美しいデザインの薄型軽量ボディや手ごろな価格を武器に、ノート型Macの主力として学生や社会人など幅広い層にヒットしているのがアップルの薄型ノートPC「MacBook Air」です。2018年秋、ディスプレイをRetina化するなどしてフルチェンジした新世代モデルが登場したことで再び注目が高まり、2019年にはシリーズで最高となる出荷台数を記録したといいます。

そのベストセラーモデルが、登場から1年半で早くも大幅な改良を施してきました。MacBook Airならではの魅力をしっかりキープしつつ、これまでのモデルで感じることがあったストレスを軽減しており、WindowsノートPCの購入を検討している人も選択肢に入れるべき1台に仕上がっていると感じました。税別10万円チョイで買える低価格に抑えた点も評価できます。学生ならば、なんと税別9万円台で買えるんです!

  • 3月下旬に販売を開始した新しいMacBook Air(2020年モデル)。キーボードを中心としたさまざまな改良を施しつつ、税別104,800円からの低価格で入手できる安さを備えているのが魅力だ

打鍵感も配列も改良されたキーボード

新しくなったMacBook Airですが、先端に行くほど細くなる特徴的なくさび形ボディや、見た目からも手触りからも質感の高さを感じられるアルミニウム製のボディなど、外観は従来モデルと変わりません。アルミニウムは100%リサイクル素材が用いられているのも、これまでと同様です。

  • 外観は従来モデルと変わりがないように見えるが、16インチMacBook Proに続いてMagic Keyboard化されたキーボードが大きな変更点だ

大きく刷新されたのがキーボード。従来は、キーストロークの短い「バタフライキーボード」が採用されていましたが、新たに「Magic Keyboard」と呼ばれる新構造のキーボードに置き換えられました。

Magic Keyboardは、面積が大きくて今風の見た目をもたらすキーキャップ、ほどよい重さの反発をもたらすラバードーム、ブレを抑えてキーを安定して沈み込ませるシザー構造の3つが特徴となっています。見た目こそバタフライキーボードとそっくりですが、キーストロークが深くなって打鍵感がよくなったので、長く入力作業を続けていても疲れやストレスを感じにくくなったと感じます。打鍵音も従来よりもマイルドになり、周りにいる人の「タイプ音がうるさいなぁ」というストレスも軽減されるでしょう。

  • 新しいMacBook AirのMagic Keyboard。キーストロークが1mmに深くなった。強めにタイプしてもキーの周辺が不快にたわむことはまったくなく、しっかりとした底を感じさせるのは従来と同じ

  • MacBook Pro 13インチモデルのバタフライキーボード。キーストロークは0.55mmと短く、キートップの盛り上がりが小さいのが分かる

タイプ感の改善とともに評価したい改良が、ゴミやホコリによるトラブルが起こりにくくなったこと。従来のバタフライキーボードは、キーのすき間からゴミやホコリが入り込むと、キーが正しく入力できなくなる欠点がありました。キーを押したのに反応しなかったり、複数の文字が連続で入力されたりと、イライラを招く要因になっていたのです。Magic Keyboard化でその心配がなくなり、要らぬストレスとは無縁になりました。

地味ながら意外に好ましい改良だと感じたのが、矢印キー(カーソルキー)の配置が逆T字型になったこと。従来のバタフライキーボードでは、左右キーが一般的なキーと同じ高さだったのですが、Magic Keyboardでは左右キーの高さが半分に抑えられて逆T字型になりました。

  • 新しいMacBook Airの矢印キー。上下左右すべてのキーの高さがそろっており、左右キーの上にはキーのない余白が設けられている

  • バタフライキーボードの矢印キー。左右キーの高さがほかのキーとそろえられており、余白が存在しない

左右キーが大きいほうが使いやすいのでは…と思うかもしれません。しかし、逆T字型は左右キーの上部に生まれる余白をもとに手探りで指が添えられるため、わざわざ矢印キーに視線を向ける必要がなく、キビキビと操作できるのです。一見すると地味に見えますが、ユーザーの声を反映した好ましい改良だと感じます。

CPUもストレージも欲張れるようになった

パソコンとしての性能が底上げされたことも、ストレスなく使えることを後押ししてくれます。CPUは最新世代のCore i3やCore i5になり、グラフィックスも性能が向上しました。特に、BTOではクアッドコアのCore i7も選べるようになり、処理性能重視の人も満足できるでしょう。

ストレスフリーの観点では、ストレージ(SSD)が最大2TBまで選べるようになったのも評価できます。ノート型Macはストレージの変更や追加が不可能なので、購入後に容量が足りなくなったと思っても外付けのストレージに頼るしかなく、不要なデータの削除に追われてストレスがたまります。購入時、多少お金をかけてでも多くのストレージを積んでおきたい…と考える人にとって、選択肢が広がったのはうれしいポイントといえます。

今回は、クアッドコアのCore i5(1.1GHz)を搭載したモデルを試用しましたが、RAW現像ソフトやApple Arcadeのゲームもほぼストレスなく利用できました。負荷が高くなると排気ファンの音がいくぶんうるさくなるものの、甲高さは抑えられているので、気になるほどではありません。

  • Apple Arcadeのゲームは、3Dグラフィックスを多用する一部のゲームで表示が若干カクつくこともあったが、基本的にストレスなく楽しめた

MacとWindowsの両方を切り替えて使える

MacBook Airの隠れた魅力が「完成度の高いWindowsモバイルノートPCとしても使える」こと。Macは、OSの標準機能「Boot Camp」を使えばWindowsが導入でき、macOSと切り替えて使えるようになります。Windowsモードで起動すればmacOSの面影はまったくなくなり、Windows用のソフトや周辺機器が基本的に問題なく使えます。

  • Windows 10を導入したMacBook Air。画面もサウンドもThunderbolt 3端子も問題なく機能するので、本家Windowsノートと使い勝手は変わらない。トラックパッドも、問題なく右クリックできる

会社では、業務で使うソフトがWindows版しかないこともまだ多く、Macだけでは対応できないこともあります。PCゲームのオンライン販売サイト「Steam」で扱っているゲームも、大半がWindows版しか用意されていません。しかし、そのためだけにWindowsパソコンを導入するのは考えもの。MacにWindowsを導入しておけば、そのようなニーズにもすんなり対応できます。

Windowsの導入は、MicrosoftのWebサイトでWindows 10のISOファイルをダウンロードし、MacBook Air上で「Boot Campアシスタント」を実行するだけ。外付けの光学ドライブは必要なく、入手したファイルをUSBメモリーにコピーする手間もなくなりました。1時間もあれば、ファイルの入手からWindowsのセットアップまで完了します。

  • Windowsを導入するための「Boot Campアシスタント」は使い勝手がよく、スムーズに作業が進められる

Windowsを継続して使うにはライセンスの購入が必要ですが、未購入の状態でもしばらくはすべての機能が使えるので、お目当てのソフトやゲームが問題なく動くかを試せます。

Windowsを使いたい人も注目すべき1台に

前述の通り、MacBook Airはもっとも安い下位機種が税別104,800円と、意欲的な価格が設定されています。従来の下位機種はストレージが128GBでしたが、新モデルでは256GBに倍増したので、不満はありません。MacとWindowsが両方使える点を考慮すれば、同等クラスのWindowsモバイルノートと比べても価格競争力は高いといえます。

アップルは学割制度を用意しており、学生は1万円以上安い税別93,800円で購入できます。学割の対象となるのは、大学や高等専門学校、専門学校、大学受験予備校に通う学生ですが、注目したいのがPTA役員も対象になっていること。PTA役員は、小学校や中学校、高等学校も対象なので、子どもが学割対象外の高校生以下でも学割価格で買えるチャンスがあるわけです。自身が対象かどうか、今一度確認してみましょう。

個人的には、アップルの直販サイトで下位機種のスペックをカスタマイズして、CPUを1.1GHzのCore i5に変更するのがお勧め。デュアルコアからクアッドコアになるので、重たい処理でもグッと余裕が出るはず。価格は税別1万円アップにとどまるので、割のよい出費といえます。

質感の高さや可搬性の高さ、剛性感の高さ、キーボードの打ちやすさ、デザインのよさ、手ごろな価格など、完成度が確実に高まりました。並み居るWindowsモバイルノートと比べても、使い勝手やコスパの高さなど優れている部分が多く、Windowsをメインで使う前提でMacBook Airを買うのも断然アリだと個人的に感じます。ロングヒットになりそうな佳作といえるでしょう。