強力なCPUと統合GPUでホーム・ビジネス分野の性能は十分

それでは、ここからはベンチマークテストによってThinkPad X395の実機パフォーマンスを確認していこう。

CINEBENCH R15のスコアはCPUが681cb、CPU(Single Core)が127cb。CINEBENCH R20のスコアはCPUが1504pts、CPU(Single Core)が375pts。この薄さのモバイルPCでは上位クラスのスコアだ。

  • CINEBENCH R15のスコア

  • CINEBENCH R20のスコア

PCMark 10 Extendedテストでは、Essentialsが7475、Productivityが5780、Digital Content Creationが3621、Gamingが2135だった。ホーム用途想定のEssentials、ビジネス用途想定のProductivityに関しては高いスコアだろう。Digital Content Creationに関しては統合GPUの限界といったスコアで、これ以上を望むならば外部GPUが必須となり、本製品の領分ではないというところか。これはGamingも同様だ。

  • PCMark 10(Extended)のスコア

3DMarkは、Sky Diverが8859、Fire Strikeが2595、Time Spyが923。Fire Strikeの結果のとおり、一般的な統合GPUのイメージである3桁スコアよりも高いが、最新ゲームが快適というほどのものではない。ゲームを楽しむ場合は、Sky Diverスコアのとおりごく軽いDirectX 11ベースのタイトルが妥当だ。

  • 3DMarkの各種スコア

そのあたりをもう少し詳しくゲームタイトルのベンチマークで調べてみた。まずはごく軽量なドラゴンクエストX ベンチマークソフト。ドラゴンクエストXでは最高品質のフルHDとしても7042ポイントの「とても快適」評価が得られ、十分に楽しめることが分かる。一方、より負荷が高いファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマークの場合は、最高品質のフルHD時で「普通」に落ち、720pに落としてなんとか「快適」評価になる。

  • ドラゴンクエストX ベンチマークソフトのスコア。ごく軽量なゲームは問題なし

  • やや重めのファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマークは解像度を下げれば対応できるが、正直ギリギリのところ

十分なモバイル性能で、Xシリーズ中でもコスパよし

ThninkPad X395は、現行ThinkPad Xシリーズのスリムで軽量なボディそのままに、Ryzen 7 PRO Mobile 3700Uを搭載したところがポイントだ。Ryzen 7 PRO Mobile 3700Uはベンチマークのとおりホーム・ビジネスのスタンダードとして申し分ない。パフォーマンスに関してIntel Core搭載モデルと比べても見劣りしないだろう。多少、バッテリー駆動時間などで違いがあるものの、これも実測したとおり、モバイルシーンで求められる時間はクリアしている。

ビジネス向けでは安定性が重視される傾向から、Intel製CPU搭載モデルが選ばれることが多かったかもしれない。ただ、Ryzenも代を重ねるごとに着実に安定性を高めており、ThinkPad X395も同社のRyzen搭載モデルとしては2代目だ。筆者もレビュー中に不安定さを感じることはなかった。すでに、モバイルノートPCの分野でもAMD CPU搭載モデルとIntel CPU搭載モデルは同列に比較検討ができる時代になったと言ってよいだろう。

その上でThinkPad X395は、ThinkPad X390に対して同等構成時の価格が若干安い傾向に見える。最小構成では直販価格で14万円前後、CPUをAMDとIntel双方の「7」のグレード同士で比較した場合でも、ThinkPad X395のほうがわずかにスペックが充実する。こうして見ていくと、ThinkPad X395は予算枠内で最大のパフォーマンスを求める一括導入や、ビジネス用端末を個人で予算を抑えつつ購入するようなBYODに向いていると言えるのではないだろうか。