シャープのAndroidスマートフォン「AQUOS zero2」は、大画面のハイエンドモデルながら約141gと非常に軽いうえ、ゲーミングに関する機能が充実しているのが特徴。すでに、NTTドコモとKDDI(au)、ソフトバンクの大手3キャリアから販売されていますが、3月13日にはSIMフリー版も登場。改めて、その実力を確認してみましょう。

  • AQUOS zero2の前面。6.4インチディスプレイを搭載したハイエンドモデルながら、約141gという軽さを実現しているのが大きな特徴となる

ボディは軽くなったが素材は樹脂に

AQUOS zero2の大きな特徴の1つは、やはりそのボディにあるといえるでしょう。ディスプレイサイズは、ハイエンドモデルとしては一般的な6.4インチで、本体サイズは約74(W)×158(H)×8.8(D)mmなのですが、重量はなんと141g。前機種の「AQUOS zero」と比べてもさらに5g軽くなっているのです。

最近のハイエンドスマートフォンは、性能が高くなるにつれ重くなる傾向が強く、重量が200g前後というのが一般的となりつつあります。それだけに、ほかのハイエンドスマートフォンを手に取ったあとにAQUOS zero2を手にすると、軽さが際立っている印象を受けます。それでいてIPX5/8の防水性能、IP6Xの防塵性能を備えているのは、さすがといえるでしょう。

デザインを見ても、ディスプレイに液晶ではなく有機ELを採用することで、側面がカーブしたモダンなデザインに仕上げています。先にも触れた通り厚さは8.8mmと、同じシャープの新しいフラッグシップモデル「AQUOS R5G」とほぼ同じ(8.9mm)なのですが、側面のカーブがあることで双方を持った時の印象は大きく異なっており、AQUOS zero2のほうが厚さを感じさせません。

  • 側面下部から見たところ。ディスプレイの側面がカーブしていることが分かる

もっとも、ボディの軽さを実現するためか、AQUOS zero2は背面の素材にハイエンドモデルで多く採用されているガラスなどではなく、樹脂を採用していることから、ややチープな印象を受けてしまうのも事実。あくまで主観になりますが、AQUOS zeroではアラミド繊維を採用し、個性を打ち出したことでそうした印象を与えなかっただけに、軽さを実現するためとはいえ素材の変更はやや残念だと感じてしまいます。

  • AQUOS zero2の背面。背面の指紋センサーがなくなり、素材はアラミド繊維から樹脂に変更されている

バッテリー容量は3,130mAhと、4,000mAh近い容量を誇る最近のハイエンドスマートフォンと比べれば少ないのは確かです。とはいえ、これだけの容量があれば長い時間利用できるのも確かなので、日常使いで困ることは少ないのではないでしょうか。

一方、前機種と比べてプラスの要素となっているのが、指紋センサーがディスプレイ内蔵型になったこと。本体中央下部に指紋センサーを内蔵したことで、背面の指紋センサーがなくなり、デザイン面ではかなりシンプルになった印象を与えています。

  • 指紋センサーはディスプレイ内蔵型に。フロントカメラによる顔認証にも対応している

ちなみに、発売されて間もないSIMフリー版はデュアルSIM仕様で、DSDV(Dual SIM Dual VoLTE)に対応していることから、2枚のSIMを同時に利用できるのは使い方によって大きなメリットといえそうです。

  • SIMスロットは本体上部に搭載。SIMフリー版は、携帯電話会社版にはないデュアルSIM仕様となる

ゲームプレイを快適にする240Hz駆動ディスプレイ

軽さと並ぶAQUOS zero2のもう1つの特徴はゲーミング、つまりゲームをプレイしやすくすることに注力した設計がなされていることです。高度な性能を要求する3Dのオンライン対戦ゲームなどをプレイするうえで、まず求められるのはチップセットの性能になりますが、AQUOS zero2は「Snapdragon 855」、RAMは8GBとなっています。

2019年の冬モデルということもあり、最新モデルのAQUOS R5G(チップセットはSnapdragon 865、RAMは12GB)と比べるとチップセットは1世代前になるのですが、それでもスマートフォンとしてはかなり高い性能を持っているのは確か。ゲームプレイの参考になるベンチマークとして「3DMark」「Geekbench 5」の2つを実行して比べてみましたが、AQUOS R5Gには譲るとはいえ、かなり高い値を記録していました。

  • AQUOS zero2の「Geekbench 5」のスコア

  • AQUOS zero2の「3DMark」(Sling Shot Extreme)のスコア

実際に「Call of Duty Mobile」や「PUBG Mobile」など、負荷が高いと思われるメジャーな3D対戦ゲームを可能な限り最高画質に設定してプレイしてみたのですが、フレーム落ちが発生することもほとんどなく、最高画質で快適にプレイし続けることができました。AQUOS zero2の基礎性能の高さゆえといえるでしょう。

チップセットよりも強いこだわりが見られるのがディスプレイです。AQUOS zero2のディスプレイは毎秒120回の描画に加え、その間に黒の画面を挿入することで、毎秒240回の描画をする「240Hz駆動」を実現。これによって、映像表示がよりスピーディーになるうえ、残像も起きにくくなっているのです。

ディスプレイのタッチ検出も240Hzと、通常のディスプレイ(60Hz)と比べ4倍の頻度で検出してくれる仕組みを用意。ゲームの操作がより的確に反映されるようになり、一瞬の操作が結果に大きく影響するリズムゲームや対戦ゲームなどでは重宝するでしょう。

  • 「PUBG Mobile」を可能な限り高画質にしてプレイ。処理落ちすることもなく240Hz駆動で滑らかに動作するので、3D対戦ゲームのプレイもかなり快適だ

そしてもう1つ、大きなポイントとなるのが放熱です。ゲームプレイ中はチップセットに対する負荷が高くなり、熱が発生することでパフォーマンスが低下してしまうだけでなく、スマートフォンを持っていられなくなることもあります。

ですが、AQUOS zero2は放熱処理にも力が入れられており、熱を本体全体に広げて逃がす工夫がなされていることから、ゲームプレイ時にほんのり本体が暖かくはなるものの、熱くなりすぎてパフォーマンスが落ちることはありませんでした。充電時に発生する熱も、2系統に逃がすことで発熱を抑える「パラレル充電」を採用していることから、充電しながらのゲームプレイも安心といえます。

ちなみにAQUOS zero2には、ゲームを快適にプレイできるようにするための「ゲーミング設定」が用意されています。これは、240Hz駆動のオン・オフやゲームプレイ中の通知ブロックなど、ゲームプレイ時の細かな設定ができるもので、ゲームとして登録されたアプリすべてに反映されることから、ゲームプレイにこだわるなら細かく設定を変えてみるとよいでしょう。

  • 「ゲーミング設定」では、ディスプレイの240Hz駆動やパフォーマンスの制御など、ゲームプレイに関する細かな設定が可能

カメラ性能はハイエンドとしては抑えめ

続いて、スマートフォンで利用が多いカメラ機能について確認しましょう。AQUOS zero2のメインカメラは1220万画素でF値が1.7の標準カメラと、2010万画素で画角125度の広角カメラのデュアルカメラ仕様。ゲーミングに重点を置いたモデルということもあってか、ハイエンドモデルとしてはやや控えめの印象です。

  • AQUOS zero2のカメラは標準・広角のデュアルカメラ構造。最近のハイエンドモデルとしては控えめだ

とはいえ、カメラの性能自体は2019年モデルの「AQUOS R3」とほぼ同等で、手ブレ補正などもしっかり備わっていることから、日常使いで大きな不満を抱くことはあまりない印象です。唯一の弱点といえるのは、広角カメラで撮影すると被写体によってはレンズのゆがみがやや目立つ点でしょうか。

  • AQUOS zero2の広角カメラで撮影したところ

  • 同じく標準カメラで花を撮影したところ

  • AQUOS zero2の広角カメラで撮影したところ。直線的な被写体を撮影すると、ゆがみがやや目立つ

一方、フロントカメラは約800万画素と、こちらはAQUOS R3より性能はやや落ちますが、美肌補正ができる「AQUOS beauty」などはしっかり搭載しています。セルフィーに強いこだわりを持つ人でなければ、それほど困らないのではないかと感じます。

  • フロントカメラは約800万画素とハイエンドモデルとしては物足りないが、美肌機能などはしっかり用意している

まとめると、AQUOS zero2はその薄さとディスプレイを中心とした基本性能の高さで、快適なゲームプレイができるスマートフォンに仕上がっていると感じます。筆者も、対戦ゲームをプレイすることが多いのですが、そうしたゲームをリアルなグラフィックで快適にプレイでき、操作が的確に反映されるというのは非常に魅力的だといえます。

もちろん、スマートフォンとしての基本性能は充実していますし、ゲーミングに注力したといっても、いわゆるゲーミングスマートフォンのような“ごつい”デザインではありません。そうしたことから純粋に、薄くて性能が高いスマートフォンとして利用するのも悪くないのではないでしょうか。

佐野正弘

福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。