今ではすっかり「企業アカ炎上の日」に認定されつつあるエイプリルフールだが、それを乗り越えた面構えの違う企業を待ち構えているのが「新入社員入社」だ。

起こることすべてをSNSに書いてきた学生気分を引きずって入社した新卒新入社員が早速大暴れし、せっかくエイプリルフールで死守したウォールマリアを破壊された企業がいくつかある。

まず「脚光を浴びた」とさえ言っていいのが「芸能人にもたくさん会えて楽しい!」という旨の投稿と共に、番組構成やシフト表などの重要資料をインスタに晒した、日テレの某番組に関わる新人制作と思しきスタッフだろう。

資料には出演芸能人の名前もバッチリ記載されており、とにかく有名芸能人と仕事できて嬉しいという初々しい気持ちが伝わってくる、新卒社員であるならこのようなフレッシュさはむしろ必要だろう。

しかし、瑞々しさだけでなく己の名前が入ったテレビ局の入館証も晒すなど「テレビ局で有名人と一緒に仕事しているのはこの私」という生々しい承認欲求も丸出しであり、言うまでもないが番組資料を流出させるのは重大なコンプラ違反である。

この、芸能人を前に我を忘れて承認欲求爆発炎上の華々しさに比べれば「地味」ではあるが、「凄み」という意味では他の追随を許していないのが三菱電機子会社の新入社員が起こした炎上だ。

新入社員の女性が機密保持誓約書を含む入社時必須提出書類をインスタに投稿し、それが拡散され大炎上したそうだ。

つまり「情報を漏洩しません」という契約書を漏洩させた、ということだ。果たしてこれを「愚か」の一言で済ませてよいのだろうか。

個人的には「私は聖典でケツを拭けるし、AEDで人を撲殺できる女だ」というロックの現れではないかと思っている。

入社早々「機密保持誓約書」なる紙一枚で、社会に放たれたばかりの若き荒馬を飼いならそうとする舐めた組織への反骨精神である。

むしろそうであってほしい、本当に機密保持の意味がわからずにやっているのなら怖すぎるし、一番そうであってほしいと思っているのはこの社員を採用した人事だろう。

悪いのは若さか、それとも企業か

  • 契約書を渡すだけでは不十分なのかも…?

    契約書を渡すだけでは不十分なのかも…?

これらの新卒社員による炎上で責められるのは本人だけではない、それを採用した企業側の責任も問われる。正直、採用段階で「社内情報をSNSに書くか否か」を見極めるのは無理だろう。

面接時にSNSアカウントの有無を調査したり監視したりする企業もあるとはいうが、入社前は春のパン祭りに参加しているだけのアカウントでも、入社後に漏洩デビューする可能性はある。

しかし、そうならないように入社後に「SNS利用研修」を行っていなかったのは企業側に過失があったと言えなくもない。

誰もがSNSアカウントを持つ昨今「いくらなんでもそんなことをしないだろう」と、社員の知性とモラルを信じ切った性善説で乗り切ろうとするのはもはや怠慢と言われる時代なのだ。

だが、これだけ毎年どこかしらの企業の新入社員がSNSの取り扱いで燃えているのに、「SNS利用研修」を受けた人は22%程度だという。

三菱電機の子会社にとっては、入社時に「機密保持誓約書」にサインさせること自体が新入社員に対するコンプラ研修の一環だったと思うので、それをSNSにアップした新入社員のすごさがますます際立ってくるが、これは教訓とも言える。

つまり、入社前に情報やコンプラに関する資料を渡し「これ読んでおけ」だけでは、全く事足りないということだ。

自分が署名捺印する書類なら読んで理解してからサインするだろうという考えはスイートであり、「お前はろくに読まずにサインしたスマホプランの契約書枚数を覚えているのか」とディオ様も言っている。

世の中には契約書のことを読んでサインするものではなく、サインだけするものと思っている奴がいるので、契約書にサインした社員は安心と思うのは早計である。

もし当該新入社員が、契約書を読んで理解した上で、SNSにあげたのなら、やはり契約で社員の言論を統制しようとする組織への反逆としか言いようがなく、こればかりは面接時点でその思想の強さを見抜くしかない。

しかし、これらの新入社員は華々しい業界で活躍する自分の姿や、己の反抗心を全世界に発信したかったわけではなく、いずれもインスタのストーリーに投稿したものが、Xで拡散しての炎上と言われている。

つまり、仲間内に対する、ちょっとした自慢のつもりが大ごとになってしまった可能性が高いということだ。だが、その「ちょっとした自慢」こそが、鼻につかれ、仲間内の誰かがXに放流したのかもしれない。

本件だけでなく、バカッター的炎上の多くは、インスタのストーリーなどに内輪に向けてあげられたものがXへの転載で拡散炎上しているパターンが多い。

インスタで自慢できるような大企業ほどSNS利用講習は行うべきだし、そこで「今お前がインスタやBeRealで繋がっている仲間はお前のこと嫌いかもしれないんだぞ」と教えるべきだろう。