ドイツのシュトゥットガルト大学と韓国の浦項工科大学の研究チームは、クマムシの凍結状態における経年変化に関する論文を発表。クマムシが凍結中は老化しないことを明らかにした。

  • クマムシは凍結中に「老化しない」と判明、最強伝説の更新にネット「最強のニート」

    クマムシはやっぱり最強かな?

クマムシは、1ミリほどの大きさで、干ばつや低温などの過酷な環境条件への適応に優れていることで知られる。自分の体を猛暑では乾燥させたり、寒冷地では凍結させたりして生き延びることができる。宇宙空間でも生存できたという実験もあり、地上最強の生物と言われることもある。

以前の研究で、1983年に南極大陸で採取され、30年以上凍っていたクマムシを解凍すると、蘇ったという報告がされている。しかし、クマムシの寿命は1カ月から1年だ。この時、これが凍結状態で老化していないと考えられたことから、グリム童話のタイトルから「眠れる森の美女」仮説とも呼ばれていた。しかし、実際のこれの老化の詳細に関してはいまだに調査されていなかった。そこで、クマムシの体内時計はどうなっていたのか、休息状態のまま歳をとっていたのかを調査するために、本研究が行われた。

本研究では、Milnesium inceptumというクマムシを716個体使用し、実験群と、実験を行わない対象群に分けた。実験ではクマムシを完全に凍結させるため-30℃で冷却し7日間保管。その後、一晩かけてゆっくりと解凍し、7日間の給餌を行う。そして再び冷却といった具合で、全てのクマムシが死亡するまで何度も凍結と給餌を繰り返した。

結果としては、凍結実験をおこなった実験群のクマムシは、対照群のクマムシと比較して、2倍以上長生きした。一方で、実験群のクマムシは凍結期間を除くと対照群とほぼ同じ寿命だということがわかった。具体的には、実験群のクマムシは最高生存期間169日で、凍結期間を除くと94日だった。対照群での最高生存期間は93日となった。

さらに、クマムシの貯蔵細胞を解析したところ、対照群と比較して、細胞のサイズが小さくなっていることも判明したという。これは、乾燥状態への移行に必要なエネルギーを貯蔵細胞が補っていると同研究チームは結論づけた。

同研究チームは、本研究は、クマムシが凍結状態での老化を抑制することを示す最初の実験的証拠だと述べている。また、本研究ではMilnesium inceptumというクマムシの1種類でしか実験を行わなかったが、この結果は他の種にも適用可能であると思われるとしている。

ネット上では「これで何万光年という距離を冷凍して移動できますね」「最強のニート」「これコールドスリープに応用できるんじゃね⁉︎」などの声が寄せられた。