NECは8月5日、空飛ぶクルマの移動環境に必要な交通整理や機体間・地上との通信などを支える管理基盤の構築を本格的に開始すると発表した。取組みの第1段階として、近未来型の空飛ぶクルマにおける機体管理の機能や飛行特性を把握するために試作機を開発し、NEC 我孫子事業場(千葉県我孫子市)に新設した実験場で浮上実験に成功した。

  • 空飛ぶクルマの試作機

    空飛ぶクルマの試作機

これまで同社では、経済産業省と国土交通省が設立した「空の移動革命に向けた官民協議会」に参画するとともに、日本発の空飛ぶクルマの開発活動団体「CARTIVATOR(カーティベーター)」を運営するCARTIVATOR Resource Managementとスポンサー契約を締結し、空飛ぶクルマの機体開発の支援などを進めている。

また、航空・宇宙分野における航空管制システム・衛星運用システムなどで培ってきた管制技術や無線通信技術、無人航空機の飛行制御技術の開発実績および重要インフラ分野でのサイバーセキュリティ対策に関する知見を有しており、これらの技術・知見を活用して、空飛ぶクルマのための新たな移動環境の実現に向けた検討を進めている。

今回、同社が開発した試作機のサイズは全長約3.9m・幅3.7m・高さ約1.3m。自律飛行や機体位置情報把握(GPS)を含む飛行制御ソフトウェアおよび推進装置であるモータドライバなどを新たに開発し、試作機に搭載しており、新設した実験場における試作機の浮上に成功したという。

今後、新たな移動環境の管理基盤の構築を目指し、空飛ぶクルマに関する技術開発や試作機を活用した検証・評価を継続して実施するとともに、CARTIVATORをはじめとしたパートナー連携を強化していく。将来的には地上から空までをシームレスにつなぐ、安全・安心な次世代の移動環境の実現に向けて取り組みを加速していく考えだ。