Intel GPU(Photo05)

  • Photo05: これは先の写真からほぼ1年後の、里親さんのところでのスナップ。新聞紙の下に猫じゃらしを突っ込んで動かすと、全員が新聞紙に乗っかってくるw

2020年頃から話が出て来ていたIntelのDiscrete Graphics市場への参入。2021年8月に開催されたIntel Architecture Day 2021で概略が説明されており、これに先立ってIntel Arcというブランドも発表されているという話は既報の通りだ。

アーキテクチャ的な話は既に説明した通りなので繰り返しは避けるが、コンシューマ向けであるXe HPGの場合、最小構成はRender Sliceという64EU構成のShader+Pixel Backend、Geometory Engineなどを組み合わせたものになる。もっとも64EU構成というのは、例えばTiger Lakeに搭載される統合GPU(最大96EU)構成にも劣るもので、勿論メモリ帯域はTiger Lakeより広いとは言え性能としてはローエンド向けである。そこでこれを複数搭載することになるが、最大構成はこれで示された8 Render Slice構成になるらしい。コード名としてDG-512なるものが流れていたのだが、この構成だと丁度512EUになり、辻褄はあう。

このDG-512相当の構成の場合、EUあたり256bitのVector Engineを1個持つ。ちょっと判り難いのだが、Xe世代のEUというかVector Engineは8-wideのINT32/FP32のMAC演算が可能であり、1cycleあたりの演算性能そのものは32bit演算なら16Op/cycle(乗算と加算を1cycleで処理できるため、32bit演算×2と計算するから)可能である。なのでEUあたりで言えば256 Ops/cycle、512EUなら8192 Ops/cycleという計算になる。仮に動作速度を1.4GHzと仮定すると概ね11.5GOps/cycleで、Base 1.44GHzのGeForce RTX 3080の25.1GOps/cycleの半分ほど。1.8GHz駆動と仮定すると14.7GOps/cycleになり、同Base 1.825GHzのRadeon RX 6800 XTの16.8GOps/cycleと同程度となる。現実問題としてGeForce RTX 3080とRadeon RX 6800 XTが割と良い勝負している事を考えると、DG-512構成で2GHz位の駆動速度であれば、少なくとも演算性能的にはGeForce RTX 3080/Radeon RX 6800 XT程度の性能は確保できそうな見込みである。ただGeForce RTX 3090 TiとかRadon RX 6900 XTに競合させようとすると2.4GHz位で動かさないと間に合わない計算になり、明確に性能差を出そうとすると3GHz位で駆動しないと間に合わない事になり、いくらTSMCのN6を使うとはいえ流石に厳しい様に思う。まぁ最初はそこまでトップエンドを狙わない、という選択肢は当然あるだろう。

またこんなスライドがあるあたり、当初から2種類のDieが用意されていることが判る。このスライドを無理やり補正した結果で比較(Photo06)で言うと、Die Sizeは10:4位になっている。DG-512と目される大きなDieが8 Render Slice構成だとすると、小さいほうは4 Render Sliceにして、かつL2を半分より小さく(4分の1くらい?)すれば何とか辻褄が合うかな? とは思うもののちょっと苦しい。2~3 Render Slice位に考えておくのがいいかもしれない。ラインナップとしては512EU/384EU/256EU/128EUが用意されるという話になっており、このローエンドの128EUはMobile向けも狙っているとすれば、案外この小さいほうのDieはDG-128という事なのかもしれない(まぁそれ以前に、このスライドがただのイメージで実際の製品とは無関係、という可能性も捨てきれないでいるのだが)。

  • Photo06: 縦横比が正確という保証もないので、Die Sizeの面積比位しかあてにならない。

はっきりしないのが出荷時期である。ただ既にぼちぼちGame Benchmarkがリークされつつあることや、製造そのものはTSMCのN6であり、出荷量はともかく製造技術そのものには懸念が殆ど無い事を考えると、2022年前半中に発表が行われ、6月のCOMPUTEXのあたりで出荷開始しても不思議ではない。