シャープは7月2日、ライカカメラがカメラを監修したスマートフォン「AQUOS R9」やコスパに優れた「AQUOS wish4」の2モデルを7月12日から発売すると発表し、報道関係者向けの体験会を開催しました。「はっきりいって自信作」(通信事業本部本部長・小林繁氏)という今回の新製品は、デザインを一新して機能を向上させています。
そんな「AQUOS R9」と「AQUOS wish4」のデザインにまつわる裏話と新機能をチェックしました。
2年ぶりに一新されたデザイン
「AQUOS R9」は、同社のハイエンドスマートフォンのラインナップです。「AQUOS R」シリーズは最上位に「pro」があり、前モデルの「AQUOS R8 pro」は1型センサーとライカ監修の高いカメラ性能を備えていました。その「AQUOS R」シリーズの無印モデルである「AQUOS R9」では、デザインを一新しました。同時に「AQUOS wish4」でも同系統のデザインを採用し、「AQUOS」スマートフォン全体での統一感を持たせました。
「AQUOS R7」から、本体の中心に大型のカメラ部を配置したデザインを採用してきた「AQUOS R」シリーズですが、「AQUOS R9」ではミヤケデザインに依頼してデザインを大幅に変更しています。新デザインは、カメラ周辺のデザインが「自由曲線」という楕円を本体左上に配置した特徴的なスタイルになっています。
ミヤケデザイン代表の三宅一成氏は、「四隅を揃えて、センターを揃えてというのが王道のデザインだが、かなり自由な丸でも四角でもない形があって、ちょっと横長。カメラのレイアウトも中心を揃えずにランダムな配置」にしたと説明。
これによって「感覚的に決められた、ちょっとゆるい感じがする」(三宅氏)というデザインになりました。三宅氏は「人に近い感じになる。どうやったらプロダクトを人に近い形になるか探した結果、最終的な手段として自由曲線になった」と話します。
ちなみに5月の発表以来、ネット上ではとあるキャラクターに似ていると言われているそうで、三宅氏は「何かに似せようとかキャラクターっぽくしようというのは全然なかったが、ネットでキャラクターの話が出てきて、確かにそうかもと思った」と言います。
自身は意識していなかったそうですが、こうして何かに例えられることは「いいことで歓迎」とのことです。それは、簡単な言葉で説明できてデザインが伝わりやすいからなのだと言います。
そうして2年程度でデザインの大幅刷新となった「AQUOS R9」ですが、5月の発表以来、日本だけでなく海外の反応も良好だと小林氏は言います。三宅氏が示した最初のデザインスケッチでは小林氏もしっくりきていなかったものの、最終的な製品はかなり気に入り、毎日使っているそうです。
今回「AQUOS R9 pro」の投入はなかったものの、「pro」シリーズは「やめていない」と小林氏は強調しています。とはいえ、今回のデザインは、カメラを中心に据えたハイエンドスマートフォンの「pro」シリーズとの統一感が難しいのではないかという印象も受けました。
仮に次の「pro」シリーズも1型センサーと大型レンズを搭載した場合、やはりカメラを片側に寄せたデザインはバランス的にも難しいように見えます。通信事業本部パーソナル通信事業部事業部長の中江優晃氏は、「ああ、そうやってきたのか、というような製品に仕上げていきたい。乞うご期待ですね」と話していました。
進化した機能
これまで、大型のカメラ部が放熱の役割も担っていましたが、新たにベイパーチャンバーを搭載したことで放熱性能が大幅に向上。カメラ部からの放熱をしなくても温度をさらに下げられるようになったため、デザインの自由度が向上したということもありそうです。
こうしたデザインの刷新だけでなく、機能面でも新機能が搭載されています。搭載されているSoCはSnapdragon 7+ Gen 3ですが、この「+」がついたSoCの性能はかなり高いそうで、最上位のSnapdragon 8シリーズと比べても十分なパフォーマンスを発揮できるそうです。
AI性能も高く、カメラにおけるセマンテックセグメンテーションの搭載や生成AIを活用した伝言アシスタント機能を搭載しました。ただし、オンデバイスAIによる音声のテキスト化と要約はリアルタイムに実行することはできず、伝言アシスタントも生成に1分ほどの時間を要するのはSoCのパフォーマンスによるものとのことです。
セマンテックセグメンテーションの解説
伝言アシスタント機能
「料理の影を消す」機能
ディスプレイ輝度の向上
落下試験
オートフォーカスの追尾
「AQUOS wish4」の暗所でのAF性能の向上
なお今期の「AQUOS」は、昭和の名優として知られて若くして亡くなった松田優作氏をアンバサダーに起用。AIやモーションキャプチャー、3DCGといった最新技術を駆使して現代に蘇らせました。「かっこいい武骨な部分と、お茶目でかわいい部分の両方を持ち合わせていた。それをブランドイメージに重ね合わせた」ということで、今後交通広告を含めて各所で起用していく考え。なお、制作にあたっては松田優作氏の遺族である松田美由紀氏に何度も監修してもらったそうです。