ファーウェイによるIFA 2019のオープニングキーノートでは、ファーウェイ コンシューマー・ビジネスグループCEOのリチャード・ユー氏が登壇。世界初とする5Gモデムを統合した最新SoC「Kirin 990」とともに、Kirin 990を搭載する次期フラッグシップスマホ「Mate 30」シリーズを、9月19日にドイツ・ミュンヘンで発表すると述べました。
世界初、5Gモデムを統合したSoC「Kirin 990」
まずユー氏は、ファーウェイが率先して取り組んで来たAIについて説明。2年前のIFA 2017で、世界初のAIプロセッサ「NPU」を内蔵するSoC「Kirin 970」を発表したとき、周りからスマートフォンでAI処理が必要なのか……と言われたそうです。それから2年が経ち、スマートフォンでAI処理を行うことが当たり前になったと語ります。
そのうえで、端末内でのリアルタイムAI処理とクラウドAI処理を併用する現在のスマートフォンAIを「Mobile AI 1.0」と定義。今後は端末内でのリアルタイムAI処理と合わせて、低遅延かつ高速な5Gを活用してクラウドでもリアルタイムAI処理が行えるようになるとし、その新世代のAI処理を「Mobile AI 2.0」とします。Mobile AI 2.0を実現する最新のSoCとして、「Kirin 990」シリーズを発表しました。
Kirin 990シリーズは、4Gモデムを統合した「Kirin 990」に加えて、世界初となる5Gモデムを統合したSoC「Kirin 990 5G」の2種類が用意されます。
これまでファーウェイは、5Gモデムチップ「Balong」シリーズを提供してきましたが、Kirin 990 5Gには2G、3G、4Gモデムに加えて、4Gネットワークに依存するNSA(nonスタンドアロン)モードと、単独で5G通信が可能なSA(スタンドアロン)モードの双方に対応する5Gモデムを統合しています。これによって、協業他社のSoCで5G対応スマートフォンを作るにはSoCと5Gモデムの2チップ必要となるところ、Kirin 990では1チップで済むようになり、チップ実装面積が減って端末設計が容易になるとしました。
統合されている5Gチップは、ダウンロード最大2.3Gbps、アップロード最大1.25Gbpsに対応。5Gの電波が弱いときには、アップロードを4G回線に流すことで他社製5Gモデムよりも5.8倍高速な通信が行えたり、5Gの通信量が少ない場合には帯域を狭めて消費電力を減らしたりする機能も備えています。さらに、ビームフォーミングの性能を高めることで、高速移動時の5G通信スピードも速くなっているとのことです。