シャープが5G対応のAndroid搭載スマホ「AQUOS R5G」と5G対応モバイルルーターを発表しました。どちらも今春に国内でも開始予定の5G商用サービスに合わせて発売を計画している端末です。AQUOS R5Gは日本のメーカーが初めて発表した5G対応のスマホになります。

  • シャープが国内メーカーとしては初めてとなる5G通信と8K動画撮影の両方に対応したスマートフォン「AQUOS R5G」を発表しました

17日にシャープが開催した記者発表会では、端末を取り扱う通信キャリアの名前や販売価格についての言及はありませんでした。同社通信事業本部 パーソナル通信事業部 事業部長の小林繁氏は価格について、「一般的なハイエンドスマホと大きく変わらない販売価格を想定している」とだけコメントしました。

5G通信はSub-6対応。ミリ波対応は「あえてやらなかった」

AQUOS R5Gは本機のため新規に起こした約6.5インチのクアッドHD(3,168×1,440画素)解像度のPro IGZO液晶ディスプレイを採用しています。

  • 約6.5インチのシャープ製Pro IGZO液晶ディスプレイを搭載しました

CPUはクアルコムのモバイル向けSoC「Snapdrgon 865 5G mobile platform」を搭載。5G対応のモデムについては6GHz以下の周波数帯(Sub-6)のみをカバー。高周波帯のミリ波には非対応となっています。仕様を決めた背景について、小林氏は「AQUOS R5Gは商品としてのバランスと様々な環境を見てスペックを決めた。シャープの技術でスマホのミリ波対応は“やれなかった”わけではなく“やらなかった”ということ」と強調しました。

  • クアルコムのモバイル向け最新SoC「Snapdragon 865 5G mobile platform」を採用しました

無線LANはWi-Fi 6、メモリは12GBの大容量

ワイヤレス通信はAQUOSのスマホとして初めてWi-Fi 6(11ax)に対応しています。BluetoothオーディオもaptX Adaptiveの高音質コーデックに対応します。5Gの高速通信に合わせて強化を図ったメインメモリーには、アクセス速度を30%向上した12GBのLPDDR5 DRAMを搭載。容量256GBのストレージは最新規格のUFS3.0+WriteBoosterに対応。大容量のエンターテインメントコンテンツも素速くダウンロードできるとしています。またGPSの測位はスピードと精度を高めました。

  • カラバリはアースブルー / ブラックレイ / オーロラホワイトの3色展開になります

  • 防水・防塵設計の本体。艶のある色合いに仕上げています

内蔵バッテリーの容量は3,730mAh。本体はIPX5/IPX8相当の防水、IP6X相当の防塵対応としています。生体認証はインカメラによる顔認証と、フロントパネルのベゼル下側に配置した指紋センサーによる認証をサポート。NFCを搭載しておサイフケータイにも対応します。

本体は現行フラグシップモデルのAQUOS R3(約6.2インチ)よりも、画面のサイズが約6.5インチと大型化したぶん、手に持つと少し大きさも感じますが、質量は約189gとしてR3よりもわずか4g増に抑えています。

国内メーカーのスマホで初めて8K動画撮影に対応

背面のメインカメラはクアッドレンズ仕様。レンズの配置は上から52mm相当の望遠、中央が19mm相当・120度の画角をカバーする超広角、ボトムが26mm相当の標準となります。標準・望遠カメラにはハイブリッド方式の手ぶれ補正が搭載されています。このほかにもToF(深度)センサーを内蔵したことにより、グーグルが提供するARCoreによって開発されたARアプリとサービスも快適に楽しめます。

  • ToFカメラを含むクアッドレンズカメラを搭載

  • フロント側のティアドロップ型ノッチには16.4MPのインカメラを搭載

  • 本体の厚さサイズは最大約8.9mm。質量は約189gに抑えています

標準と望遠レンズには約12.2MPの裏面照射積層型CMOSイメージセンサーを搭載。広角レンズは約48MPの裏面照射積層型QBCイメージセンサーとして、AQUOSのスマートフォンとして初めて8K動画撮影に対応します。国内メーカーの端末としても8K動画撮影が可能なスマホは本機が初めてです。

  • ボトム側にUSB Type-C端子を搭載

  • トップにはアナログイヤホン端子を残しています

AQUOS R5Gで撮影できる動画は4KまでがHDR対応、8KはSDRまで。8K撮影時にもマニュアル設定項目の選択は可能ですが、自動ショートムービー作成機能の「AIライブストーリー」が使えません。8K撮影時のファイル形式はH.265形式で内蔵メモリー、または外付microSDカードに記録できます。ただし8K動画は1分の長さが約600MBものファイルサイズになるため、外付microSDカードを利用する場合は書き込み速度と容量の選択にも注意が必要です。

PCを介してUSBメモリーに書き出せば、シャープのAQUOSなど8K対応のテレビの大きな画面に映して楽しめます。シャープの記者発表会に登壇した同社執行役員 通信事業本部 本部の中野吉朗氏は、CES2020で発表された8K映像編集にも対応するハイパフォーマンスなDynabookのコンシューマー向けノートPCを、グループ会社であるDynabookが開発中であることにも触れつつ、シャープの8Kエコシステムの中に位置付けられる8K対応動画カメラとしてもAQUOS R5Gが重要な位置付けの製品であることをアピールしました。

  • 超広角レンズによる「8Kワイドカメラ」が高精細な8K動画撮影に対応します

  • 8K動画撮影時も4K/2Kの場合と同様にマニュアルによる詳細設定が可能

  • 8Kワイドカメラで撮影した動画の被写体をAI解析により追跡。ハイライトシーンにクローズアップする「8Kフォーカス再生」に対応します

  • 被写体として2人以上の人物などが映り込んでいる場合、被写体8Kフォーカス再生は画面をタップした箇所にズームします

シャープの小林氏は5Gに対応するAQUOS R5Gの通信性能を活かすことにより、1分の8K動画が約6秒でクラウドにアップロードできるとしながら、スマホで撮影した8K動画はPCに保存するだけでなく、クラウドサービスにアップロードする使い方もあると説明しています。そのうえで「8Kと5GをリードするAQUOSのスマートフォンが、これからのビジュアルコミュニケーションをリードしていきたい」と意気込みを語っていました。

  • Dynabookが開発中の8K動画編集に対応するハイパフォーマンスなPCと組み合わせた8Kクリエーションのエコシステムをシャープのグループ全体のアセットにより提案しています

ディスプレイは5Gスマホと相性の良い「Pro IGZO液晶」

AQUOS R5Gには約6.5インチのPro IGZO液晶ディスプレイが搭載されています。パネルが消費する電力をリアルタイムに解析しながら、表示の書き変えを間欠的に制御できるIGZO液晶ディスプレイならではの高い省エネ性能と、バックライトの明滅制御ができることから、本機では有機ELではなく液晶をディスプレイに採用しています。

シャープの担当者は「5G時代のリッチコンテンツを、屋外などでポータブルに楽しめるスマホに搭載するディスプレイとして、現在の技術ではIGZO液晶が有利と判断した」と話しています。

  • Pro IGZO液晶は120Hzの高速描画に対応。被写体の動きが少ない場合は電力の消費を抑えるため、リフレッシュレートを低く抑えるアイドリングストップに対応しています

なお画面のリフレッシュレートはAQUOS R3と同じ120Hz対応。AQUOS zero2にも搭載されたゲームコンテンツの表示を最適化するゲームモードも引き継いでいます。

本機に搭載されたIGZOディスプレイはパネルの駆動効率をさらにブラッシュアップしたことで、ピーク輝度を1,000カンデラまで明るくしています。また照度センサーのほかにRGBセンサーを載せたことで、周囲の明るさや色温度に応じて画面のホワイトバランスを自動調整する「スマートカラーマッチング」の機能が新たに加わりました。

HDR映像の輝度バランスをコンテンツに応じて調整

屋外でもHDR画質のVODコンテンツなどが快適に楽しめるよう、HDR映像の輝度バランスなどを自動調整する「HDRエンハンサー」も初搭載となっています。

従来モデルから搭載されているSDR画質の動画をHDRライクにエンハンスする「バーチャルHDR」とは異なる機能になります。映像を見比べてみると、HDRエンハンサーをオンにした映像は白飛びや黒浮きが抑えられたナチュラルなバランスに仕上がります。なおAQUOS R5GはDolby Visionにも対応しているスマホですが、HDRエンハンサーはHDR10にHLG、VP9などDolby Vision以外のHDRコンテンツを表示した場合に有効化されます。

  • HDRエンハンサーをオンにするとHDR映像の明部が白飛びせず、暗部のつぶれや黒浮きもバランスよく抑えます

発熱を純銅シールドで低減「負荷は4G並みに」

内部の放熱設計にも歴代AQUOSスマホが築いてきたノウハウが活きています。SoCが配置されている基板に沿って純銅ブロックシールドを配置したことで、AQUOS R3との比較で内部の温度を約20度緩和。CPUの最高性能の持続時間も約25倍に向上しています。

シャープのエンジニアは「5G対応による通信負荷の発熱が4G LTEスマホなみに抑えられる」と話していました。AQUOS zero2やAQUOS R3にも採用されている2つの充電ICでチャージ中の内部放熱を抑える「パラレル充電」はAQUOS R5Gにも継続して搭載されています。

  • 周辺光の明るさや色温度に合わせて映像のホワイトバランスを自動調整する「スマートカラーマッチング」を新規に搭載。端末のディスプレイ設定からオンオフが切り替えられます

シャープの小林氏は5G対応により、リッチコンテンツの快適な視聴体験が期待できると述べています。AQUOS R5Gにはステレオスピーカーが内蔵され、ドルビー独自の立体音響技術であるDolby Atmosを引き続きサポートしました。またアナログイヤホン端子も搭載されているので、ヘッドホン・イヤホンによるDolby Atmos体験も可能です。

小林氏は「省電力性能と環境の変化に強いディスプレイ表示、コンテンツへの柔軟な対応性能などモバイルパフォーマンスの高いAQUOS R5Gのようなスマホが、今後リビングのテレビと肩を並べるファーストスクリーン/ファーストディスプレイになるだろう」としながら、極上のエンターテインメント体験が満喫できる最新のAQUOS Rシリーズに期待してほしいと呼びかけました。

  • 筐体の内部はCPUが配置されている場所が5G通信時に最も熱が高くなるため、放熱部品として純銅プレートを配置しています

16台のデバイスに高速通信を提供する5Gモバイルルーター

シャープからは5G対応のモバイルルーターの新製品も発表されました。本機もやはり国内で5Gのサービスが開始される春以降の発売が予定されていること以外、取り扱うキャリアの名前や提供される価格の情報については伏せられています。

  • シャープが商品化した5G対応のモバイルルーター

5G通信はミリ波とSub-6の両方をカバー。LTE通信にも互換性があります。ミリ波通信の感度を高めるため、向きを変えた3台のアンテナを内蔵しています。受信時最大約4Gbps、送信時は約0.8Gbpsの高速データ通信に対応します。

約280gの堂々とした筐体に最先端の通信機能を贅沢に詰め込みました。Wi-Fi6対応により、テザリングで最大16台までのデバイスを同時に接続してギガビット通信ができるとしています。2.5GBASE-Tの有線LAN端子も搭載して、ハブ経由で複数端末の同時接続も可能。USB3.0端子にケーブルでつないだPCの高速通信もサポートします。

本体にはステータスを表示するための約2.4インチQVGA液晶ディスプレイを搭載したほか、内蔵バッテリーの容量は約4,000mAh、放熱設計も十分に考慮しています。

  • 最大16台までのデバイスがテザリング可能

2021年度に発売するAQUOSスマホは5G対応を強化

シャープの中野氏はスマホによるゲームや動画によるコミュニケーションの開拓が大きな評価を得て、AQUOSスマホがAndroidスマホの国内販売台数を大きく伸ばしていることを伝えました。

AQUOS R5Gの展開については、5Gの商用サービス開始を追い風にして、「当社が進めてきた8K+5G+AIoTによる事業改革をさらに加速させたい。通信と映像の両方にシャープの強みを生かしながら、シャープならではのクリエイティブな体験を提案できるだろう」と抱負を語ります。

また2021年度中に発売するAQUOSスマホについても、市場のニーズを見ながら5G対応を強化する考えについても明らかにされました。