筆者は、2012年に15インチMacBook Proをメインマシンとして手に入れ、2016年にフルモデルチェンジした際、13インチにサイズを落としてMacBook Proを更新した。

その理由は、外出や出張が多かったこと、特にコワーキングスペースと自宅の両方で作業をすることが基本となり、メインマシンの可搬性が重要になった点がある。そうした経緯で筆者にとって最適となったのが「持ち運びやすい軽快なメインマシン」という存在だ。

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12.9インチiPad Proとパネルサイズを合わせたい

デスクトップが全盛だったころ、メインマシンはデスクトップでノートパソコンはサブ、という振り分けが基本だった。しかし、最近のトレンドとして、デスクでもノート型を利用するのが一般的になって以前のような使い分けはなくなり、MacBook Proは可搬性と性能を両立させるバランスが取れた選択肢、と見ることができる。

今回、筆者は新しい13インチMacBook Proに乗り換えたが、それはiPad Proの存在が大きい。筆者は、仕事の大半の時間をiPad Proで過ごすようになり、2018年にはそれまでの10.5インチから12.9インチへと画面サイズを拡大させたほどだ。

macOSには「Sidecar」と呼ばれる、iPadをMacの拡張ディスプレイとして利用できる機能が標準で用意されている。それを視野に入れると、12.9インチのiPad Proと似たようなサイズの13インチMacBook Proは自分にとって好都合だと感じた。

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ひと足先に登場したMacBook Airもパネルサイズは13インチだが、表示品質はMacBook Proよりも低い性能に抑えられている。具体的には、広色域の表示をサポートしない点、そして最大輝度は非公表で500ニトをうたっていない点も、スペックシート上の差として現れている。

同様に、MacBook Proは下位モデルで15W、上位モデルで28WのTDPで設計されているのに対し、MacBook Airは10Wしかラインナップされない。処理性能の面では、MacBook Proを上位モデルとしてより明確に位置付けていることが分かる。

パフォーマンスの向上には十分な手応え

前述の通り、筆者はデュアルコアのCore i5 2.9GHzを搭載する2016年モデルの13インチMacBook Proを使ってきた。Geekbench 5のスコアはマルチコアで1750前後、グラフィックスは3800前後となっていた。

2020年モデルで搭載された第10世代のクアッドコアCore i5 2.0GHzモデルでは、マルチコア4400前後、グラフィックスは10150前後という結果となった。コア数の増加もあるが、処理性能2.5倍、グラフィックス2.7倍という性能向上が見られる。

その性能向上は、実際の作業でも大きく影響してくる。特に、ビデオ編集やその書き出し、大きなサイズの写真編集が半分程度の時間に短縮できた点は、生産性の向上に大きく寄与してくれる。

実は、手元のマシンを最新版に刷新する前まで、12.9インチiPad Pro(2018年モデル)でのビデオ編集の方が頻度が高くなっていた。そのほうが書き出しの時間を短縮できる点が大きいのだが、Adobe Premiere Rushへのファイルの取り込みなどはMacでの作業のほうが効率的で、もどかしさを感じていた。

2020年モデルの13インチMacBook Proに一新したことで、再びMacでのビデオ編集に戻ることができそうだ。グラフィックス性能が高まったことで、画面収録や、Mac上でいくつかの映像を合成してYouTube LiveやZoomに映像を流す、といった自由度が高まることも期待できる。そうした用途は、これまで15インチ改め16インチMacBook Proの領分だったが、13インチモデルでも安心して、込み入ったメディア編集やリアルタイム配信の作業に取り組むことができそうだ。

15Wモデルか、28Wモデルか?

筆者は、新ラインアップの上位モデルとなる、第10世代クアッドコアCore i5 2.0GHzを搭載するモデルを選択することにした。ビデオ編集や、大学の授業を含むライブ配信に少なからず取り組むことを考えると、やはりパフォーマンスを重視しつつ可搬性を確保する第10世代プロセッサ搭載モデルがベストな選択肢となるからだ。ストレージは外部SSDもあるので1TB、メモリは悩んだが32GBを選択し、4~5年単位での活用に備えた。

一方、15Wモデル、すなわちThunderbolt 3ポートを2つだけ備えるモデルについては、価格の面からしてもMacBook Airとの比較となる。MacBook ProとMacBook Airには、同じ税別134,800円という価格のモデルが用意されており、この比較が分かりやすいだろう。まず明確に異なるのがプロセッサとディスプレイだ。

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MacBook Proの下位モデルは税別134,800円で、第8世代クアッドコアCore i5 1.4GHzがラインナップされており、オプションでクアッドコアCore i7 1.7GHzが用意される。MacBook Airは、上位モデルが同じ価格で第10世代クアッドコア Core i5 1.1GHz、オプションでクアッドコア1.2GHz Core i7が用意される。

確かに、MacBook Airのほうが世代が新しいが、MacBook Proのほうがより多くの電力を使用する前提で排熱設計がなされているため、プロセッサの処理性能や実際の作業でのパフォーマンスは、MacBook Proが15~30%高速に動作させられる。

そのため、少しでも写真やビデオなどの編集をするのであれば、同じ価格であっても、MacBook Proの下位モデルを選択するのがよい。ディスプレイは同じ13インチだが、MacBook Proのほうが品質が高いのは前述の通りで、画像やビデオを扱うならなおさらだ。

名前からするとProのほうが上位に当たるが、すべてのスペックでMacBook Proに軍配が上がるわけでもない。

例えば、設計が新しいMacBook Airのほうが、メインメモリのスペックは上回っている(上位モデルのMacBook Proは同じ3733MHz LPDDR4Xメモリを使用している)。内蔵グラフィックスも、プロセッサの世代の新しさから、MacBook Airでは6Kディスプレイでの表示に対応するが、MacBook Proの下位モデルは5Kまでしかサポートしていない。

2020年モデルのMacBook Proが登場したことで、MacBook Airの2020年モデルは、最も価格が安いデュアルコアCore i3プロセッサ搭載モデルが税別104,800円で、最もコストパフォーマンスが高いベストな選択肢となった。もし、それ以上の性能を求めるなら、MacBook Airを拡張せず、2020年モデルのMacBook Proを検討した方がよいだろう。

著者 : 松村太郎(まつむらたろう)

1980年生まれのジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。Twitterアカウントは「@taromatsumura」。