米Microsoftが10月2日(米国時間)にニューヨークで発表し、大いに注目を集めた折りたたみ型のデバイス「Surface Neo」と「Surface Duo」。10月17日、日本マイクロソフトは新しいSurfaceシリーズ、「Surface Pro 7」と「Surface Laptop 3」の13.5インチと15インチを国内発表しましたが、この発表会でSurface DuoとNeoもチラリと実機が披露されました。ほんの一瞬の出来事でしたが、一斉にカメラのシャッターが切られるなど会場が一気にヒートアップし、両デバイスに対する関心の高さがうかがえました。
折って9型、広げて13型相当になるSurface Neo
「Surface Neo」は9インチのディスプレイを2つ搭載した折りたたみ型のデバイスで、360度開くヒンジでタブレットのようにも、本のようにも、また専用のキーボードを使ってPCのようにも使えます。2画面をフルで使うとディスプレイサイズは13インチ相当となりますが、有機ELディスプレイを折りたたむフォルダブルデバイスとは異なり、大画面で映像と楽しむというよりは、2画面を活用して作業を効率化するデバイスといった感じです。
ニューヨークの発表会で披露された映像では、片方のディスプレイのアルバムから、もう片方のディスプレイのOne Noteに、写真をドラッグ&ドロップして貼り付けたり、ペンを使ってそこへ手書きする様子が紹介されました。
ペンや専用のキーボードはマグネットでくっつけられるようになっていて、キーボードを片方のディスプレイの上に端側に寄せてくっつけると、ASUSの「ZenBook Pro Duo」のような2画面PC風に、ヒンジ側に寄せてくっつけるとタッチパッドが現れて、モバイルPC風にも使えるとのこと。プロセッサにはインテルの3D積層モバイルSoC Lakefieldが採用されるほか、Windows10をベースに2画面での操作に最適化した、新しいOS「Windows 10X」が搭載されることも発表されています。
スナップ機能も? 2画面用OS「Windows 10X」
ニューヨークの発表会では、実際の端末を使ってWindows 10Xの簡単なデモも披露されました。起動したアプリの画面は片方のディスプレイにのみ表示されますが、その画面をドラッグして2つのディスプレイをまたぐようにすると、2画面に展開されます。
このあたりの操作性はWindows 10のスナップ機能とよく似ています。左側のディスプレイに表示したメールのリンクをタップすると、右側のディスプレイにブラウザが開くといった使い方も可能で、画面を横に倒せばアプリの画面も横になります。Bluetooth接続の専用ペンやキーボードはマグネットで本体にくっつけることができ、キーボードをくっつけるとそのことを認識して自動的に画面が切り替わるしくみになっています。
5.6型×2画面のSurface DuoはAndroid採用
「Surface Duo」は「Surface Neo」よりもさらにぐっと小さく、バーロゥ氏がイベントでやって見せたようにスーツの内ポケットにすっぽり収まるサイズ。360度開くヒンジの構造はほぼ「Surface Neo」と同じようですが、5.6インチのディスプレイが2つ搭載されています。
単なるサイズ違いかと思いきや、最大のサプライズはOSにAndroidが搭載されていること。マイクロソフトCPO(最高製品責任者)のパノス・パネイ氏は、ニューヨークの発表会で繰り返し、「これは電話ではなく、Surface」と説明していましたが、ちゃんと電話の受発信もできるようです。パネイ氏いわく、単なるAndroidスマートフォンではなく、Googleの協力のもと「マイクロソフトの最高なところとAndroidの最高なところを、どちらも兼ね備えた製品」になるとのこと。
パネイ氏はのちの日本メディア向けのグループインタビューで、Androidを選択した理由について「Androidにはすでに数百万のアプリがあり、顧客のニーズに応えられる」と説明していました。バーロゥ氏も日本でのイベントで「我々は顧客が望むものを提供したいと考えた」と話しています。
2画面アプリでマルチタスク、ペン対応も
ご存じのようにマイクロソフトにはスマートフォン向けOSから撤退した過去があり、またそこに参入することは考えていないということでしょう。今はまだそうなってはいませんが、もしAndroidでもWndowsとまったく同じようにOfficeやTeamsが使えれば、もはやOSにこだわる必要はないということかもしれません。
「Surface Duo」と「Surface Neo」は来年のホリデーシーズンに発売予定。つまり発売は1年以上も先なのですが、こんなに早く発表したのも、すべてはWindows 10XでもAndroidでも、同じように生産性を高められるようなアプリの開発を、デベロッパーに促すためだと考えれば合点がいきます。
「Surface Duo」については、残念ながら「Surface Neo」のようなデモはありませんでしたが、イントロダクションの映像を見る限り、「Surface Neo」同様2つの画面を使ったマルチタスクが可能なようです。専用の物理キーボードはありませんが、仮想のQWERTYキーボードを表示して入力したり、ゲームコントローラーを表示しして、ゲームをプレイしたり、ペンでの手書きにも対応します。
SurfaceにGoogle検索が載る未来
なお、日本でチラ見せされた「Surface Duo」は電源の入っていない状態でしたが、ニューヨークの発表会でパネイ氏が手にしていたデバイスには、ちゃんと電源が入っていました。
詳しい仕様は明らかになっていませんが、開いて右側にくる部分に音量キーと電源キー、SIMスロット、下側にUSB Type-Cコネクタが配置されるほか、ディスプレイ側にはカメラも内蔵されているようです。展示されていた「Surface Duo」には、AndroidデバイスでおなじみのGoogleの検索バーも表示されていました。マイクロソフト製のデバイスに、BingではなくGoogleの検索バーが表示されているのはなんとも不思議な感じです。
2画面のAndoidデバイスといえば、auから発売された「Galaxy Fold」のほか、ソフトバンクからもディスプレイ付きのケースを用いて2画面化できる「LG G8X ThinQ」が発売予定となっています。「Surface Duo」がデベロッパーを巻き込んで、これらのデバイスとどう差別化を図っていくのか、楽しみにしたいと思います。