パナソニック コネクトは5月27日、同社製ノートPC「Let'snote」(レッツノート)の新モデル「SC」シリーズおよび「FC」シリーズを発表した。

コロナ禍を経てリアル出社への回帰やモバイルPCへの移行、ハイブリッドワークの浸透が広がるなかで、ビジネスPCを常に持ち運ぶユーザーや企業のIT管理者をより適切にサポートする新製品といいい、レッツノートの「頑丈」「軽量」「長時間駆動」という3つの基本コンセプトを「徹底的に追求した」という。

  • 左から順に12.4型のSC(カームグレイ)、14.0型のFC、SCのブラックモデル

    左から順に12.4型のSC(カームグレイ)、14.0型のFC、SCのブラック

  • SCはSRシリーズの後継、FCはFVシリーズの後継にあたる。設計の“フルモデルチェンジ”を果たし液晶サイズに関わる部品以外のパーツを共通化した

12.4型のSCシリーズ、14.0型のFCシリーズ

12.4型のSCシリーズは個人向け、法人向けの両方で提供。14.0型のFCシリーズは法人向けのみの提供となる。2モデルのハードウェア・ソフトウェアは高い「互換性」を備えており、画面サイズに関するもの以外は全て共通の部品を採用。IT管理者が2機種まとめて導入しやすいポイントとする。

CPUを含め部品を共通化している関係で、2つのモデルのハードウェア的な特徴はほぼ同じだ。今回の新モデルは内部やインタフェースを大きく変更した“フルモデルチェンジ”製品で、大きな特徴は下記となる。スペックなどの詳細はニュース記事「レッツノート2025年夏モデルで12.4型「SC」が新登場、よりタフ&長時間駆動に」で紹介しているのでご参照いただけると幸いだ。

●MIL-STD-810Hに基づいた品質試験を追加
●従来モデルから20gの削減(SCモデル)
●バッテリー増量かつ省電力化で長時間駆動
●画面サイズ関連以外の部品を共通化

  • SCとFCは部品を共通化した“兄弟機”。保守運用の工数削減を図り企業やIT管理者をサポートする

「頑丈」を特徴の1つとするレッツノートは従来から独自の品質試験を実施してきたが、SCおよびFCでは新たに、米国防総省の調達基準である「MIL規格」(MIL-STD-810H)に基づいた試験を追加した。例えば76cm・26方向の落下試験が行われており、これをクリアするため、側面全体を保護するクッションを内部に追加したほか、強度を増す構造体を実現するためのシミュレーションを重ね、背面のネジ留め位置を改善している。

VGAの搭載がついに廃止。その理由は?

軽さについては素材にマグネシウム合金を採用し、インタフェースからVGA端子やSDカードスロットを省くなどして最適化することで、本体が約919gという軽さを実現。またバッテリーパックを樹脂で覆う構造から薄肉アルミニウム素材に変更し、取り付けをネジ式とすることで内部空間を拡大して、バッテリー容量自体も増加した。さらにバッテリー駆動時は輝度を70%にすることで省電力化も進め、これらにより動画再生で約12.7時間の駆動時間が可能となっている(JEITA 3.0測定)。

なおVGAの廃止は「HDMIに切り替えている顧客が多い」、SDカードスロットの廃止は「法人顧客の多くから、昨今のセキュリティリスクを鑑みて削除要請が多かった」ためと、市場の総合的なニーズを考慮して非実装としたとのこと。

  • 独自の品質テストを行ってきたレッツノートがMIL規格に基づいた試験も実施

  • 従来はコーナーのみクッションで保護していたが、MIL規格に基づく試験を追加したことで側面全体にクッションを追加している

  • バッテリー容量の増加や省電力機能の改善により、さらなる長時間駆動を実現した

  • バッテリーパックは取り付け方法をねじ式に変更し、ケースを樹脂から薄肉アルミに変えたことで、容量を増加できた

「共通化」は管理の手間を減らす工夫

さて、上で紹介したようにSCとFCは画面サイズに関する部品以外は共通のパーツが使われている。基板や冷却ファン、タッチパッド、スピーカーなどだ。これはIT管理業務者の「管理工数を減らしたい」という要望に応えたもので、ハードウェアの「互換性」を徹底したことで、12.4型のSCと14型のFCの2機種を同時に導入する場合でも、機材の評価や問い合わせ対応、キッティング環境更新といった導入・保守管理運用の工数を(2台個別に行うより)大幅に削減できることがメリットとなる。

プロセッサは個人向けではCore Ultra 7 255HまたはCore Ultra 5 255U、法人向けではCore Ultra 5 235U vProまたはCore Ultra 7 265H vProを採用。従来からCPUを新しくしたことで冷却機構も改善し、ファンからの排気スペースを拡大した。

  • 12.4型と14型を同時に導入しても基本設計が共通のため導入や保守管理の工数を削減できる

  • Arrow Lake世代のプロセッサを採用。CPUパフォーマンスを高い状態で長く保つパナソニック コネクトの独自技術「Maxperformer」も搭載する

  • 従来シリーズ「SR」と、新しい「SC」「FC」の冷却ファンユニットの違い

  • FCの内部(左)とSCの内部(右)。基板も含め同じ作りとなっている

FCとSCは筐体が共通化されているぶん、それぞれの立ち位置がわかりにくいかもしれない。パナソニック コネクトでは12.4型のSCは基本的に持ち運んで使う用途を想定し、14型のFCは(SCより持ち運びの頻度が低く)在宅やオフィスなど長時間据え置いて使う用途を想定しており、業務に応じた使い分けが可能だとする。

レッツノートは2025年で29年目を迎え、2024年度は過去最高の販売金額を達成したという。同社は「ユーザーのビジネスに貢献するため、さらなる技術革新と互換性の向上に努めたい」とした。

  • パナソニック コネクトが想定するSCとFCの使い分けに

  • 梱包箱も小型化し効率的な配送が可能に。FC・SCを含め全てのレッツノートで同じ梱包箱を使用する

  • レッツノート SCの外観。FCと同じサイズの大型ホイールパッドはインパクト大