ホーム画面下の領域とは、アプリアイコンがいくつか登録されている「Dock(ドック)」のことですね? 確かに、ホーム画面の下部にはページを移動しても表示内容が固定の(ホーム画面を左右へフリックしても変化がない)、特別扱いされている領域がありますね。

Dockは、特に利用頻度が高いアプリのための領域です。そこには任意のアプリアイコンを4つまで登録でき、ホーム画面のページを移動しても表示内容が変わらないため、必要とあればいつでもタップしてアプリを起動できます。電話やSafari、メールといったアプリのアイコンを登録しておけば、どのページが表示されていようともすぐに起動できることが機能の主眼です。

と聞くと、ガラケーの短縮ダイヤルのような...と考えてしまいそうになりますが、そうではありません。すばやく起動したい特に利用頻度が高いアプリのための指定席を用意するという考えかたは、iPhoneが発売された2007年より20年近く前に登場しています。

Dockの原型は、故Steve Jobsが率いたNeXT Computer社のOS「NEXTSTEP」に遡ります。この頃のDockは画面上に常時表示される矩形領域で、アプリをすばやく起動するプログラム(ランチャー)としての機能にくわえ、よく使う書類(ファイル/フォルダ)を登録することもできました。後年NeXT Softwareと名を変えたその企業をAppleが買収、Mac用のOS「Mac OS X」の基盤となり、Dockも引き継がれます。結果、Dockとファイルブラウザの「Finder」がMacの顔とでもいうべき存在になりました。

iOSはMac OS Xから派生したOSですが、当初はファイル/フォルダの概念を前面に出したくなかったのか、Finderは用意されませんでした。しかし、Dockは名前のみならず機能についても、登場当初のコンセプトを維持しています。Dockは特別扱いされているのではなく、そもそも動かないものなのです。

  • どうしてiPhoneのホーム画面下の領域は動かないの?

    iOSの祖先にあたるOS「NEXTSTEP」のデスクトップ。右端上部の矩形アイコンが縦に並ぶ領域がDockです