中国ファウンドリのSemiconductor Manufacturing International Corporation(SMIC)は5月13日、2021年第1四半期の連結売上高が、前年同期比22%増、前四半期比12.5%増の11億360万ドル、粗利益は前四半期比7.1%増の2億5010万ドルとなったと発表した。
世界的な半導体の需要増加の恩恵を受けて、米国が同社をエンティティリストに載せた制裁の影響は数字には表れなかったようだ。
同社は第2四半期の業績見通しについて、売上高が前四半期比で17~19%増えるとしているほか、2021年上半期の売上高についても24億ドルと強気の姿勢を示している。
同社の趙海軍・共同最高経営責任者(CEO)は、決算発表に際して「当社の現在の生産能力では、すべての市場セグメントで製品が不足してしまって、顧客のニーズを満たせなかった」と述べた。
米国企業からの生産受託が増加
売上高を地域別でみると、北米向けが前年同期の26%から28%に上昇し、中国向けが62%から56%に減少している。つまり、米国ファブレスからの製造委託が増加したということであるが、一方で米国政府のエンティティリストに載っている中Huawei向け出荷は減った模様である。米国政府は、Huawei向けの半導体の出荷を全面的には禁止しておらず、各半導体メーカーと個別交渉でライセンスを発行しているが、そのライセンス内容については、米商務省も半導体企業側も公表していない。キオクシアやソニーやルネサスなどの日本企業も最先端製品をのぞいては許可されている模様である。
SMICは、第1四半期における米国の制裁の影響は、事実上業績に影響を与えなかったが、今後の米国の出方次第では「下期以降は不透明感がある」と述べている。なお、2020年12月22日付けの米国商務省の発表および米国官報によると、同社へのエンティティリスト記載による制裁は、10nm以下のデバイスを作るための製造装置や技術の輸出禁止であり、現状のSMICはそのような微細化デバイスは、まったく製造してこなかったし、製造できる工場も所有していないため、遠い将来はともかく、今のところ、事実上規制がかかっていないも同然である。
同社は現在、深センで同市政府と共同で23億5000万ドルを出資し、28nmプロセスを使った300mm工場(生産能力は月産4万枚)の建設をはじめているが、今のところ米国の規制を受けずに米国製半導体製造装置を入手できる見通しであるとしている。