現地時間7月11日、米航空宇宙(NASA)は、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)が撮影した初のフルカラー画像として、約46億光年先にある銀河団「SMACS 0723」の画像を公開した。続く12日には「南のリング星雲」「イータカリーナ星雲」「ステファンの5つ子銀河」の画像も追加で公開した。

  • NASAの新型、ウェッブ宇宙望遠鏡が撮った画像が本当に凄い

    ウェッブ宇宙望遠鏡が捉えた宇宙の画像を初公開

今回公開された画像は「SMACS 0723」「南のリング星雲」「ステファンの5つ子銀河」「イータカリーナ星雲」などだ。例えば「ステファンの5つ子銀河」は、5つの銀河が非常に近いことで知られており、今回公開された画像では、5つの銀河がとても鮮明に写っている。「イータカリーナ星雲」の画像では、カリーナ星雲の「NGC3324」という若い星が誕生している領域を写しており、崖や山のような形の茶色いモヤモヤは高温のガスやチリだそうで、これまで見えなかった星の誕生を明らかとする画像なのだとか。どれも神秘的で魅入ってしまう画像ばかりだ。

  • 何千もの銀河で溢れる「SMACS 0723」。見えているのは約46億年前の姿ということになる

  • 約2,500光年の距離にある「南のリング星雲」。左側がNIRCam(近赤外線カメラ)、右側がMIRI(中赤外線カメラ)で撮影された。波長の異なる光を可視化できるため、見た目に違いが出ている

  • 「ステファンの5つ子銀河」。約1,000個の画像ファイルをつなぎ合わせた巨大な画像で、総ピクセル数は1億5,000万を超えるそう

  • 「イータカリーナ星雲」。星が散りばめられた山のようで、とても神秘的。「宇宙の断崖」という呼び名もあるそうだ

ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、ハッブル宇宙望遠鏡の後継機として、NASAが20年以上の歳月と1兆円を超える費用をかけて進めてきたプロジェクトで、2021年12月に打ち上げられ、これまで本格的な観測に向けて機器の調整が行われていた。人間の目で視認できない、波長の長い赤外線をとらえることに特化しており、135億光年以上離れた宇宙を観測することができるという。NASAはこの新しい宇宙望遠鏡を使って、「私たちの太陽系の謎を解き、他の星の周りの遠い世界に目を向け、私たちの宇宙とその中の私たちの場所の構造と起源を調査する」としている。

  • ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡