例えば、Kubernetesプロジェクトを立ち上げた2人が創業したHeptioを買収するなど、

ヴイエムウェアはマルチクラウドの推進を戦略として掲げており、その実現に向け、ポートフォリオの拡充を進めている。今回、米VMware グローバル フィールド&インダストリ担当 副社長 兼 CTO(最高技術責任者)のクリス・ウォルフ氏が、マルチクラウド戦略の最新動向について説明した。

  • 米VMware グローバル フィールド&インダストリ担当 副社長 兼 CTO(最高技術責任者) クリス・ウォルフ氏

同社はハイブリッドクラウドとパブリッククラウドを統合してワークロードを管理するためのポートフォリオを「VMware Cloud」として、さまざまなサービスを提供している。VMware Cloudは大きく「一貫性のあるインフラ」「一貫性のある運用」「ネイティブなアプリケーション環境」を柱としている。

  • 「VMware Cloud」のポートフォリオ

ウォルフ氏は、マルチクラウド戦略における同社の価値について「クラウド、データセンター、エッジに対し、一貫性、選択肢、柔軟性を提供できること」と述べた。

具体的には、オンプレミス、パブリッククラウド、エッジにおいて一貫性のあるインフラと運用を提供することを目指している。「アプリケーションがどこで運用されていても一貫性のある管理を提供するには、柔軟性が必要」とウォルフ氏。

ハイブリッドクラウドの実現に向けて、統合ハイブリッドクラウドプラットフォーム「VMware Cloud Foundation」(以下、VCF)が提供されている。VCFはvSphere、vSAN、NSX、vRealize SuiteといったVMware製品により、データセンター、クラウド、エッジにまたがる 一貫性のあるインフラと運用管理性を実現する。

  • 「VMware Cloud Foundation」の概要

同社が提携しているAmazon Web Services(AWS)、Microsoft、IBMもVCFをベースにクラウドサービスを構築して提供している。AWS上でVMwareの環境が使える「VMware Cloud on AWS」もVCFをベースとしている。同サービスでは、オンプレミスのVMware環境とAWS上のVMware環境においてワークロードの可搬性を実現する。

ウォルフ氏は、VMware Cloud on AWSを利用することで得られるメリットについて、「オンプレミスで稼働しているアプリケーションをクラウドサービス上に移行する場合、通常、6カ月から1年かかる。しかし、VMware Cloud on AWSを利用すれば、コードを書き直すことなく、クリックするだけでゼロタイムでアプリケーションを移行できる」と説明した。

また、「ネイティブなアプリケーション環境」に関しては、Kubernetesによるコンテナ管理に取り組んでいることが紹介された。VMwareはオンプレミス向けの「VMware Enterprise PKS」、ハイブリッドクラウド向けの「VMware Essential PKS」、SaaS「VMware Cloud PKS」という3種類のKubernetes製品を提供している。VMware Cloud PKSは本稿執筆時点でベータ版であり、テスト中だ。

  • 「VMware PKS」の概要

VMwareは昨年11月、Kubernetesの開発メンバーであるJoe Beda氏とCraig McLuckie氏が創業したHeptioの買収を発表した。HeptioはKubernetesに関するトレーニングやサポートを提供している。HeptioのHeptio Kubernetes Subscriptionは、「VMware Essential PKS」に組み込まれている。

ウォルフ氏は、コンテナ分野における強みについて、「Heptioの買収により、Kubernetesの開発メンバーを社内に抱えることになった。オンプレミス、ハイブリッドクラウド、SaaSとどんなクラウドでもKubernetesを利用できる態勢を整えているまた、Kubernetesはクラウドから独立するために使われるものだが、VMwareならそれを実現できる」と語っていた。

さらに、モダンアプリへの対応として、エッジへの取り組みが紹介された。VMwareはクラウドサービスをエッジに拡張することを狙っている。その理由について、ウォルフ氏は「例えば、自動運転を実現するには、エッジにおいてリアルタイムの対応が必要となるが、それにはデータが生成される場所でクラウドが必要となる。これまで、クラウドはオペーレーティングモデルとしてとらえられていたが、今江はビジネスができる環境を提供するものとなっている」と説明した。

VMwareはこれまでエッジをクラウドに拡張する取り組みとして、AWS、Microsoft、Googleと発表を行っているが、ウォルフ氏は具体例として「Azure IoT Edge on VMware vSphere」を紹介した。同サービスによって、VMwareハイパーバイザーがあるあらゆる場所でAzure Iot Edgeサービスを実行することが可能になる。

  • クラウドサービスのエッジへの拡張を推進