西ノルウェー応用科学大学のロジャー・ヘンリクセン准教授らの研究チームが、孤独と2型糖尿病の関連性に関する研究結果を発表した。発表によれば、孤独な人は、そうでない人よりも糖尿病リスクが2倍高くなるらしい。

  • 孤独な人は「糖尿病」になるリスクが2倍高い? 孤独なライフスタイルが影響か

    孤独な人は、糖尿病になるリスクが2倍高くなる?

2型糖尿病は、インスリンの作用不足により、血中のブドウ糖をうまく処理できず、血糖値が高い状態が続いてしまう病気とされる。主に食べ過ぎや、飲み過ぎ、運動不足などが原因で、進行すると合併症を引き起こしてしまう。近年、孤独感がこの2型糖尿病と関連する可能性が示唆されていた。そこで本研究では、2型糖尿病に対する孤独の影響を調査。さらに、孤独と2型糖尿病は両方とも、うつ病や睡眠障害と関連することから孤独感による、うつ病や不眠症が2型糖尿病のリスク上昇につながるかも検討した。

本研究では、ノルウェー中央部の住民を対象とした大規模健康調査であるHUNT研究を用いて合計24,024人のデータを使用。このデータは1984年から2019年までに全4回の調査を行い約23万人のデータが保存されている。孤独感に関する自己報告と、血液中のヘモグロビンがブドウ糖と結合している割合を示すHbA1c値に関するデータの分析を行なった。

結果としては、孤独を感じる人は、そうでない人と比べて2型糖尿病になるリスクが2倍高くなることが明らかとなったという。具体的には、過去2週間のうちに孤独を感じたという質問に対して、「とても感じた」と回答した参加者は、20年後の調査において、2型糖尿病になる確率が孤独を感じなかった参加者に比べて2倍高かったのだとか。24,024人のうち、4.9%にあたる1,179人が2型糖尿病を発症。2型糖尿病患者は、男性の割合が59%で、平均年齢は48歳だったそうだ。一方で、孤独の2型糖尿病への影響が、うつ病や不眠症によって媒介されるという結果は得られなかったという。

今回の結果に対して、同研究チームは、2型糖尿病に関する診察などに関する臨床ガイドラインに「孤独感」を盛り込む必要があるとしている。また「医療従事者が臨床診察の際に、孤独感や社会的交流に関しても含めて、個人の懸念についてオープンに対話することが重要だ」とコメントしている。

同研究チームは、この結果に社会的支援や、社会的関与などは、健康増進のための行動にプラスの効果をもたらす可能性があるのではないかと推論している。例えば、友人からの評価やアドバイスは、身体活動や、食事、BMIにプラスの効果を与える。逆に、孤独な人は、社会的な繋がりが少なく、健康的な食事や定期的な運動などのライフスタイルに対する潜在的にプラスの影響が不足して2型糖尿病のリスクを高める可能性のある行動に陥りやすくなるというのだ。