英国に本拠を置く情報提供企業Informa傘下の市場動向調査企業OMDIAは、2020年第3四半期(7-9月期)の半導体企業売上高ランキングトップ10を発表した。

同四半期、半導体市場は前四半期比10.8%増となる1,200億ドル超えを達成するなど、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックを追い風に、季節的な高需要期ということも重なり、同社(前身のiSuppliおよびIHS Markit)が2002年に統計を取り始めて以来、全体で2番目に高い市場規模となったという。

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    2020年第1四半期、第2四半期、3四半期のアプリケーション別半導体売上高の推移 (単位:100万ドル)(出所:OMDIA)

アプリ別半導体市場の成長率

半導体が消費されるアプリケーション別でみると、全売上高の30%を占めるワイヤレスセグメントが、5Gスマートフォン(スマホ)の普及と5Gインフラへの投資が好調で前四半期比18.7%増、前年同期比12.7%増と高い伸びを示した。

コンシューマも、次世代ゲーム機の発売や季節的な要因もあり、前四半期比25%増と成長した。しかし、半導体市場全体に占めるシェアは小さく、当該四半期全体の10%弱程度しかない。

新型コロナウイルス感染症の影響をもろに受けた自動車産業は、2020年第2四半期に販売が大きく落ち込んだため、車載半導体市場も前四半期比22%減と落ち込んだ。しかし、第3四半期に入って自動車産業は急速に回復、車載半導体市場も同28%増と大きく回復した。しかし、前年同期比では5.6%減と、ほかのセグメントに比べて動きが重く、その結果、さきに市場が回復したアプリケーションにファウンドリの生産ラインが押さえられた結果、需要に供給が追い付かない状況が生じ、需給バランスがひっ迫する状況が生じることとなっている。

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    2020第3四半期世界半導体企業売上高ランキングトップ10 (単位:100万ドル)(出所:OMDIA)

トップ10半導体企業に変動はあったのか?

2020年第3四半期の半導体企業トップ10の順位は比較的安定したものとなった。トップ10中唯一の前四半期比でマイナス成長となったのはIntelだが、それでもトップの座は死守した。変動がなかったのは2位~4位はSamsung Electronics、SK Hynix、Micron Technologyのメモリメーカー各社と、7位のTexas Instruments、8位にNVIDIAである。

動きがあったのは5位と6位で、ワイヤレス関連が好調だったQualcommがBroadcomと入れ替わる形で5位に入った。また、9位には前四半期12位とラング外であったMediaTekが前四半期比67%増という驚異の伸びを示しトップ10に入ってきた。そして10位は、そのあおりを受けたほか、親会社Huaweiに対する米国の制裁措置による影響を受けたHiSiliconとなっている。

なお、OMDIAのメモリおよびストレージのシニアアナリストであるCliff Leimbach氏は、「新型コロナのパンデミックが長引き、すぐには元の生活に戻らないことが見えてきたことから、在宅勤務や遠隔学習がさらなる普及する様相を見せているた。これにより、引き続きデータセンターとインフラ関連の需要が堅調に推移している。多くの人々は、長期にわたって巣ごもりしなければならないと思っており、5Gインフラ、スマホ、およびビデオゲームやテレビなどを含むすべてのコンシューマ向け製品の需要が上昇している」と述べている。