ベルキンは傘下のネットワーク機器ブランドである「LinkSys(リンクシス)」のモジュール式メッシュWi-FIシステム「VELOP」を11月9日から全国の家電量販店およびオンラインショップで販売する。世界中で高い評価を受ける製品の参入でメッシュWi-Fi市場に注目が集まりそうだ。

本体も設定もシンプルでお手軽

LinkSysの「VELOP」はメッシュWi-Fi対応ルーターだ。これまでApple Storeなどで限定的に販売されていたが、改めて全国の量販店での取り扱いが開始となる。

本体はインテリアに馴染みやすい、飽きのこないシンプルなデザインで、設置面積もコンパクトに収まっている。2.4GHz帯と5GHz帯を使う「デュアルバンド」モデルと、さらにもう1つの5GHz帯を利用する「トライバンド」モデルに分かれており、いずれにもルーター本体が1台、2台、3台のパッケージが用意されている。

  • 左がデュアルバンド、右がトライバンド。価格はデュアルバンドモデルが1万3,980円(1台)、2万2,980円(2台)、3万2,980円(3台)、トライバンドモデルが2万980円(1台)、3万5,980円(2台)、5万3,480円(3台、いずれも税抜き)

  • トライバンドモデルは高さがあるため、デュアルバンドモデルよりも内部に余裕があり、電源とネットワークケーブルは底面のポートに接続して、ケーブルを側面の穴(写真では上側)にスッキリとまとめられる

最大の特徴は、複数台のルーターを組み合わせてメッシュWi-Fiネットワークを簡単に構築できる点だ。設定はスマートフォン用の「Linksys」アプリを使って設定するが、ほとんどの設定はシステム側で自動的に行ってくれる。端末ごとに特定のサイトに接続できないようにしたり、利用時間を制限するといったペアレンタルコントロール機能も備えているほか、ルーターのソフトウェアも自動アップデートで常に最新が保たれるようになっており、管理が容易な点も魅力的だ。

メッシュWi-Fiのメリットとは

従来のWi-Fiでは「インフラストラクチャ」という、親機から子機へ階層的に接続する方式をとっていた。インフラストラクチャ方式ではルーターの電波が届かない場合、Wi-Fiの利用エリアを増やすには中継器を使うのが一般的だ。しかし中継器の場合、親機と子機でSSIDが違ってネットワークの切り替えが面倒だったり、ネットワークの下流に行くに従って通信速度が遅くなるなどの問題も生ずる。

  • 従来型のWi-Fiネットワークではネットワークの「穴」が存在しやすかった

これに対してメッシュWi-Fiは、ネットワーク内に配置する複数のルーターで網目のように相互接続を行い、全体で大きなネットワークを組むという考え方だ。SSIDはどこにいっても同一のもので済むし、ネットワーク内のルーターを増やしたり減らしたりしても、ネットワーク側で自動的に最適な経路を探してくれる。まずは1台買って様子を見て、電波の状態が悪ければ1台追加する、という使い方が簡単にできるわけだ。

  • メッシュ型は全体がひとつのネットワークを構築するため、接続しなおす必要もなく、常時最適な電波強度のルーター(ノード)に接続される

また、ネットワークを構築する際に最初から細かく設計する必要がなく、効率よく大きなネットワークを構築しやすい。ベルキンが独自に実験した例では、鉄筋ビルの3フロアぶんを6台のVELOPルーターでくまなくWi-Fiネットワークが利用できるようになったということで、一般的な建築なら2〜3台あれば十分にカバーが可能だろう。

会社や学校、ショッピングモールなどの大きな建物内にWi-Fiネットワークを構築する際にもってこいの選択肢といえる。

  • 従来であれば業務用ルーターを使うような大規模なネットワークでも、最小限の手間と台数で効率よくカバーできる

VELOPは設定が容易な点やネットワークの自動構成機能、スマートなデザインや高性能といった総合力の高さから、海外での多数の受賞歴を誇る製品だ。今自宅や会社でWi-Fiの接続に悩んでおり、メッシュWi-Fiの導入を検討している人は、ぜひ候補に入れてみてはいかがだろうか。