績のあるテクノツールが監修を実施。筋ジストロフィー、SMA(脊髄性筋萎縮症)、脳性麻痺などにより肢体不自由を抱えるゲーマーやリハビリテーション専門職の協力を得て生み出されました。
展示会場では、人気を博した「スイカゲーム」(Switch版)を視線入力でプレイできる試遊機を公開しています。
筆者もチャレンジしましたが一か所に視線を留めて決定の操作を行うのが思った以上に難しく、遊び慣れたゲームのはずがまったく違うものにすら感じました。
軽さやスペックで選べるスマートグラス
スマートグラスの販売を手掛けるビュージックスジャパンが実機を展示。軽量でシンプルな機能の機種からフルスペックの機種まで、ユーザーのニーズにあわせ選べるスマートグラスを提供しています。
同社の製品は主に建設現場などで使われているものですが、ゲーム分野でもスマートグラスを活用できないかと今回出展を決めたそうです
中でもZ100は比較的安価かつ軽量のため、装着者の負担が少ない状態で、音声の文字起こしを視界に表示可能。軽さを実現するため、音声認識から文字起こしまでをすべてスマートフォンアプリ上で稼働させ、本体の搭載する部品を最小限にしています。
脳波で操作するゲームを開発
AIアルゴリズム・プロダクト開発を手掛けるアラヤは、脳波や視線入力で遊ぶゲームを2つ展示しています。
ひとつめは、「祈り」でカプセルを出す「無心Capsule」。画像認識AIによる祈りのジェスチャーの認識、そして脳波計によるα波の解析により、心身ともに祈りをささげていると判定されるとカプセル自販機からボールが出てきます。ちなみに筆者は信心が足らなかったのかカプセルゲットならずでした。
脳波と視線で遊ぶ魔法バトル「NeuroWizards」も展示。同社によれば、脳波のデータはあればあるだけ脳波解析AIの精度が上がることを示唆する研究があるとのこと。つまり、ゲームを何度も遊べば遊ぶほどAIが高精度化する一石二鳥な状況があるといいます。
担当者はゲーム世界で鍛えたAIは現実世界でも活用できるとして、脳波を新しい操作ツールとして育てていきたい旨を語っていました。
つらいリハビリをゲームで楽しく
「日本電子専門学校 Project Allcea」は、岡山大学病院と共同開発した、小児がんのリハビリ医療を目的としたVRコンテンツを展示。腕を上げるとVR空間で魔法を放って上肢の訓練になる『ムーヴの魔法使い』、仮想空間をサイクリングすることで下肢の訓練になる『自転車でGo』の2タイトルを紹介していました。
“誰もが”遊べるゲームをめざして
今回このコーナーに出展した企業は意欲的で、展示の解説を求めると強い熱意で対応するスタッフが多かったです。ただ、コーナー全体で4社(学校法人含む)と正直なところこじんまりとしており、8番出口の大ヒットで勢いづく近隣のインディーゲームコーナーの活気に押されている印象でした。
ゲームショウ会場全体で試遊機として使われているPS5やXbox、Nintendo Switch 2といったゲーム機自体にも、アクセシビリティ機能は搭載されています。ですが、ゲーム機搭載の機能でカバーできるプレイヤーは視覚・聴覚障害者が中心で、「すべての人」というにはまだ足りない状況です。
誰しも年を取り、また病は人を選ばず降りかかります。「誰もが遊べる」ゲームの実現に向け、2026年の「オールアクセシビリティ」コーナーがより拡大していることを願うばかりです。










