2024年9月26日から29日まで開催された「東京ゲームショウ2024(TGS2024)」。「ビジネスデイ」の26日と27日はゲームビジネス関係者が多く来場するのに対し、「一般公開日」の28日と29日は幅広いゲームファンが訪れる。特に、一般公開日には、イベントホールで「ファミリーゲームパーク」もオープン。中学生以下の子どもとその同伴保護者のみが対象という条件があるものの、入場無料でさまざまなコンテンツを体験できるようになっている。
「ファミリーゲームパーク」には、子ども向けの最新のゲームが遊べる「遊ぶゾーン」、ゲームを作る職業を体験できる「学ぶゾーン」をはじめ、「キッズステージプログラム」など、さまざまなコンテンツが用意されていた。
自分がデザインしたマシンでレースに参加しよう
なかでも、目を引いたのが「キャラクターデザイナー体験」。3歳以上の子どもが参加可能な企画で、次世代型テーマパーク「リトルプラネット」で展開されているアトラクション「3Dレーシング」を体験できる内容だ。
「3Dレーシング」は、紙に描いた乗り物をスキャンして、レースゲームに登場させるコンテンツ。自分がデザインしたマシンを応援しながら、どんなレース展開になるのか、見て楽しむことができる。定員は20名。毎時15分、45分スタートで各日13回実施された。
参加する子どもがみんな集まったら、まずはお姉さんから「ゲームのお仕事」の紹介。「ゲームのお仕事、どれくらいあるか知っているかな?」と聞かれると、子どもたちは元気いっぱいに手を挙げる。「3つ!」「10個」と大きな声が聞こえてきた。
そこからゲームができるまでの流れを丁寧に説明するお姉さん。子どもたちは熱心にゲームを作るお仕事の説明に耳を傾けていた。
説明が終わると、いざデザイン開始。テーブルの上に置かれていたクレヨンと用紙に手が伸びる。デザインできるマシンは「バイク」「バス」「フォーミュラーカー」「ブルドーザー」「くるま」などさまざま。種類ごとにそれぞれ異なる用紙が用意されており、小さなキャラクターデザイナーたちは、自らのセンスをもとに、マシンのタイプを選んでいた。
そのあとは黙々とデザインする作業だ。好きな色をしっかりと塗り込む子もいれば、猫のマークをロゴのように描く子など、個性豊かなマシンが次々と出来上がっていく。デザインの仕方や色の塗り方で性能が変わるとのことだったが、子どもたちは速さよりもカッコよさやカワイさを追求する。
自慢のマシンが完成したら、用紙をスキャン。ちびっこデザイナーは、自分の描いた絵がゲームに登場するところをワクワクしながら見守っていた。一定数のマシンがエントリーしたらいよいよ第1レースがスタートだ。
画面近くに集まる子どもたち。デザインしたマシンを応援する。「いけー!」「僕の描いたやつだ」と、盛り上がりも最高潮。白熱したレースの様子を伝えるお姉さんの名実況が響きわたった。
親子でゲームを楽しめる至福の空間
ほかにも「ファミリーゲームパーク」には、「プログラマー体験」「サウンドクリエイター体験」など、ゲームの仕事の一端に触れられるコーナーが用意されていた。楽しく学べることは、子どもたちの興味関心を刺激するいい機会になるだろう。
だが、お勉強したら、ゲームで遊ぶ時間もほしくなるものだ。エリア内には、TGS2024の有料コーナーと同様に、最新ゲームの試遊コーナーも用意されていた。
タイトルは『アストロボット』『モンスターハンター ストーリーズ』『ドラゴンクエストモンスターズ3 魔族の王子とエルフの旅』『パワーウォッシュ シミュレーター』『ソニック × シャドウ ジェネレーションズ』『Risdom(リズダム)』などさまざま。意外だったのは、子どもだけでなく、子どものゲームプレイを熱心に見ていたお父さんやお母さんが多かったことだ。一生懸命スマートフォンで我が子のゲームプレイの様子を動画で撮影している人も多かった。
子どもの遊ぶゲームを把握しようとしているのか、最新ゲームのシステムやグラフィックに目を奪われたのか、はたまた、自分もプレイしたいとうらやましがっているのか、いずれにせよ、連れてきてもらった子どもたちにとっては、いい思い出になったことだろう。
TGSの有料ゾーンでは開場とほぼ同時に整理券配布が終了したタイトルも少なくない。そんなTGSで、比較的ゆったりとしたスペースでゲームを楽しめるうえ、学びを得られる企画も用意されている「ファミリーゲームパーク」に入場できることは、子どもたちの特権と言えるだろう。
そして、勉強して、たくさん遊んだら、しっかり腹ごしらえもお忘れなく。「ファミリーゲームパーク」にはゲームとコラボした本格的なメニューを提供してくれるキッチンカーがズラリと並ぶ。
しかも、会場の2階部分はゆったり座れるイスが設置されている休憩スペースだ。お腹いっぱいになって、ちょっと休憩したら、また、ゲームをプレイしに、ゲームの仕事に触れにいく。「ファミリーゲームパーク」には、そんな最高の贅沢空間が広がっているように感じた。