2021年度第1四半期の業績は前年同期比24%増

Applied Materials(AMAT)が2月18日(米国時間)に発表した2021年度第1四半期(2020年11月~2021年1月)の決算概況によると、売上高は前年同期比24%増の51.6億ドルとなり、事前の自社ガイダンスで提示していた49.5億ドルを上回った。

半導体カテゴリ別に売り上げを見ると、フラッシュメモリが同86%増、DRAMが同43%増、ロジック・ファウンドリが同8%増となっている。ファウンドリ向け投資は前四半期までに一巡し、同四半期はメモリへの投資が回復し、急進したという。今後も日米韓でメモリへの投資が予想されるとしている。

そのため2021年度第2四半期(2021年2~4月)の見通しについても、前年同期比36%増、前四半期比4%増の53.9億ドル±2億ドルと強気の予測を立てている。

また同社は2021年の前工程半導体製造装置市場について、前年比20%程度の成長を予測。金額としては700億ドルを上回るという強気の見通しを示している。この予測は世界各地の市場調査会社やWSTSの予測よりも高く、これら市場予測会社各社も今後、予測を上方修正してくるものと思われる。

また2021年の半導体製造装置の売り上げをカテゴリ別で見た場合、DRAM向け投資額の増加率がNANDを上回ると見込んでいるほか、ロジック/ファウンドリも大きく伸びると見ている。現在、車載向けをはじめとしてさまざまな産業向け半導体の需給がひっ迫しており、フル稼働状態が続くファウンドリ各社が下期までにラインの増設に動くものと見られているためである。すでにTSMCは2021年に280億ドル規模の投資を行うことを明らかにするなど動きを見せており、AMATは2022年度も半導体に対する旺盛な投資が継続するものとの見方を示している。

2021年度は日本製半導体製造装置市場もプラス成長へ

日本半導体製造装置協会(SEAJ)が集計した日本製半導体製造装置の2021年1月の販売高(日本企業からの海外輸出や海外工場からの出荷分も含み、日本市場を含む世界市場での売上高の3カ月移動平均値)によると、前年同月比6.3%増、前月比1.9%増の1807億8400万円だったという。2020年は10月から12月まで3カ月連続の前月比マイナス成長、しかも11月ならびに12月は前年同月比でもマイナス成長となったが、年が明けて久々のプラス成長に転じたことになる。

  • SEAJ

    日本製半導体製造装置の月間販売額推移 (出所:SEAJ)

2020年10~12月の日本製半導体製造装置の販売高が落ちこんだのは、米国商務省が2020年9月から米国内半導体製造装置メーカーに対してSMICへの輸出に対して輸出許可(ライセンス)取得を求めるようになったこと、ならびに12月に同社をエンティティリストに記載する制裁措置をとった影響が大きいと半導体業界関係者は見ている。その後の各所とのやり取りの中で、米商務省が認めていないのは、10nmプロセス以下の高度な技術で半導体を製造するための米国技術の輸出であることが徐々に明らかになってきた。

つまり、14nmプロセス以上の半導体製造には制限をかけておらず、これを受けて半導体製造装置の調達も回復基調に入った模様だ。ただし、SMICは以前から発注しているEUV露光装置をはじめとする先端半導体製造装置の入手ができない状況となっており、同社にとって最先端の14nmプロセスの生産能力も低いことから、当面はレガシープロセスでの半導体しか製造できずに、微細化競争という点では挽回不可能なほどの後れを取るのは必須の状況となってきた。SMICに製造委託を出していた一部の海外顧客(ファブレス)は、地政学的リスクを避けて委託先を台湾に振り替えており、結果、台湾ファウンドリへの注文がオーバーフローとなり、製造受託費の2桁値上げが相次いでいる模様である。