アップルは8月4日、「27インチiMac」のメジャーアップデートモデルを発表、同日より販売を開始しました。価格は194,800円(税別、以下同)からとお手頃価格でスタートしますが、各パーツを盛り盛りにカスタマイズでき、フルスペックにすると912,600円に達します(ソフトウエアを除く)。

iMacの上位モデルには「iMac Pro」がラインナップされていますが、カスタマイズ構成によっては27インチiMacが上回ったりします。その点を踏まえると、ディスプレイ一体型Macのなかで、27インチiMacはひときわ魅力的なマシンといえます。今回アップルより、ギリ50万円切りの構成の27インチiMacを借用したので、実機レビューをお届けします!

  • アップルの「27インチiMac」。価格は194,800円~

標準構成は3モデル、10コアのCore i9にカスタマイズ可能

27インチiMacは、標準構成モデルとして下記の3種類を用意しています。

  • 3.1GHz Core i5(6コア)/8GBメモリー/256GB SSD/Radeon Pro 5300(194,800円)
  • 3.3GHz Core i5(6コア)/8GBメモリー/512GB SSD/Radeon Pro 5300(216,800円)
  • 3.8GHz Core i7(8コア)/8GBメモリー/512GB SSD/Radeon Pro 5500 XT(249,800円)

CPUは第10世代(Comet Lake)のインテルCoreプロセッサー、ディスクリートGPUに最新のRadeon Pro 5000シリーズを採用。メモリーは最大128GB(DDR4-2666)、ストレージはすべてSSD(PCIe接続)となり、最大8TBを搭載可能です。ディスプレイは全モデルでRetina 5K P3ディスプレイ(5120×2880ドット)を搭載。環境光に合わせて色温度を調整する「True Tone」にも対応しています。

個人的に27インチiMacを購入するなら、3つ目のモデルのストレージをプラス2万円で1TBにし、メモリーを自分で換装したいと思います。16GBのメモリー(SO-DIMM、DDR4-2666)を2枚購入しても、15,000円を切りますからね。

それはさておき、Apple Storeにおけるカスタマイズ項目は下記のとおりとなります。

ディスプレイ
標準ガラス/Nano-textureガラス
CPU
3.1GHz Core i5(6コア)/3.3GHz Core i5(6コア)/3.8GHz Core i7(8コア)/3.6GHz Core i9(10コア)
メモリー
8GB/16GB/32GB/64GB/128GB
ストレージ
256GB/512GB/1TB/2TB/4TB/8TB
ディスクリートGPU
Radeon Pro 5300/Radeon Pro 5500 XT/Radeon Pro 5700/Radeon Pro 5700 XT
Ethernet
ギガビットEthernet/10ギガビットEthernet
マウスとトラックパッド
Magic Mouse 2/Magic Trackpad 2/Magic Mouse 2+Magic Trackpad 2

iMac Proは、最上位CPUに18コアの2.3GHz Xeon Wが用意され、メモリーは最大256GBを搭載可能ですが、ストレージは4TB止まりで、画質を保ちながら映り込みを低減する「Nano-textureガラス」はカスタマイズ項目に用意されていません。つまり、今回の27インチiMacは、限りなくiMac Proに近付いたどころか、部分的にはiMac Proを上回っているわけです。

  • Nano-textureガラス搭載ディスプレイに向けてLEDライトを掲げても、わずかに光が映り込むだけ。Nano-textureガラスには、ナノメートルレベルの微細なエッチングが施されており、鮮明な画質とコントラストを保ちつつ、光の映り込みを大幅に低減します。プラス50,000円とお高めですが、魅力的なオプションです

なお今回、標準構成で最上位(249,800円)の27インチiMacに、下記のようにカスタマイズが施されたモデルをアップルより借用しています。

  • 標準ガラス→Nano-textureガラス ※プラス50,000円
  • 3.8GHz Core i7(8コア)→3.6GHz Core i9(10コア) ※プラス40,000円
  • 8GBメモリー→32GBメモリー ※プラス60,000円
  • Radeon Pro 5500 XT→Radeon Pro 5700 XT ※プラス50,000円
  • 512GB SSD→1TB SSD ※プラス20,000円
  • Magic Mouse 2→Magic Mouse 2+Magic Trackpad 2 ※プラス12,800円

これで価格はトータル482,600円(税別)となります。CPU、ディスクリートGPU、ストレージはともかく、前述の通りメモリーは15,000円以下で32GBに換装できるので、自分でアップグレードするのがおすすめですよ!

  • AC電源ポートの上にあるボタンを押すと、「メモリーコンパーメントドア」が開きます。メモリー(SO-DIMM、DDR4-2666)を購入すれば自分で増設、交換が可能。AC電源ポートの下にあるのは盗難防止用のケンジントンロックスロットです

基本デザインに変更はないが、多数の改善が施されている

2020年版27インチiMacのサイズは51.6×65.0×20.3cmと、2019年モデルとまったく同じ。ただし、重量は2019年モデルが9.42kg、2020年モデルが8.92kgと、0.5kg軽くなっています。かなりの軽量化ですが、シャーシにも変更が加えられているのかもしれません。

デザインは基本的に変更なし。ご存じのとおり、必然性がなければデザインを変更しないのがアップルの流儀です。インターフェイスの配置、数も変わりません。しかし、内部的には多数の改善が施されています。

まず、FaceTime HDカメラが720pから1080pへ解像度が向上しています。より高画質にビデオ通話できるようになったわけです。オーディオも強化。スタジオクオリティーと謳う3マイクアレイを搭載し、iMacとしては初めて「Apple T2 Securityチップ」を採用。マイクはノイズ除去機能と指向性が強化され、スピーカーはApple T2 Securityチップにより原音に忠実で、低音域のレスポンスが向上したと謳われています。また「Hey Siri」にも対応しました。

ワイヤレス通信機能については、Wi-Fi 5(IEEE802.11ac)は従来どおりですが、Bluetoothは4.2から5.0にアップグレード。また、オプションで10ギガビットEthernetを選択可能となりました。10Gbps超えのインターネット回線を契約している方には10ギガビットEthernet対応は朗報ですね。でも、Wi-Fi 6(IEEE802.11ax)非対応なのは残念です。

インターフェイスは、Thunderbolt 3(USB Type-C)×2、USB Type-A×4、有線LAN(RJ-45)×1、SDXCメモリーカードスロット×1、3.5mmヘッドフォンジャック×1が用意されています。インターフェイスの数は同じですが、Thunderbolt 3端子はディスクリートGPUに「Radeon Pro 5700」または「Radeon Pro 5700 XT」を選択した場合にRetina 6Kディスプレイ「Pro Display XDR」を2台接続可能となり、SDXCメモリーカードスロットはUHS-II対応となりました。特に後者については、デジカメから大量の写真や動画をコピーする方には大歓迎の進化です。

  • 本体前面。Nano-textureガラス搭載ディスプレイは、映り込みを低減しているのに、5K解像度をほとんどスポイルしていないのが不思議な感じです。高解像度と映り込みの少なさが相まって、写真、動画がよりリアルに感じられます

  • アップルの「P3(Display P3)」が準じている「DCI-P3」と比較したところ、DCI-P3カバー率99.2%という値が出ました。Nano-textureガラスを搭載していても、色域にはほとんど影響を与えていないようです

  • 本体背面。ディスプレイ一体型PCの多くにACアダプターが使われていますが、iMacは電源を内蔵しているので、スマートに配線可能です。これは大きなメリットです

  • ディスプレイスタンドはチルトのみ対応。パンしたいときはスタンドごと回しましょう

  • FaceTime HDカメラが720pから1080pへグレードアップ

  • オッサンの顔で恐縮ですが、1080pのFaceTime HDカメラで撮影してみました。ノイズが少なく、発色も自然、露出も的確です

  • インターフェイスは、左から3.5mmヘッドフォンジャック×1、SDXCメモリーカードスロット×1、USB Type-A×4、Thunderbolt 3(USB Type-C)×2、有線LAN(RJ-45)×1と並んでいます

  • マイクは本体背面上部にひとつ、本体前面のアップルロゴの右上にふたつ内蔵されています。ただし本体前面のマイクは肉眼では視認できません

  • ステレオスピーカーは本体下部に内蔵されています

  • 上から、Magic Keyboard、Magic Trackpad 2、Magic Mouse 2、Lightning - USBケーブル、電源ケーブル、ポリッシングクロス、説明書類。Nano-textureガラス搭載ディスプレイは、付属のポリッシングクロスで清掃するように指定されています。それだけデリケートな表面処理ということです

クリエイティブな作業に集中できるディスプレイ一体型デスクトップ

最後にパフォーマンスをチェックしてみましょう。今回はCPUベンチマーク「CINEBENCH R20」、「Geekbench 5」、ストレージベンチマーク「AmorphousDiskMark」に加えて、「Adobe Lightroom Classic」で100枚のRAW画像の現像、「Adobe Premiere Pro」で5分の4K動画の書き出しにかかる時間を計測しました。下記がその結果です。

CINEBENCH R20 CPU 5521 pts
CPU(Single Core) 473 pts
MP Ratio 11.68 x
Geekbench 5 Single-Core Score 1188
Multi-Core Score 9324
OpenCL Score 56524
Metal Score 58156
AmorphousDiskMark(SSD) READ SEQ128K QD32 3134.44MB/s
WRITE SEQ128K QD32 1832.12MB/s
Adobe Lightroom Classic 100枚のRAW画像を現像 3分55秒64
Adobe Premiere Pro 5分の4K動画を書き出し 3分11秒99
  • 「CINEBENCH R20」のシステム情報で、CPUが「Core i9-10910」であることを確認できました

今回の貸出機ですが、CPUは「Core i9-10910」(10コア20スレッド、3.6~5.0GHz)、ディスクリートGPUは「Radeon Pro 5700 XT」を搭載しています。それだけに、ディスプレイ一体型デスクトップとしては非常に高いスコアを記録しています。

ちなみにマイナビニュースの過去記事で、「Core i9-10900K」(10コア20スレッド、3.70~5.20GHz)を搭載するデスクトップPC「GALLERIA UA9C-R80T」がCINEBENCH R20で「6173 pts」を記録しています。クロック周波数の差、筐体サイズを考慮すれば、今回の27インチiMacは「Core i9-10910」の性能を最大限に引き出していると言えます。

実際のアプリケーションでも処理は高速。特に、Adobe Premiere Proでは5分の4K動画を実時間の約64%に相当する3分11秒99で書き出しを終了しました。動画編集で負荷の高い工程をこれだけ早く処理できるのなら、クリエイティブな作業に集中できますね。

  • 「Adobe Lightroom Classic」で100枚のRAW画像を現像したときに、サーモグラフィーカメラで本体背面の表面温度を計測してみました。室温は26.2℃です

  • 最も温度が高かったのはメモリーコンパーメントドア付近で52.6℃。TDP125Wのハイパフォーマンスプロセッサーを搭載している割には、比較的低めの温度に抑えられています

円熟の域に達した2020年モデルが賢者の選択

今回は、かなり贅沢にカスタマイズされた貸出機を試用しました。でも実は、アップルの標準構成の最上位モデルってかなりバランスがいいんです。とはいえ、ストレージが512GBでは心許ないので、プラス2万円で1TBにアップグレードして、メモリーは自分で換装するのがガチのおすすめです。Nano-textureガラス搭載ディスプレイは確かに惹かれますが、プラス50,000円の価値はないかなーというのが個人的な感想です。

さて、2020年モデルはカスタマイズの幅が広いので、2~3年で買い替えるならほどほどのスペックで、がっつり5~10年は使うならフルスペックなどと、予算と用途に応じて自分仕様のマシンに仕上げられます。Apple Silicon搭載Macの発表も気になりますが、プライベートと仕事のメインマシンとして選ぶのであれば、初物よりも、円熟の域に達した2020年版27インチiMacが賢者の選択だと思います。もちろん筆者は愚者ですが!