米トランプ政権が中国に対する禁輸措置を含めた規制強化を進めているなか、これに対応するかたちで、半導体ファウンドリとして世界最大手となる台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー(TSMC)が、中国HUAWEIからの新規受注を止めたという報道があった。5月18日付の日本経済新聞(電子版)が報じた。

  • 台湾TSMC、中国HUAWEIから新規受注を停止

TSMCは米Intelや韓国Samsungと並ぶ半導体生産の巨人で、半導体受託生産の最大手。Appleを始めAMDやNVIDIA、Qualcommなどの顧客を抱え、最先端技術プロセス搭載デバイスの製造において黒子として活躍してきたが、今回の"米中貿易戦争"で表舞台に出てきたかっこうとなる。

受注停止となると、HUAWEIがスマートフォンに搭載してきたSoC「Kirin」シリーズの次世代機の製造が難しくなるほか、他社が開発、製造を委託したTSMC製デバイスを自社製品に搭載することも難しくなるため、サプライチェーンを含めて大きな影響が及ぶことが予想される。

TSMCはこの3日前となる5月15日、米国アリゾナ州に5nmプロセスを採用した最先端半導体ウェハ製造ファウンドリを建造すると発表したばかりだった。同社の米国内拠点としてワシントン州に工場が、テキサス州とカリフォルニア州に設計センターが運営されており、アリゾナ州に新しく建設されるファウンドリは米国で2番目の製造拠点となる。アリゾナ工場の建設は2021年に開始され、生産は2024年の開始を予定しているという。同工場では月産2万枚の半導体ウェハを生産し、1,600人の技術専門職を現地で直接雇用し、エコシステム全体で数千人の間接雇用が創設されるとしている。