鹿島建設とPreferred Networks(PFN)は3月4日、建築現場で使用するロボットが現場内を自律移動するためのシステム「iNoh」を共同開発したことを発表した。あわせて同システムを搭載したAI清掃ロボット「raccoon」を首都圏の現場に導入を開始した。

  • 自律移動システム「iNoh」のイメージ図

    自律移動システム「iNoh」のイメージ図

「iNoh」は、魚眼カメラ、 LiDAR、 IMUなど複数のセンサを統合することで、変化の激しい非GNSS環境においても自己位置の正確な推定ができるほか、得られたデータから3次元空間マッピングが可能だという。

また、深層学習技術を用いて現場の膨大な画像データを学習することで、障害物や高所作業車などの移動物、立入禁止エリア、作業員などを正確かつ安定して認識できるという。

さらに、ロボットが自己位置や周辺環境を認識し、障害物を回避した作業ルートをリアルタイムに自動生成するため、作業範囲を限定するマーカー類の設置などの事前設定をしなくても、納入後すぐに利用可能となっている。

  • 自律移動システム「iNoh」を初搭載したAI清掃ロボット「raccoon」

    自律移動システム「iNoh」を初搭載したAI清掃ロボット「raccoon」

また、iNohを実装した建築現場用のAI清掃ロボット「raccoon」は「おまかせ清掃モード」と「領域清掃モード」の2つの清掃モードを搭載。本体の操作画面から最短3タッチの指示で、コンクリート床面にあるゴミや粉塵を自律移動しながら清掃するという。

同ロボットを首都圏の複数現場に試験導入した結果、100分の連続稼働で約500m2のエリアを清掃できるなど、iNohの実用性を確認したということだ。

  • raccoonに搭載された各種センサ

    raccoonに搭載された各種センサ