半導体市場調査会社である米IC Insightsによると、世界の代表的ロジックデバイスメーカーおよびファウンドリのプロセスの微細化は収益性を高める動きにつながるという。

同社の調査によると、2020年のTSMCは7nmプロセスならびに5nmプロセスを提供できる稀有なファウンドリであり、売り上げトップクラスのファブレス各社はTSMCのそれらの先端プロセスを活用。その結果、2020年におけるTSMCのウェハ1枚あたりの売り上げは増加することとなったという。

  • 微細化ロードマップ

    代表的なロジックメーカーおよびファウンドリの微細プロセスの量産適用ロードマップ。プロセスの世代表示や量産の開始時期の定義は、各社独自のものであるため、あくまでも目安であることをIC Insightsは指摘している (出所:IC Insights)

具体的には、TSMCのほか、UMC、SMICも1枚あたりの売り上げが増加したという(GLOBALFOUNDRIESは前年比で1%減)。概算では、TSMCの2020年のウェハ1枚あたりの売上高は1634ドルで、この数値はGLOBALFOUNDRIESと比べて66%高く、UMCならびにSMICとは2倍以上の開きがあるという。

  • ウェハ1枚あたりの売上高

    4大ピュアファウンドリのウェハ1枚あたりの売上高推移 (出所:IC Insights)

TSMCは2021年も最大280億ドルの設備投資を行い、7nmならびに5nmの生産能力の拡大を進めるほか、3nmプロセスのリスク生産も開始する予定としている。

ファウンドリならびにロジックICのIDMのほか、キオクシア/Western Digital、Samsung Electronics、SK Hynixなどのメモリサプライヤも高度なプロセス技術を活用してDRAMおよびNANDの製造を行っているが、IC Insightsでは、デバイスの種類に関係なく、IC業界はごく少数の企業グループのみが最先端のプロセス技術の開発を進める状況となっており、その結果、先端プロセス技術を用いたICを製造できる企業が限られ、寡占化が進みつつある。プロセスの微細化に伴い、開発ならびに製造コストも増大、歩留まりを高めるための課題の解決にもコストが必要となっており、さまざまなIC製品セグメントで、市場シェアは「トップヘビー」の状態となってきている。そうした動きが進めば、プロセスの微細化レースに参画する企業は今後、さらに減っていくだろうとしている。

なお、ロジックならびにファウンドリ各社の掲げるプロセスの世代表示についてや、量産の開始時期の定義に現在、明確なものはなく、そのため各社まちまちで、自社のマーケティングを有利に展開するための手段となっていることから、IC Insightsでは、あくまで目安として見るべきであるとしている。