アプリケーションの充実で利用者拡大を狙う

新製品をクリエイターなどの利用者向けに位置付けるソニーは、その発売に合わせて、すぐに利用できる空間再現ディスプレイ用アプリケーションを紹介するポータルサイトとして、空間再現ディスプレイ アプリセレクトの提供も開始した。

同ポータルサイトには、3DCGや点群データの表示アプリ、あるいは医療教育用のアプリなど、さまざまな業界での利用を見据えたソフトウェア群が揃う。これらのアプリには、ソニーが開発したものに加え、パートナー企業や教育機関などが提供するものも含まれており、ディスプレイの実用事例を含め、順次ラインナップを追加していくとする。

  • 空間再現ディスプレイ アプリセレクトで提供されるアプリケーションのリスト。順次追加も行っていくという。

    空間再現ディスプレイ アプリセレクトで提供されるアプリケーションのリスト。順次追加も行っていくという。

ソニーが提供するソフトウェアの1つに、空間再現ディスプレイ プレーヤーがある。これは、保有する3DCGデータを簡単に表示・再生できるアプリで、クリエイターの制作現場に加え、建設業界におけるプレゼンテーションでの視認性向上、ショールームでの展示の高質化など、幅広い用途に向けての利用が想定される。また同アプリは強みとして、FBXやOBJといった利用頻度の高いデータフォーマット4種類に対応しているため、空間再現映像の利用ハードルを低減するとしている。

医療領域での3Dデータ利用拡大に期待

記者発表会では、ELF-SR2の製品デモンストレーションも実施。従来機との画面サイズ比較や、パートナー企業が作成したデータを用いた映像の視聴などが並び、新製品の強みや活用法が紹介された。 その中で注目が集まったのは、医師で医学博士の瀬尾拡史氏が代表取締役社長を務めるサイアメントが提供する、医療向けDICOMデータ表示アプリ「Viewtify」だ。同アプリは、生体内組織の再現データを3Dデータとして表示するもので、経時的な動きも再現可能。これを空間再現ディスプレイと組み合わせることで、各組織の状態を立体的に確認することができ、また視点を変えることで“覗き込む”作業も行えるという。

  • Viewtifyと空間再現ディスプレイを組み合わせることで、生体組織の微細構造や動きを再現した映像を、立体的かつ実寸大で確認することができる。

    Viewtifyと空間再現ディスプレイを組み合わせることで、生体組織の微細構造や動きを再現した映像を、立体的かつ実寸大で確認することができる。

ELF-SR1から空間再現ディスプレイを利用しているという瀬尾氏だが、今回のELF-SR2の発売について「まったく新しい製品が出てきた」と印象を語る。医療領域では、生体組織を実寸大で確認することに大きな価値があり、医療機器をかざしながら施術方法を検討することなどがあるという。ディスプレイの大画面化は、すなわち実寸表示が可能なサイズが拡大したということであり、この点について利便性の大きな向上を感じているとのことだ。

また、医療では精密な作業が求められるため、大画面化に伴う画質の低下を懸念していたというが、これについても画質が維持されており、純粋に利用の幅を広げることができたとしている。