シリコンウェハの超臨界流体洗浄とは何か?

なお、Samsungの超臨界流体洗浄装置というのは、すでに2017年に本誌で詳しく紹介させていただいているので、詳細についてはそちらを参照していただきたい。

参考:日本は半導体製造装置でも韓国を後追いする立場となるのか? - Samsungが子会社開発の超臨界洗浄装置をDRAM量産ラインに導入

超臨界洗浄装置は、先端プロセスを用いたDRAM製造時に、記憶保持用の円柱状キャパシタを洗浄・乾燥する際に、リンス水の表面張力で脆弱なパターンが倒壊するのを防止する目的で、超臨界流体中でシリコンウェハを洗浄乾燥させる装置である。

超臨界とは、固相、液相、気相に次ぐ第4の相で、すべての物質は、臨界温度・圧力以上になると、超臨界状態に達し、表面張力が失われる特徴があるとされている。超臨界流体としては、毒性がなく、臨界温度(CO2の場合31℃)や臨界圧力(74MPa)が比較的低く使いやすい二酸化炭素(CO2)が用いられている。

Samsungは、超臨界流体洗浄を使用していることをいまだに公表しておらず、洗浄プロセスに関する国際会議などでの招待講演の要請も拒んだままであるが、半導体業界では、Samsungが超臨界流体洗浄を先端DRAM製造に導入していることは公知の事実である。SamsungのライバルであるSK HynixやMicron Technologyは、Samsungの指示でSEMESが供給を拒絶しているため、後追いで東京エレクトロンが開発した装置を試用しているものと思われるがともに公表していない。すでに中国国内のDRAMメーカーは、Samsung仕様の超臨界流体洗浄装置を入手できており、もはやSamsungが極秘にしておく意味がなくなっているようである。韓国政府は、先端技術における自国の優位性を守るために、韓国人技術者が核心技術を海外に持ち出さぬように神経をとがらせている。

  • 円柱状キャパシタ

    DRAMの円柱状キャパシタ(左が従来の洗浄乾燥でのパターン倒壊、右が超臨界流体洗浄乾燥によるパターン倒壊のない正常なパターン) (出所:服部毅(共著):「半導体・MEMSのための超臨界流体」コロナ社刊 2012年)