MM総研は1月27日、携帯電話の月額利用料金とサービス利用実態についてまとめた調査結果を公表した。それによると、スマートフォン利用者全体の平均月額利用料金は4,617円。4キャリア利用者に限れば5,146円、サブブランド利用者は3,157円、MVNO利用者は1,889円と回線種別ごとに金額に差が出る結果となった。

平均月額料金/端末購入価格は加入する回線種別ではっきりと差が出る

まず、携帯電話の平均月額利用料金は、2020年からの半年ごとの調査で2期続けての下落。この間は、大手キャリアからahamo/povo/LINEMOといったオンライン専用プランの提供が始まり、MVNOでもそれにあわせたプラン内容の見直しが行われた時期。オンライン専用プランによってユーザーの負担が軽減されたのは間違いないだろう。

  • 携帯電話の平均月額利用料金の推移

    携帯電話の平均月額利用料金の推移

その平均月額利用料金を契約している回線種別ごとに集計したのが次のグラフ。ドコモ/au/ソフトバンク/楽天モバイルのMNO4キャリアのスマートフォン利用者の支払額が最も多く、5,146円。次いでUQ mobile/ワイモバイルのサブブランド利用者が3,157円。MVNO(音声通話対応)利用者は1,889円という結果だった。

  • 回線種別ごとの平均月額利用料金

    回線種別ごとの平均月額利用料金

もっとも、この結果をもってMNOの料金が高いと考えるのは早計。むしろ、データ通信量の多い高額なプランに加入するユーザーはMNOと契約することが多く、スマホをそれほど使わないユーザーが通信量上限は低いが低価格なプランでMVNOに加入する……というすみわけが成立していると考えるべきだろう。ただこれもオンライン専用プランの提供開始でMVNOの利点が小さくなりつつあり、MVNOとしては難しい舵取りを強いられる状況といえそう。

端末の平均購入金額の半期の推移と、回線種別ごとの違いを調べたのが次のグラフ。全体としては平均購入金額が60,727円と前回調査から352円の減額となったものの、月額利用料金と違ってこちらは大きな変化がないといってよい状況だ。回線種別ごとのデータでは、MNO4社が64,594円、サブブランドが48,319円、MVNOが44,001円となっている。これも月額利用料金の場合と同様に、同一端末で価格差があるのではなく、ハイエンドの端末を購入するのはMNO利用者に多いと理解するのが自然か。実際、MVNO各社が販売する端末を見ると、ベーシック~ミドルレンジクラスの機種が充実しており、フラッグシップクラスの取り扱いは多くない。

  • 端末の平均購入金額(推移)

    端末の平均購入金額(推移)

  • 端末の平均購入金額(回線種別ごと)

    端末の平均購入金額(回線種別ごと)

データ通信量は平均8.95GB、3GB以下が半数だが16~20GBにも山が

次は月間のモバイルデータ通信量について。「1GB」という回答がもっとも多く、全体の3割。「2GB」「3GB」を合わせた3GB以下の回答で全体の半分を超えるという結果だ。ただし16GB~20GBのところをピークとしてもうひとつの山ができており、ヘビーなモバイルユーザーが一定数いるのは間違いない。結果として平均は8.95GBとなっており、ライトユーザーとヘビーユーザーのバランスを考えるとあるていど納得のいく結果といえる。

  • 月間のモバイルデータ通信量

    月間のモバイルデータ通信量

モバイルデータ通信量は2018年4月の調査以来、一貫して増加を続けている。コロナ禍で外出を控えられていた2021年7月調査/2021年12月調査でも伸長は続いており、当面はこの傾向に変化がなさそうだ。

  • 月間のモバイルデータ通信量の推移

    月間のモバイルデータ通信量の推移

iPhoneユーザーのほうがWi-Fiデータ通信はよく行う?

次のグラフは、直近4週間のWi-Fiデータ通信量を聞いたもの。全体の平均は15.88GBで、モバイルデータ通信の平均である8.95GBとあわせると月間の通信量は24.83GBということになる。この値は2021年7月の調査から1.34GBの減少。構成比では、モバイルデータ通信が36.1%、Wi-Fi通信が63.9%となる。

  • 直近4週間のWi-Fiデータ通信量

    直近4週間のWi-Fiデータ通信量

これをAndroid利用者/iPhone利用者のそれぞれについて集計すると、Androidユーザーは14.22GBでiPhoneユーザーは17.84GBと、iPhoneのほうが25%多い。この差が利用実態の違いによるものか、両プラットフォームのシステムの違いによるものか、気になるところだ。

通話時間、スマホ利用時間、用途別利用時間の回線別傾向は?

最後に、通話時間、スマートフォンの利用時間、用途別の利用時間を回線種別ごとに集計したグラフを見ていこう。

  • 通話時間

    通話時間

  • スマートフォン利用時間

    スマートフォン利用時間

  • 用途別の利用時間

    用途別の利用時間

通話時間は、MNO4社、サブブランド、MVNOの順。スマートフォンの利用時間も、差はさほど大きくないが順番は変わらない。音声通話をよく利用するユーザーはカバーエリアや通信品質を重視してMNOを選択することが多いということだろうか。また用途別の利用時間では、サブブランド/MVNOユーザーで「SNS」の時間が短く、またMVNOでは「ゲーム」も短い傾向だ。

今回の調査はWebアンケートへの回答を集計したものであり、ユーザーの認識と実態が一致しているとは限らない。とはいえ、よく言われる「MVNOに加入するのはスマホをよく使うリテラシーの高い層」という話とは違ったユーザー像がうかがえる調査結果といえそうだ。

調査概要

  • 調査対象:15~69歳の男女
  • 回答件数:プレ調査24,353人/本調査1,630人
  • 調査方法:Webアンケート
  • 調査時期:2021年12月

平均月額利用料金/端末購入金額/通話時間/利用時間は、選択肢ごとに設定した金額・時間と係数を掛け合わせた荷重平均による算出。通信量はGB単位で回答した結果に基づく分析。