Tribit「FlyBuds NC」(搭載チップ:Bestechnic BES2300)
Tribit(トリビット)のTWSイヤホン「FlyBuds NC」(6,999円)は、Bestechnic(恒玄科技)のBluetooth SoC「BES2300」を採用し、ノイズキャンセリング(NC)機能と左右独立型伝送をサポートしている。NCはハイブリッド型ではなく、イヤホン外部のマイクで環境ノイズを拾うフィードフォワード方式のみだが、SoCが定評あるBES2300というところがポイントといえる。
BesTechnicは、中国・上海に拠点を構えるファブレスのチップベンダー。創業は2015年と若いが、2020年には上海証券取引所のテクノロジー企業向け市場「科創板」に上場を果たすなど急成長を遂げている。同社はオーディオ向けSoCのほか、AIoT(Artificial Intelligence of Things)チップにも注力しており、今後目にする機会は増えそうだ。
BES2300は、NCに加えて左右同時伝送技術「LBRT(Low-band Bluetooth Retransmission Technology)」をサポート。ほかにもUSBや各種センサー類を接続できるI2Cもオプションとして用意され、彼らが「Smart Audio SoC」と呼ぶように活用の幅は広い。
ただ、FlyBuds NCのアドバンテージはノイズキャンセル……のはずだが、箱から出した状態でNCの効きを試すと肩透かしを食うことになる。製品には2種類のイヤーチップが付属しているが、工場出荷時点で装着されているもの(TWS向けの半傘タイプ、薄いシリコン製)の遮音性が低く、パッシブのノイズキャンセリング性能を稼げないのだ。イヤーチップをもうひとつの背が高いタイプに交換することで、電車の音や換気扇の音をしっかり低減してくれるようになる。
この製品、音途切れが少ないうえにバッテリーのもちがよく(公称値はNCオフで10時間、充電ケースを含めて30時間)、ハウジングがやや大柄なことを除けば満足度は高いが、標準イヤーチップの吟味が足りない点が惜しい。NCはアクティブ方式の性能だけにあらず、パッシブ方式の性能もまた重要なのだ。
Tribit FlyBuds NCの仕様
- Bluetooth SoC:BesTechnic BES2300
- Blutoothバージョン:5.0
- NC:○(フィードフォワード方式)
- 左右同時伝送:○(LBRT)
- 低遅延モード:△※
- 対応コーデック:SBC、AAC
- 再生時間(イヤホン単体):約8時間(NCオン時) / 約10時間(NCオフ時)
- 再生時間(充電ケース併用時):約24時間(NCオン時) / 約30時間(NCオフ時)
※注:SoCのオプションとしては存在するが、Tribit FlyBuds NCでは非対応