Samsungは8月10日に、Galaxyシリーズの新製品を発表する「Galaxy Unpacked」を開催しました。コロナ禍にあって今回もオンライン開催となりましたが、折りたたみスマートフォン「Galaxy Z Fold4」「Galaxy Z Flip4」、完全ワイヤレスイヤホン「Galaxy Buds2 Pro」、「Galaxy Watch5」「Galaxy Watch5 Pro」が発表されました。

  • TM Roh氏

    「Galaxy Unpacked」のオンラインイベントに登場したTM Roh氏

1000万ユーザーを突破したフォルダブル

SamsungのMX Business部門トップのTM Roh氏はイベントの冒頭、「我々のフォルダブルに関する歴史は10年以上」と説明。Galaxy Foldの画面プロトタイプを作成してから8年間、開発を続けてきたとアピールします。

  • 折りたたみについての研究

    折りたたみを長年研究してきたとアピール

2021年には、約1,000万ユーザーが折りたたみスマートフォンを利用するようになり、市場は3倍に成長したと言います。3年前にはほぼ存在しなかった市場において、「我々がメインストリームを先導している」と自信を示します。

より一般層が使えることを目指した「Galaxy Z Flip4」

第4世代となる今回のGalaxy Zシリーズでは、まずは「Z Flip4」の紹介からイベントがスタート。折りたたみスタイルを生かした、「FlexCam」と呼ばれる自由度の高い撮影機能が説明されました。折りたたんで平面に設置することで三脚なく固定でき、ビデオカメラのようなシューティングスタイルで撮影できるなど、新しいカメラの撮影手法がアピールされています。

  • ビデオカメラのように撮影
  • 平面に設置

    折りたたみを生かした様々なスタイルでの撮影が可能

夜景撮影を強化した「Nightgraphy」機能も搭載し、強化されたNPUと1.4μmから1.8μmへとピクセルサイズが大型化したカメラセンサーによって、より色彩豊かで精細な夜景撮影が可能だとしています。光学式手ブレ補正と電子式手ブレ補正を併用できるため夜景ビデオ撮影も得意だとアピール。

こうした機能はInstagramでも便利だということで、MetaのInstagram部門トップであるAdam Mosseri氏も登場。数年来のMetaとSamsungのパートナーシップがより深まり、「Z Flip」「Z Fold」でのMetaのアプリをより使いやすくしていると話します。

  • Adam Mosseri氏

    MetaのAdam Mosseri氏

  • FacebookアプリとMessengerアプリを並べて利用

    Metaは折りたたみスマホ向けにアプリをカスタマイズしている。この写真は「Z Fold」でFacebookアプリとMessengerアプリを並べて利用しているシーン

  • InsgagramアプリとFacebookアプリを全画面表示
  • 折り曲げるとFlexモードに切り替わる

    FacebookアプリとInstagramアプリを全画面で表示し、折り曲げるとFlexモードで利用できるという機能を紹介

「Z Flip4」は、より若者向けのライトな使い方を提案しているイメージで、折りたたんだ状態の小さなカバーディスプレイから、絵文字を使ったメッセージの返信、ホームIoT製品のコントロール、タッチ決済での支払いなどができる点を紹介。好きな動画や写真をカバースクリーンの背景に設定できるカスタマイズ性もアピールします。

  • カバーディスプレイをファインダーとして使う

    カバーディスプレイをファインダーとして使う場合、新たに撮影時のアスペクト比での表示が可能になり、ポートレートモードも使えるようになりました

  • カバーディスプレイからメッセージに返信

    メッセージを受信した場合、そのままカバーディスプレイで絵文字付きの返信も可能

  • カバーディスプレイからIoT機器を操作

    SmartThings経由で自宅のIoT機器をコントロール

  • 折りたたんだままタッチ決済

    利用するカードを選択して閉じたままタッチ決済が可能

2本指のスワイプでアプリを分割表示して、マルチウィンドウ作業ができるUIやGoogle MeetでのYouTubeやSpotifyの共有機能など、折りたたみスマートフォンとして使いやすい操作性も強化。

基本的なデザインは変わらず、ヒンジの薄型化によるコンパクト化はされましたが、基本的にはソフトウェア的なアップデートの方が大きそうです。

グローバルでは、カラーリングをカスタマイズできるBespoke Editionも登場。グローバルでの発売は8月26日から。価格は999ドルからとなっています。

  • Bespoke Edition

    カラーリングをカスタマイズするBespoke Edition

  • 主なスペック

    「Galaxy Z Flip4」の主なスペック

音質も向上してLE Audioにも対応する「Galaxy Buds2 Pro」

続いて紹介されたのは「Galaxy Buds2 Pro」。Hi-Fi 24bit Audioに対応したことで、より豊かでダイナミックレンジの広い音楽が楽しめるとしています。16bit 44.1kHzに対して24bit 48kHzだと256倍の情報量を伝送できるそうです。

  • Galaxy Buds2 Pro

    「Galaxy Buds2 Pro」。Galaxy端末と連携すると真価を発揮します

  • 24bit 48kHzの情報量

    24bit 48kHzは16bit 44.1kHzの256倍の情報量、とのこと

ただし、これはSamsung独自のシームレスコーデックを利用しているということで、対応するGalaxy端末以外では体験できないようです。

5.3mmのトゥイーターと10mmのウーファーを備え、有線イヤホンと同等の音質を実現できるそうです。加えて、360 Audioも進化して、よりリアルに360度のオーディオを体感できるといいます。

  • 内部構造

    5.3mmのトゥイーター、10mmのウーファーを搭載

  • 360 Audioのイメージ

    360 Audioでマルチチャネルスピーカーに囲まれているような音響を体験できるそうです

40%の性能向上したアクティブノイズキャンセリング(ANC)は、さらに音声検出機能も搭載。ユーザーが話し始めると音声を検出して音楽を停止。アンビエントモードをオンにして周囲の音を聞けるようにします。会話が終了すれば自動的に元の状態に戻ります。

マイクはビームフォーミングを備え、個人の状態にパーソナライズされてよりクリアに音声を収録できるとしています。

今年後半には、LE Audioにも対応予定。リアリティのある360度サウンドを記録できるようになるようです。発売はグローバルでは8月26日から、価格は229ドルからです。

センサーが進化した「Galaxy Watch5」

「Galaxy Watch5」は、より洗練されたウォッチフェイスを内蔵し、フェイスのカスタマイズも可能。サファイアクリスタルを採用したことでディスプレイの耐久性も向上しました。

  • Galaxy Watch5

    4つのバンドカラーを用意した「Galaxy Watch5」

  • BioActiveセンサー

    BioActiveセンサーによって様々な体の情報を手首から取得できます

側面ボタンを2本指で同時に触れて体組成を計測することができます。睡眠検出機能もあり、いびき、血中酸素、心拍数を検知して記録。睡眠の改善に必要な情報を得られます。裏面のセンサーは従来通り独自のBioActiveセンサーで、ECGセンサーも搭載しています。

  • 取得できる情報

    「Galaxy Watch5」で取得できる各種情報

新たに温度センサーを裏面に搭載。周辺温度や体温を計測することができるようになりました。

  • 温度センサー

    温度センサーを新搭載

  • 「Galaxy Buds2 Pro」と「Galaxy Watch5」の主なスペック

    「Galaxy Buds2 Pro」と「Galaxy Watch5」の主なスペック

今回のGalaxy Unpackedでは、「Galaxy Z Flip4」と「Watch5」「Buds2 Pro」の組み合わせを強くアピールする構成となっており、それらの紹介が終わったあとに、「Galaxy Z Fold4」の紹介に移りました。

新OSでさらに使いやすくなった「Galaxy Z Fold4」

「Galaxy Z Fold4」では、まずヒンジの薄型化から紹介。ギアを使わない構造にすることでスリム化したそうです。

  • 「Z Fold」のヒンジ部

    「Z Fold」の折りたたみを実現するヒンジ部

  • ギアによるこれまでのヒンジ

    ギアによって折りたたみをしていたこれまでのヒンジ

  • ギアを排した「Z Fold4」のヒンジ

    新型では、ギアではなくよりスリムな形状のヒンジに再設計されました

さらにディスプレイに今まで存在したメタル層をなくして、新たにFRPによるデジタイザー層を設けました。こうした細かな改良を他にもいろいろと採用しているようで、見えないところでの機能向上を果たしているようです。

  • ディスプレイの層構造

    今まではデジタイザー層の下に金属層があり、これを削減したそうです

ヒンジがスリムになってよりスリムベゼルになったほか、ディスプレイ下に配置されたインカメラ(UDC)がさらに改善され、目立ちにくくなったとしています。全画面で動画を視聴している場合など、より没入感が得られそうです。

  • インカメラの改善

    画面内カメラが改善されてより目立ちにくく

OSは新たにAndroid 12Lを搭載。タブレット向けのAndroid OSで、画面下部にタスクバーが表示できるようになり、マルチタスクがより快適に行えるようになりました。Microsoft Officeとの連携も強化され、ドラッグ&ドロップでデータを移動して別アプリに貼り付けるといった操作が可能です。

  • ディスプレイ下部のタスクバー

    ディスプレイ下部にタスクバーが表示されるように

  • Microsoft Officeのドラッグ&ドロップ

    Microsoft Officeなどでドラッグ&ドロップによるデータのコピーなどが可能に

カメラはトリプルカメラのままですが、新たに50メガピクセルのセンサーを搭載。ピクセルビニングでより大きなピクセルピッチでの撮影が可能になるなど機能強化。Nightgraphy機能も搭載しました。

  • 中央のメインカメラが50メガピクセルになりました,50メガピクセルのメインカメラ

もちろん、従来通りSペンにも対応。手書き入力もサポートしています。「Galaxy Z Fold4」の発売は8月26日から。価格は約1,799ドルからとなっています。

  • 「Galaxy Z Fold4」の主なスペック,「Galaxy Z Fold4」の主なスペック

よりハードに使える「Galaxy Watch5 Pro」

より堅牢なボディでハードなアクティビティ向けに開発されたのが「Galaxy Watch5 Pro」です。基本的な機能、センサーなどのスペックは同等ですが、デザインやケース、バンドなど、よりハードな環境にも耐えられるスペックとなっています。

  • Galaxy Watch5 Pro

    Galaxy Watch5 Pro

ウォッチフェイスでコンパスが利用できたり、ターンバイターン方式のナビ機能が搭載されていたり、ルートの共有をしたりと、様々な機能も搭載しています。トラックバック機能を使えば、たどってきたルートをそのまま逆に案内してくれます。

  • ルート案内機能

    Watch5 Pro上でルート案内をしてくれます

  • ルートを共有

    ルートを登録したグループ上で共有してくれる機能

  • トラックバック機能

    目的地までのたどったルートを逆に案内してくれるトラックバック機能

Galaxy Watch4よりも2倍堅牢というサファイアクリスタルディスプレイと、チタンフレームによるタフネスなケースを採用。バンドはマグネットでピタッと固定するD-Buckle Sport Bandを採用しています。

発売は8月26日、価格は449ドルから。ゴルフプレーに特化した「Galaxy Watch5 Pro Golf Edition」も用意されるそうです。

  • 「Galaxy Watch5 Pro」の主なスペック,「Galaxy Watch5 Pro」の主なスペック