オーストリアEV Group(EVG)は、顧客を支援する新サービスである「EVG S&R(ステップ&リピート)Mastering Shop」を設立したと発表した。

同ショップは、オーストリアEVG本社にあるEVG NIL Photonicsコンピテンスセンターの重要な役割の1つとして設立。最新のEVG製ナノインプリントリソグラフィ(NIL)装置とクリーンルーム施設を使用して、ウェハレベルおよびパネルレベルのNILプロセス用ワーキングスタンプ作製のための大面積のマスターテンプレートとスタンプの受託製造を行うという。同社は、この製造受託サービスによって、NIL技術の市場への展開に拍車がかかることを期待しているとコメントしている。

  • ナノインプリント

    「EVG S&R(ステップ&リピート)Mastering Shop」内部の様子 (出所:EVG)

具体的には、サービス専用のS&R装置や計測システムを備えた新しいクリーンルームエリアを増設。EVGの新装置である「EVG770 NTステップ&リピートNIL装置」を利用することで、300mmウェハやGen-2(370mm×470mm)パネルまでの基板サイズに対応した、大面積のマスタースタンプ製造を高いオーバーレイ精度と解像度で可能にするという。

また、このサービスを利用することで、マスタースタンプ製造専用のS&R装置を所有することによって生じる資本コストが削減できるため、NILテクノロジーを顧客の新製品の設計に取り入れることに対する障壁が低くなると同社では説明している。

EVGのS&R NILソリューションは、AR(拡張現実)導波路や光センサ用マイクロオプティクス、マイクロレンズ、ナノフォトニクス、シリコンフォトニクスなどのデバイスやアプリケーションに利用することができるという。

  • ナノインプリント

    ナノインプリントリソグラフィで口径の異なるシリコンウェハ上に製作されたAR(拡張現実)導波路のマスターテンプレート (出所:EVG)

なお、EVGでは、マスタースタンプの作製に加えて、顧客向けにワーキングスタンプやオリジナルのハードマスターを作製するサービスも提供していくとしているほか、NIL Photonicsコンピテンスセンターでは、インプリントプロセスの開発、材料の評価と最適化を行い、デバイスの試作とパイロット生産も請け負うとしている。