英国の新聞「The Sunday Telegraph」(The Daily Telegraphの姉妹紙)は6月1日付け(電子版)で「Dialog Semiconductor boss says Europe has no choice but to side with China in escalating tech war」というタイトルで、英Dialog SemiconductorのCEOであるJalal Bagherli氏へのインタビュー記事を掲載して波紋を広げている。
同氏は、インタビューの中で「(欧州)のエレクトロニクスならびに半導体企業にとって、中国と仕事をしたいか、したくないかに関わらず、すべての製品の生産拠点が中国やアジアにあることを鑑みれば、あまり選択肢があるとは思えない」と語っているほか、6月3日付けのThe telegraph紙(電子版)において、「我々は欧州に本拠を置く企業であり、多くの技術を欧州で開発している。だから、米中間における貿易戦争で生じる問題については、心配する必要はないと思っており、むしろ貿易戦争はビジネスを拡大する機会であるとさえ思っている。なぜなら、中国は米国企業の代わりとなるサプライヤを探しているからだ」と述べている。また、米国政府によるHuaweiへの輸出規制政策により、同じ英国の半導体IPベンダArmがHuaweiとの取引が中止に追い込まれそうな状況についての質問については、語るのも不愉快としてコメントを避けている。
中国は欧州企業にとっても世界の工場とも言われる製造拠点であると同時に、10億人以上が住まう魅力ある巨大市場であるといえる。米国のトランプ政権の諸政策が、結果的に中国と欧州の結びつきを強くする可能性もある。ベルギーimecと中国企業が現在でも、共同開発研究を進めていることからも、欧州の各国政府および欧州に本拠を構える企業のスタンスは、必ずしも米国に追従するだけ、とはいえなさそうである。