2020年2月にIntelが電話会議の形で5G向けの製品ポートフォリオを紹介した話はすでにレポートした通りだが、このうち「Atom P5900」について、もう少しだけ詳細な話を聞く機会があったので、まとめてレポートしたい。
まず製品概略について。2月の時点ではラインナップなども明らかにされていなかったが、現在は製品ページも出来ており、4製品のラインナップが明らかになっている。表1が今回発表の4製品の相違点をまとめたものだが、共通するスペックとしては
- Tremontコアを搭載。製造は10nmプロセスで、4コアあたり4.5MBの共有L2キャッシュを搭載
- CPUコアの動作周波数:2.2GHz(Base:Turbo Boostは未サポートの模様)
- PCI Expressは合計32レーン(ただしPCIe Gen2 x16とGen3 x16の混載)。x4/x8/x16をサポート。
- USB 2.0×4+USB 3.0×4とSATA×16、UART×3、Intel 800 Series Ethernetを内蔵 : Intel RDT(Resource Director Technology)、Secure Boot、VT-x、Intel TXT、Intel Boot Guardを搭載。
- 動作温度範囲は-40℃~85℃。
となっている。
筆者が一番知りたかったのは、P5900は基地局の一体どこに入るのか、と言う事であるが、これの答えは? というと例えばMME(Mobility Management Engine)の様な、フロントホールのそれも一番下側になるという話であった。
表1でもお分かりかと思うが、P5900は、例えばアンテナのMIMOの制御を行うというよりは、それこそEthernet 800と内蔵のSwitch、それとIntel QATを生かして、入ってきたパケットをハードウェアで処理して振り分けるといった用途に特化しており、Tremontコアはこのハードウェアの制御(と、一部ハードウェアでカバーしきれない特殊な処理)を担う形になるようだ。
Intelによれば、こうした下回りに特化したプロセッサを投入するのは今回が初めてということで、それもあって力を入れているそうだ。3月5日にノキアは、このP5900を同社の5G向けAirScale製品に採用する事を発表しており、少なくともこれで採用事例は1つ存在することになる。
筆者注:ふと「Tolapai」の事が頭によぎったが、まぁ無線の基地局向けではなかったから、嘘ではない
まだまだ5G基地局の増設はこれからだし、その途中で仕様が変わる事もしばしばなので、後発と言えどまだビジネスチャンスはある、ということだろうか。XeonやFPGA/eASICと並んで、5G基地局向けソリューション向けの弾を、また充実させた訳だ。これが上手く行くようなら、今後はさらに展開を広げていくのかもしれない。