ソニーがハイエンドスマートフォン「Xperia 1」シリーズの最新モデル「Xperia 1 IV」、ミドルクラスのスマートフォン「Xperia 10 IV」を発表しました。Xperia 1 IVでは、従来の外観を踏襲しながら、さらに動画撮影機能などが強化。望遠カメラが真の光学ズームになった点もポイントです。今回、両モデルを撮影する機会が得られたので、こちらではXperia 1 IVの外観を中心にお届けします。
なお、今回撮影したのはグローバルモデルです。国内版の詳細はキャリアから発表されるため、本稿の執筆時点で国内発売の詳細は明らかにされていませんが、発売は6月上旬以降を予定しているそうです。
Xperia 1 IVは、Snapdragon 8 Gen 1、12GBメモリ、256GB/512GBのストレージを搭載したハイエンドスマートフォン。6.5インチで4K解像度、HDR対応のOLEDを採用しています。リフレッシュレートは120Hzで、従来に比べて約50%の輝度向上を実現したと言います。
デザインはほぼ従来通りのフラットなボディで、前面と背面パネルにはCorning Gorilla Glass Victusを採用。大きな違いとしては、側面のGoogleアシスタントボタンが廃止された点が挙げられます。それ以外は、ディスプレイが本体から少し盛り上がっていたのがよりフラットになりました。とはいえ、全体的にはデザインは踏襲されています。
カメラは表面的には同一に見えますが、ハードウェア的にもいろいろと変更されています。メインカメラは1/1.7型で120fpsの高速読み出し対応のExmor RS for mobileを採用。リアルタイム瞳AF、20コマ/秒のAF/AE追従連写といったカメラ性能は従来通りです。レンズの焦点距離も変わらず24mm(35mm判換算、以下同)、F値はF1.7です。
従来と異なるのは、超広角カメラと望遠カメラも120fpsの高速読み出しに対応したExmor RS for mobileセンサーを搭載した点。その結果、リアルタイム瞳AF、20コマ/秒のAF/AE追従連写といった高速撮影に対応しました。超広角カメラは1/2.5型センサーでレンズは16mm、F2.2。
望遠カメラも1/3.5型Exmor RS for mobileですが、大きく異なるのはレンズです。従来は70/105mmの焦点距離切り替え型のペリスコープレンズを搭載していましたが、新たに85-125mmの光学ズームレンズを搭載しました。
これまではあくまで2つの焦点距離を切り替えるため、70-105mmの間はデジタルズームでした。しかし今回、85-125mmをレンズが移動して光学的にズーミングする光学ズームを搭載しています。その結果として、ズーム域での高画質化が期待できます。
同社によれば、120fps読み出し可能なセンサーを搭載し、85-125mmの全域で光学ズームができるペリスコープレンズ搭載のスマートフォンは「世界初」とのことです。かなりニッチな“世界初”ですが、光学ズームを搭載したスマートフォン自体、これまでわずかな例しかありません。例えばASUSの「ZenFone Zoom」が28-84mmの光学3倍ズームを搭載していましたが、こちらは標準域でしたし、望遠域での光学ズームというのは確かに貴重かもしれません。
ちなみに、85mmスタートと焦点距離も変わっていますが、これはポートレートなどで使いやすい画角を採用したということです。
動画機能も強化されました。従来は超広角/広角/望遠とカメラを切り替える必要があったズームですが、16~125mmまでのレンズ切り替えがシームレスになり、さらにデジタルズームを加えて375mm相当までズームできます。レンズが切り替わる際には少しズレが発生し、センサーとレンズが変わるために色味が多少変化しますが、極力色味の変化が少なくなるように設計されているそうです。
すべてのレンズで4K 120fpsのスローモーション撮影、ハイフレームレート撮影が可能で、瞳AFや人物・動物などのオブジェクトトラッキングもすべてのレンズで動作します。全レンズで、リアルタイムに重ね合わせ処理を行ってダイナミックレンジを向上させる動画撮影も可能です。
Videography Proアプリを使うことで、アプリから直接ライブ配信をするストリーミングモードも新搭載。Video Proアプリのリアルタイム瞳AFなどのAF性能、画質設定などをそのままにライブ配信ができます。現時点で対応する配信サイトはYouTubeのみです。
ちなみに、シームレスズームの機能はセンサーの色味のばらつきをハードウェアレベルで色調整しているため、Xperia 1 IIIへのアップデートはないそうです。
他に、今回は試用できませんでしたが、新たな「Pro」アプリとして「Music Pro」アプリが搭載されました。クラウドで音楽処理をすることによってノイズ除去などを行う月額課金制のサービスも備えた音楽録音アプリで、真空管マイクや音楽スタジオで録音したような録音を実現してくれるそうです。
基本性能を向上させたことに加え、カメラ機能ではセンサーの強化、望遠域における光学ズームの実装、シームレスズームやAFをはじめとした動画性能の向上、新しい音楽録音アプリの搭載など、Xperia 1 IVは見た目には分からない様々な機能強化を図ったモデルでとなっていました。