富士通クライアントコンピューティング(以下FCCL)から、17.3インチという大型ディスプレイを内蔵したノートPC「LIFEBOOK NH」シリーズが登場した。「家族でシェアする大画面」という新しい用途を提案する同シリーズだが、その実力はいかなるものか、レポートしよう。
現代のリビングに合った大画面ノートPC
FCCLによると、スマートフォンの普及により、リビングは「テレビ中心の団らんの場」から、「個人それぞれの時間を過ごす多機能空間」へと変貌しているという。
テレビは流しつつ、スマートフォンやタブレット、ゲーム機などで各々が勝手に時間を過ごしつつも、すぐに話しかけられる場所に人が集まっている、という状況には頷ける人も多いのではないだろうか。こうしたリビングで使われることを前提に、家族みんなで話題になったネット動画やWebページなどを見られるよう、大画面を搭載したノートPCとして開発されたのがこの「LIFEBOOK NH」シリーズだ。
NHシリーズは、これまで一般的な大画面ノートが採用する15.6インチよりもひと回り大きな17.3インチのディスプレイと、光学ドライブを搭載する、いわゆる2スピンドルタイプのオールインワンノートPCだ。バッテリー駆動時間は公称で約4.5時間だが、重量は約2.9kgと、毎日持ち歩くには少々厳しく、家の中を持ち運んで好きな場所で使えるPC、という位置付けになるだろう。ただし、コンセプトとしてはリビングが主な利用場所となる。
ラインナップはCPUにCore i7-9750Hを、ストレージに128GBのSSDと1TBのHDDを搭載した上位モデルの「NH90/D2」と、Core i3-8145Uと、512GBのSSDを搭載した下位モデルの「NH56/D2」の2モデルがある。ちなみにウェブ販売限定モデルとして、メモリやストレージを強化したほか、Windows 10 ProやTVチューナー搭載も選択できる「WN1/D2」が販売される(CPUはCore i7とi3から選択可能)。今回は上位モデルの「NH90/D2」をベースにレビューしていこう。
完成度が高い本体、キーボードにこだわり
17.3インチというディスプレイサイズだけ見ると、かなり大きな本体を想像するが、左右7.7mmというナローベゼルを採用しているため、本体サイズは15.6インチディスプレイを搭載する「AH」シリーズと比べても、ほとんど変わらない。17インチあれば、2~3人で画面を覗き込んでも肩を寄せ合う必要がなく、余裕を持って快適に見られる。解像度はフルHDで、最近流行りの4Kではないが、普通に使う分には問題ないだろう。スピーカーもオンキヨーと共同開発したものを搭載しており、動画やゲームなどでは高レベルなステレオサウンドを鳴らせる。
本体のデザインは、リビングで使用する際にも悪目立ちしない、落ち着いて上質な仕上がり。特にキーボード面は、アルミ素材をベースにかなり凝った作り方をしていることが製品発表会でも言及されており、確かに見た目にも美しく仕上げられている。
キーボードはフルサイズ&テンキー装備のタイプで、キーピッチは広く取られており、配置にも無理がない。キータッチも、利用頻度やホームポジション時に使う指に応じて、押下に要する重さの配分を変えるといったこだわりが見られる。キータッチは個人の好みが大きく関わってくる分野だが、個人的には好印象を持った。
本体底面は樹脂製で、内部にアクセスするためのフタや排気口、シリアル番号の記載されたシールがちょっと目立つのが残念だが、それでもかなりがんばって見栄えに気を使っていると感じさせられた。筆者は常々、薄型モバイルノートではすっきりと美しい底面仕上げになっているので、大型ノートでもそこまで気を配ってほしいと思っているのだが、NHシリーズはギリギリ及第点といったところだろうか。
外部インタフェースは、本体左側には有線LAN(1000BASE-T)、HDMI出力、HDMI入力、USB 3.0 Type Ax2、USB 3.1(Gen.2)Type-Cx1、イヤホンジャック(3.5mm)を、右側にはSDカードスロット、USB 2.0 Type A、光学ドライブを備えている。
ユニークなのがHDMI「入力」ポートを備える点。Windows起動時に限られるが、HDMI接続のディスプレイとして利用できる(これについては後述する)。また、光学ドライブはNH90/D2ではBDXL対応のブルーレイドライブを、NH56/D2ではスーパーマルチドライブを搭載している。