ベルキンは傘下のネットワーク機器ブランドである「Linksys(リンクシス)」のモジュール式メッシュWi-FIシステム「Velop」の新製品「MX5300」を3月6日から全国の家電量販店およびオンラインショップで販売する。日本でも人気を集めつつあるメッシュWi-Fiルーターだが、Wi-Fi 6に移行することで、競争力を高めている。

  • MX5300

性能も本体も一回り以上サイズアップ

LinkSysの「Velop」は、いわゆるメッシュWi-Fiに対応したWi-Fiルーターのシリーズだ。これまではWi-Fi 5(IEEE802.11ac)までの対応で、ルーター本体はデュアルバンド(2.4GHz/5GHz)とトライバンド(2.4GHz/5GHz/5GHz)の2種類あり、1台、2台、3台のセットが販売されてきた。今回発売する「MX5300」では、トライバンドのWi-Fi 6(IEEE802.11ax)対応となり、本体1台のみの販売となる。価格は5万980円(税別)。

本体はVelopシリーズ伝統となる、外部アンテナを持たず四角柱に近いシンプルなデザインだが、既存モデルとはサイズがかなり違っている。既存モデルのうち、背の高いトライバンドモデルで、奥行きと幅が7.9cm、高さが18.5cmだったが、MX5300では幅と奥行きが11.4cm、高さが24.4cmと、体積にして2.7倍以上も大きくなっている。イメージとしては500mlと1.5Lのペットボトルくらいのボリューム差がある。MX5300の場合、従来のVelopのように本棚などに置くにはある程度の高さが必要なので、図鑑や百科事典といった大判書籍の棚に置くといいだろう。

  • 右端が「MX5300」。中央が従来製品のトライバンド、左がデュアルバンドになる。かなりサイズ差があることがお分かりいただけるだろうか。こうして並んでいると都会のビル街を思い起こさせる。本体デザインは従来のVelopを引き継いでいる。アンテナは内蔵されており、邪魔な突起などが見えないため、リビングなどに置いてあっても違和感が少ない

従来モデルと比べると、Wi-Fi 6対応による高速化と通信可能エリアの強化(185平方メートル→190平方メートルへ)、LANポートが1→4ポートへ増強、処置用のCPUをクアッドコア・716MHzからクアッドコア・2.2GHzへとアップグレードしており、かなり強化されている。本体サイズも大型化しているが、内部はCPUの強化などで発生する発熱を効率よくファンレスで処理するために、大型のヒートシンクを3枚使用するなど、スマートなデザインを維持するための工夫が凝らされている。

  • MX5300の外装ケースを外したところ。大型のヒートシンクでロジックボードをサンドイッチした構造になっている。一番上で複雑に組み合わさって組み込まれているアンテナが小型化の秘密だ。4つに増設されたLANポートは有線接続を重視するゲーマー層などからの要望とのこと

最大の特徴であるメッシュネットワークは、複数台のルーターを組み合わせて1つの広いWi-Fiネットワークを構築できる技術だ。メッシュネットワーク自体はIEEE802.11sという規格でプロトコルが規定されているのだが、現在市販されているメッシュWi-FIルーターは各社独自の拡張をしているようで、相互に互換性がなく、ネットワークを拡張するには、同じメーカーの端末同士を組み合わせる必要がある。MX5300は既存のVelopと互換性を保っているので、既存のVelopネットワークに追加してネットワークを拡張できる。メッシュネットワークのどこに追加してもいいとのことだが、インターネット回線から接続される部分か、LAN接続する機器の台数が多いところに置くのが定石になるだろう。

設定はスマートフォン用の「Linksys」アプリを使って設定する。端末単位でアクセスできるサイトや時間を制限できる「Linksys Shield」や、Wi-Fiの電波を使ったモーションセンシングを利用して侵入者検知を実現する「Linksys Aware」といった、従来のVelop向け追加の有料サービスも、MX5300ではそのまま利用可能だ。

  • 「Linksys」アプリはスマホからノード追加などを非常に簡単に設定できる。Lnksys Shieldなどの設定もこのアプリから行う

ベルキンでシニアプロダクトマネージャを務めるDavid Shao氏によると、Wi-Fi 6対応のメッシュ対応ルーターは他社からも発売済みだが、こうした競合と比べて、Velopはセッティングの容易さや実用時の速度が高い点がメリットだという。実際にShao氏が自宅で行ったテストでは、1台でも2台でメッシュを組んだ場合でも、競合を上回る速度がえているほか、1台では届かかった場所でも2台目を追加してメッシュを組むと、かなり高速に繋がるようになったことが示された。

  • 流暢な日本語でテスト環境の説明を行うシニアプロダクトマネージ マネージャーのDavid Shao氏

  • David Shao氏の自宅を使ってテストを行った。中央やや左にVelopが置かれる。メッシュネットワークになったときは右側中央の和室に2台目を配置して拡張した

  • 他社製のライバム機種と速度比較をおこなた結果。ダウンロード速度はVelopのほうがかなり早い。特にメッシュで拡張したときの安定性が顕著だ

メッシュネットワーク対応のWi-Fiルーターは各社から登場しているが、VELOPはその中でも設定が容易さやスマートなデザインといった総合力の高さから、高い評価を受けている。Wi-Fi 6対応により、速度面はもちろんのこと、同時接続数などもいっそう拡張されて 今自宅や会社でWi-Fiの接続に悩んでおり、メッシュWi-Fiの導入を検討している人は、ぜひ候補に入れてみてはいかがだろうか。

なお、ベルキンは3月6日までにVelop MX5300を予約購入した人に対し、本体価格が15%引きとなるキャンペーンを開始した。Amazonの場合、クーポンコードは「LINKSYS5300」で、本日から利用できる。その他の販売店の場合も予約に対して15%相当の割引が適用される。もともとの本体価格が高いため、15%でもかなりの値引額となる。既存のVELOPメッシュネットワークを拡張したい人や、新たにWi-Fi 6の導入を考えており、将来メッシュによる拡張を検討している人にはうれしいチャンスと言えるだろう。