スーパーキャパシタの選択手順

スーパーキャパシタの選択手順に関しては、2つの主な電気的仕様と3つのシステム仕様があり、前者は定格電圧(VSC)および容量(CSC)です。3つのシステム仕様は、システムの公称電力(VSYS × ISYS)、ブーストコンバータの最小電圧(VSC(MIN))、および電力停止の発生時に必要となるシステムリカバリ時間(tBKUP)です。

これらの仕様によって、スーパーキャパシタの容量値は次のように決まります。

  • スーパーキャパシタの容量値

たとえば、ISC_SYS = 500mA、VSC_INI = 2.7V、VSC_FIN = 1.5V、およびtBKUP = 3.8msの場合、CSCの値は約2.3mFになります。

集積型ソリューション

この設計問題に対する集積型ソリューションの1つの例は、反転可能バックおよびブーストコンバータをチップに内蔵しています。Maxim Integratedの「MAX38888」は、Continuaバックアップ電源レギュレータファミリの最初の製品です。この小型ソリューションは、より低い電力および1つのインダクタのみを必要とする小型形状の提供によって、ディスクリートのソリューションより優れています(図6)。

  • スーパーキャパシタ

    図6. スーパーキャパシタの充電過程はバックDC-DCコンバータを使用し(回路のVSC側)、放電過程はブーストDC-DCコンバータを使用します(回路のVSYS側)

図6で、主バッテリが除去されると、ブーストコンバータはVSYSまたはシステム負荷を一定の電圧に保持し、スーパーキャパシタはブーストDC-DCコンバータへの入力電流および電圧を提供します。バッテリが回路に復帰すると、システム負荷は通常動作に戻り、バックコンバータはスーパーキャパシタを再充電します。このシステムは、規定されたスーパーキャパシタの電圧が必要なVSYSの最小値より低い場合でも動作します。

MAX38888は評価キット「MAX38888EVKIT」を使用して評価可能で、ツールを使用してスーパーキャパシタを選択します。

結論

しばしば誤解されますが、スーパーキャパシタは長期的エネルギーを提供するバッテリの代替品ではなく、また周波数シグナルチェーンのコンデンサやバイパス素子として使用されることもありません。スーパーキャパシタは、数ミリ秒または最大で数分間続く電力の切れ目を非常に効果的に埋めることができます。

バッテリ動作のハンドヘルドコンピュータ、火災報知器、電気メーター、ホームオートメーション、およびカメラは、スーパーキャパシタの非常に大きい容量と非常に低いESRの組み合わせが有効で、一般的なバックアップ電源の問題を解決するための新しい方法を提供します。スーパーキャパシタの機能を効果的に使用するために、バックおよびブーストレギュレータデバイスはスーパーキャパシタとシステム電源レールの間で電力をうまく転送します。この方式は、システムのデータバックアップ時間を数マイクロ秒からより安心な数ミリ秒~数分の範囲へと延長します。

参考文献

MAX38888:2.5V–5.0V, 0.5A/2.5A Reversible Buck/Boost Regulator for Backup Power Applications

著者プロフィール

Bonnie Baker
Maxim Integrated
マーケティング部
主席テクニカルライター

エレクトロニクス技術者であり、「A Baker’s Dozen: Real Analog Solutions for Digital Engineering (2005年)」をはじめとする3冊のアナログ設計に関する本を執筆。Burr-Brown、Microchip、Texas InstrumentsおよびMaxim Integratedにおいて、30年以上にわたりアナログ設計とアナログシステムに関与してきた。アリゾナ大学(アリゾナ州ツーソン)で電気工学の修士号、北アリゾナ大学(アリゾナ州フラッグスタッフ)で音楽教育学士号を取得。アナログ設計の魅力に加えて、500以上の記事、設計ノート、アプリケーションノートの著述を通じて知識と経験を共有する機会を得ている