ファーウェイ・ジャパンは3月16日、スマートフォン「HUAWEI Mate30 Pro 5G」を発表しました。グローバルでは2019年9月に発表された製品ですが、日本でも発表となりました。SIMフリー端末でありながら、国内の5G通信に対応している、といいます。OSはAndroid 10をベースにしたEMUI10を採用しますが、米政府の制裁にともなう措置のため、Googleのサービスは搭載されていません。

  • HUAWEI Mate30 Pro 5G
  • HUAWEI Mate30 Pro 5G
  • HUAWEI Mate30 Pro 5G。グローバルでは4G版もありますが、日本では5G版のみの発売となります。カラーはレザーデザインのオレンジのみ。プレミアム感があってグローバルで人気のカラーを選択。グローバル版に比べて、日本の5Gに適合するように調整されているそうです

先行販売では、完全ワイヤレスイヤホン「HUAWEI FreeBuds 3」などをプレゼント

発売は2020年4月中旬の予定。価格はオープンプライスで、実売想定価格は128,800円(税別)です。ヨドバシカメラとビックカメラの一部店舗、ファーウェイの楽天市場店とPayPayモール店で販売します。さらに、100人限定で先行販売を実施。3月16日~25日までに公式サイトから申し込み、3月28日~30日に東京のファーウェイカスタマーサービスセンター(銀座)、または4月4日~6日に大阪の同センター(梅田)での受け渡しが可能というのが条件です。

先行販売では、完全ワイヤレスイヤホンのHUAWEI FreeBuds 3、27Wの高速ワイヤレス充電が可能なHUAWEI SuperCharge Wireless Chargerをプレゼントするほか、本体価格も10,000円引きになります。

4月10日からは、Huawei Cloudが日本でも利用可能に。Mate30 Pro 5Gユーザーは3カ月間50GBが無償で提供されます。なお、すべてのファーウェイ端末ユーザーに5GBが提供されるそうです。

Mate30 Pro 5Gの特徴まとめ

今回、日本に投入されるMate30 Pro 5Gは、6.53インチのフレックスOLEDを搭載。解像度は2,400×1,176ドットで、DCI-P3をカバーしてHDRに対応。前モデルに比べてブルーライトを25%低減したほか、新しいカラーレンダリングエンジンによってより鮮やかな描写を実現しました。

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    ディスプレイのスペック。プレゼン画像は、2019年9月にドイツで開催された発表会のものです(以下同)

6.53インチと大型ですが、本体側面までディスプレイを広げることで幅を抑制。小型のディスプレイを搭載するiPhone 11 Pro Maxの横幅(6.46インチで77.8mm)より細い73.1mmを実現しています。

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    側面までディスプレイがあります

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    iPhone 11 Pro Maxよりも細いボディ

本体上部にはインカメラを内蔵したノッチがあり、ジェスチャーセンサー、3D被写界深度カメラ、環境光・近接センサーといったセンサー類をまとめつつ、コンパクトなノッチにしています。ディスプレイが振動する「HUAWEI Acoustic Display Technology」によって、スピーカーがないこともコンパクトさに寄与しています。

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    各種センサーやカメラを集めたノッチ

側面までディスプレイが広がっているため、音量ボタンはバーチャル化しており、側面のタッチ操作で表示されます。そのため、両側面で音量操作が可能なほか、シャッターボタンを自由な位置に移動できるようになっています。

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    側面をタッチして音量調整が可能

SoCは、7nmプロセスで製造されるKirin 990 5G。5GのNSAとSAの双方に対応し、従来のチップからCPU性能は23%、GPU性能は39%向上しており、加えて電力効率も向上したとしています。

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    Kirin 990 5Gの性能

5Gでは、n79 / n78 / n77 / n41 / n38 / n28 / n3 / n1という幅広い周波数帯に対応。サブ6をサポートしています。日本の5Gネットワークに対応したとしており、キャリアのIOT(相互接続性試験)を実施しているそうです。このうち、n79 / n78 / n77 / n28が日本のバンドです。

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    対応する5Gのバンド。2020年4月中旬に対応アップデートを実施予定とのこと

デュアルSIMスロットは、どちらも5G通信に対応。4GならDSDV(Dual SIM Dual VoLTE)に対応しています。SIMスロット2はメモリカードのNMカードを挿入することも可能です。

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    デュアル5Gに対応します

バッテリー容量は4,500mAhで、「超ヘビーユーザーのプロファイルにもとづくバッテリー寿命」は、超ヘビーユーザーでも9.2時間のバッテリー駆動が得られるとのこと。充電は有線で40W、ワイヤレス充電で27Wに対応して急速充電が可能。他のワイヤレス充電対応機器へと給電できるワイヤレス給電機能は、速度が前モデル比3倍になったそうです。

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    27Wの急速ワイヤレス充電に対応

カメラは、3D被写界深度カメラを含む4つのレンズが正方形に並び、カメラ周囲に円形のリングを備えています。ドイツのライカカメラとの協業で開発されており、レンズ銘は「VARIO-SUMMILUX-H 1:1.6-2.4/18-80 ASPH.」です。メインカメラは有効4,000万画素の1/1.7型RYYBセンサーを採用し、ローライト撮影に最適化したというSuperSensingカメラと称しています。レンズの焦点距離は35mm判換算27mm、F値はF1.6で光学式手ブレ補正(OIS)も搭載します。

超広角カメラは「シネマカメラ」として、有効4,000万画素の1/1.54型RGGBセンサーを採用。動画に最適化したカメラともされています。レンズの焦点距離は35mm判換算18mm、F値はF1.8。さらに、有効800万画素の望遠カメラも備え、こちらは焦点距離が35mm判換算80mm、F値はF1.8でOISも搭載します。デジタルズームを併用することで最大45倍までのズームが可能です。

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    カメラのスペック。日本ではそれぞれSuperSensingカメラ、シネマカメラと表現するようです

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    写真メインのRYYB、動画に最適化したRGGBという2つのメインセンサーを搭載。RYYBは4:3、RGGBは3:2のアスペクト比のセンサーです

インカメラは有効3,200万画素のRGBセンサーを採用。3D被写界深度カメラを利用することで自然な背景ボケによる高品質のセルフィー撮影が可能としています。

カメラ全体としては、比較的大型の高画素センサーを2つ搭載した形で、メインだけでなく超広角撮影でも高画質化を目指しました。超広角カメラでは動画を強化し、4K60fpsの動画撮影が可能です。4K HDR+でのタイムラプス撮影、ISO51200という超高感度撮影、7680fpsのウルトラスローモーション撮影といった機能もあります。リアルタイムに人物の背景をボケさせる機能や、OISと並んでAIを使った電子式手ブレ補正のAISを併用した強力な手ブレ補正機能も備えています。

  • HUAWEI Mate30 Pro 5G

    様々な動画機能

Android 10をベースとしたOSのEMUI 10は、ロック画面に常時、時計などを表示する機能、ダークモード、画面に触れずに手のひらを振ったりつかむむような動作でコントロールするスマートジェスチャーコントロール、目の方向をセンサーが検知して画面の回転を行うAI自動回転といった機能を搭載。生体認証は、画面内の指紋認証と顔認証をサポートします。

  • HUAWEI Mate30 Pro 5G

    手を振ったりつかんだりといった操作が可能なスマートジェスチャーコントロール

米政府の規制によってGMS(Google Mobile Services)を搭載できず、Google PlayをはじめとしたGoogleサービスが使えません。その結果、GmailやGoogleマップなどのアプリが内蔵されていない点には注意してください。

その対策としてファーウェイは、HMS(Huawei Mobile Services)としてアプリ配信のAppGalleryを用意しました。AppGalleryは世界170カ国以上で使われ、月間4億人のアクティブユーザーがいるそうで、各地域の特性に合わせた開発パートナーを集めて、様々なアプリの提供を図っています。

  • Gpogleのサービスやアプリが使えないということで、ファーウェイのHMSを提供。アプリはAppGalleryからダウンロードします(2020年2月にバルセロナで行われたHuawei発表会から)

Google Playほどアプリが存在しないことに加え、GoogleマップやGoogleフォトなど、Googleサービスを中心に使っていたユーザーにとっては厳しい面があります。ただ、ファーウェイのAppGalleryも、TwitterのようなSNS、NAVITIMEやジョルダンの乗換案内といった地図・ルート案内、Microsoft Officeアプリなど、それなりに数はあります。

※2020年3月17日訂正:
初出時、上記の段落で「LINEやTwitterのようなSNS」としていましたが、LINEはHMS(Huawei Mobile Services)に対応していません。ご迷惑をおかけした読者の皆様ならびに関係各位には深くお詫び申し上げます。

HMS向けのアプリは、GMS向けに開発されたアプリにカスタマイズが必要になりますが、SDKも用意されており、ファーウェイは「Shining-Star Program」として10億ドルを投資して開発者の支援を図っています。今後は、日本の開発者に対してもアピールしていきたい考えです。

  • 多額の開発者支援も提供(2020年2月にバルセロナで行われたHuawei発表会から)

  • 各種KitとしてAPIなども提供されます(2020年2月にバルセロナで行われたHuawei発表会から)

スマートフォンの性能やカメラ機能、5Gの対応状況など、ハードウェアとしては優れた製品ではありますが、問題はGMSです。やはりGoogleサービスが存在しないのは大きなネックで、こうした点が許容できるかどうかが購入の鍵となるでしょう。