ソニーネットワークコミュニケーションズは4日、展開するMVNOブランド「nuroモバイル」の新しい料金プランを発表。4月1日からプランを刷新し、新プラン「バリュープラス」を提供すると発表しました。バリュープラスは、音声通話付きで月3GBが792円(以下すべて税込)から。メディア向けのオンライン発表会では、「これで利益は出るのか」という質問も寄せられました。
バリュープラス、どんなサービス?
バリュープラスでは、月間のデータ通信容量が3GBの「VSプラン」、5GBの「VMプラン」、8GBの「VLプラン」を用意しています。それぞれの容量で「音声通話」「データ通信+SMS」「データ通信専用」を選べる設計です。
継続利用の特典として、3カ月ごとに追加のデータ容量を受け取れる「Gigaプラス」も大きな魅力。5GBの「VMプラン」なら3カ月ごとに3GB、8GBの「VLプラン」なら6GBが追加されます。つまりVLプランなら、実質、月10GBプランとも言えるわけです。
ネットワークに関しては、ドコモ回線、au回線、ソフトバンク回線のトリプルキャリアに対応しています。いずれの回線を選んでも同一料金、というのもシンプルで分かりやすいですね。使い切れなかったデータ容量は「パケットギフト」として、回線種別の関係なく、自由に家族や友人にプレゼントできるようになりました。
新規・MNP申込時の初月基本料金0円、解約金0円(契約期間の縛りなし)、MNP転出手数料0円もポイント。加えて、3日間のデータ通信量が多すぎる場合の通信制限も撤廃されることに。
残ったデータ容量を翌月に繰り越す「データ繰越」も利用可能で、月のデータ容量を使い切ったあとの通信速度は200kbps(ベストエフォート)です。容量チャージに関しては、NTTドコモ回線、au回線、ソフトバンク回線ともに1GBあたり500円に料金改定される予定となっています。
このほか、オプションサービスとして月額880円の「10分かけ放題」を用意しました。「端末保証」(月額550円)は、nuroモバイルで購入した端末以外にも対応します。
先行予約は3月4日から受け付け開始。対象ユーザーには初期費用相当の3,740円をキャッシュバックします。なお、旧プラン利用者のプラン変更は4月下旬から受け付けを開始する予定です。
料金プランの狙い。 利益は出る?
オンライン発表会で登壇したMVNO事業室 室長の神山明己氏は、総務省のデータを元に「大手携帯4社の利用者でデータ容量7GB以上のプランを契約している人は60%以上いますが、利用者の約75%はデータ消費量が1カ月8GB以内です」と紹介。
ことMVNO利用者に限って見れば、データ使用量が1カ月10GB未満のユーザーが全体の88%を占めています(MMD研究所調べ)。このことから「月のデータ容量が10GB以下で、価格が魅力的な料金プランのニーズが高まっています」(神山氏)と説明しました。
NTTドコモがahamoを発表して以来、各通信事業者が続々と新プランを発表しています。nuroモバイルが競合するMVNO事業者としては先日、IIJmioが音声SIMとデータ容量2GBで税別780円(税込858円)のプランを発表しました。
バリュープラスはIIJを意識したのかという質問に、神山氏は「競合他社の直近の動きというよりは、これまで各社が実施してきたキャンペーンや特典を参考に、今後、どういう形で動いていくかを以前から想定しており、その範囲内で今回の料金プランを設定しました」と回答。
また、この料金設定で利益は出るのかという質問には、「今後、予定されている接続料や音声卸料金(の値下げ)を踏まえたうえで、中長期的な期間で回収できるように設定しました。そのために数多くのお客さまにご評価いただくことが必要になってきます」と答えました。
現在の契約者数や、目標とする契約者数については非公開。そのうえで「目標数に関しては『ストレッチ』しないといけない」と表現しました。
なぜ3カ月ごと
特典のGigaプラスについて、なぜ3カ月ごとの追加容量にしたのかという質問には、「コロナ禍において、あるタイミングでは出勤、あるタイミングではリモートワークと、働く形態やライフスタイルが変わっています。通信量が多い月にでも柔軟に使えるサービスが魅力になると考え、このような仕組みにしました」と回答。
大容量プランは? 5Gは?
大手通信事業者が提供するような月20GBを超える大容量プランに対応する予定については、「いますぐには予定していませんが、今後、トラフィックが伸びていくことが予想されていますので、お客さまのニーズに合わせてバージョンアップしていければ」。今後の見通しは「競合他社さん、市場の変化しだいと考えています。その都度、お客さまのニーズを満たせるものを提供していく、というスタンスになります」としました。
5Gオプションについても「今回は発表していませんが、今後、5G対応モデルも増えてきますし、ニーズも大きくなると見ています。現状ではエリアも狭いのであまり使われていませんが、エリアの広がりにともなって適切なタイミングで設備投資をしていきます」と答えるにとどまりました。
通信制限の撤廃について
3日間の通信制限の撤廃については「公平制御の問題もあり、大量のトラフィックを消費されるお客さまには個別に対応する可能性もあります。ただ、バリュープラスの利用者は月10GB以内のお客さまを想定しており、あまりデータをお使いにならないと考え、撤廃しても問題がないと判断しました」としています。
「0 SIM」復活は?
nuroモバイルといえば「0 SIM(ゼロSIM)」を連想する人も多いことでしょう。データ通信500MB未満まで無料のサービスでしたが、2020年8月で終了。この0 SIMについて、いまのところ復活の予定はないとのこと。データ容量0.2GBの「お試しプラン」を月額330円から提供しており、「そちらをご活用いただければ」と話していました。
端末の取り扱いについて
nuroモバイルのホームページでは、Xperia、Motorolaといった売れ筋スマホの在庫が乏しいことから、あまり端末を売る気がないのかと聞かれると「ホームページの見た目が良くない状態と認識しています」と苦笑い。続けて「端末の販売で多くの利益を稼ぐという事業モデルではなく、お客さまに必要なエントリーモデル、ミドル、ハイスペックモデルまでを幅広くそろえたいと思っています」と回答。Xperia端末については「将来的にまたSIMフリー版などが出たら、同じグループ企業ですし、積極的に取り扱っていきます」と話していました。