NECパーソナルコンピュータが14日、約837gで20時間駆動する13.3型モバイルPC「LAVIE Pro Mobile」を発表しました。特徴は「軽量」「長時間駆動」「堅牢性」の3点です。同社が展開する、2in1で世界最軽量の13.3型モバイルPC「LAVIE Hybrid ZERO」の後継機に当たる製品ですが、このLAVIE Pro Mobileは「世界最軽量は追わない」。14日に開催した製品発表会で、開発の背景が語られました。

  • LAVIE Pro Mobileシリーズ

    5月14日に発表されたLAVIE Pro Mobileシリーズ

令和時代のワーキングPCを作る

NECパーソナルコンピュータでは現在、同社の消費者向けPCを、家庭向けの「Home」、PCを仕事などでも活用する「Pro」、子ども向け・教育向けの「Education」の3カテゴリに分けています。今回発表されたLAVIE Pro Mobileは、「Pro」向けの製品で、テレワークなどを通じて“自分でワークスタイルをデザインして働く”という、令和時代の働き方にあったPCを企画したといいます。

2018年間の国内モバイル市場において、12型以上・1kg以下という「超軽量モバイルPC」の割合は消費者向けモバイルPC出荷台数の19%となる約60万台(同社調べ)。モバイルPC購入者のうち約8割は「超軽量モバイルPC」を選んでいないことになります。NECパーソナルコンピュータ 執行役員の河島良輔氏は、「軽いだけでなく、質感や高級感、剛性、デザイン、バッテリ駆動時間の長さを支持する人々がいて、ここにニーズがある。これを満たさなければ、モバイルPCを買う残りの8割にフォーカスできない」と、LAVIE Pro Mobileが目指した要素を語りました。

  • 1kg以下のモバイルPCは、コンシューマ向けモバイルPCの2割程度を占めるという。残り8割のユーザーに訴求できるPCを開発することが、今回のLAVIE Pro Mobileの狙いだ

  • 軽量化とトレードオフになる「バッテリ」「デザイン」「剛性感」に注力

「900g以下」と「20時間駆動」で購入者の8割が満足

開発にあたっては、仕事で日常的にPCを使う人の生活のなかから、PCに必要な要素をピックアップ。電車移動で「鞄が重い、潰される」ことから剛性や耐久性、オフィスや自宅で作業するときに「性能に不満、キーボードが打ちにくい」ことから生産性(パフォーマンスの高さ)、公共の場で使うときに「デザインに不満、バッテリが持たない」ことからデザインや長時間駆動、といったポイントに着目しました。

重さやバッテリ駆動時間に関しては、同社のユーザー満足度アンケートで「80%のユーザーが満足する数値」をターゲットに設定。具体的には、「モバイルパソコンで欲しいと思う重量」を聞いた結果「重量900g以下」の場合に80%以上のユーザーが満足すると答え、「モバイルパソコンで欲しいと思うバッテリ時間」を聞いた結果「20時間以上」で80%以上が満足すると答えました。

NECパーソナルコンピュータ シニアエバンジェリストの森部浩至氏は、「例えば800gだったり、24時間だったりと、PCがより軽く長時間駆動しても、満足度のパーセンテージは上がらない」と説明。このため、「重量900g以下」で「20時間駆動する」ことを目標に、高級感や剛性、デザインといった、求められる要素を付け加えていったといいます。

森部氏は、LAVIE Pro Mobileで「世界最軽量は追わない」とコメント。「831gで10.8時間駆動する、LAVIE Hybrid Zeroと比べると6g増えたが、バッテリ駆動時間は2倍になった」と、軽さだけでない、総合的な使い勝手の良さをアピールしました。

  • 仕事で日常的にPCを使う人(プロシューマ)の生活の中から、PCに必要な要素をピックアップ

  • モバイルPCは、900g以下・20時間駆動以上であれば、8割のユーザーが満足する

ラグビー選手がタックルしても壊れない

軽さと剛性を両立するため、天板には東レが開発した新構造のカーボンを採用。この新構造カーボンは、ウェハースのように、上下のカーボンの間にコア層を挟んだことで、(同社が従来採用してきたマグネシウムリチウム合金と比べ)厚みは2倍ながら比重は50%となり、約2倍の点加圧剛性とねじり強度を実現しました。

  • 天板には東レの新構成カーボンを採用、天板を薄くしながら強度を高めることに成功した

「LAVIE Pro Mobile」発表会では、LAVIE Pro Mobileの堅牢性を確かめるため、ラグビーチーム「NEC Green Rockets」のフランカー、大和田立選手(身長178cm、体重100kg)がゲスト出演。PCにタックルする一幕がありました ※音が出ます

  • タックルされた後でもLAVIE Pro Mobileは無事に起動!

性能面では、第8世代Intel Coreプロセッサを採用し、ストレージはPCIe接続のSSDでデータアクセス速度の高速化も図りました。デザインはフラット型で、PCを開いたときにヒンジが持ち上がるリフトアップヒンジも導入。これまでのPC開発フローより、デザインの優先度も高めたといいます。

森部氏はLAVIE Pro Mobileを「モビリティ、デザイン、堅牢性、生産性。何も諦めなかったPC」と強調しました。

消費増税とWindows 7サポート終了で需要増を見込む

2019年は、10%への消費増税に加え、2020年1月にWindows 7の延長サポートが終了するため、PCを買い換える大きな需要が生まれると見られています。2014年も同じような状況があり、4月に消費税が8%へ増税し、同じ4月にWindows XPの延長サポートが終了しました。

NECパーソナルコンピュータ 執行役員の河島良輔氏は、「2014年にも大きなPCの需要増があった。今年も大きな需要を見込んでいる」と話し、今回発表したLAVIE Pro Mobileを「オンライン会議やテレワークに使いやすい機能を入れた、令和時代のワーキングPC」と訴求しました。

LAVIE Pro Mobileの詳細はニュース記事「837gで20時間のバッテリ駆動、13.3型モバイルPC『LAVIE Pro Mobile』」やファーストインプレッション「NECPC「LAVIE Pro Mobile」レビュー - 「837gで20時間」の衝撃!! 絶妙にバランスのよい13.3型ノートPC」に詳しく紹介しています。

  • LAVIE Pro Mobileは「PM750/NA」と「PM550/NA」の2モデルを用意

  • NECパーソナルコンピュータ シニアエバンジェリストの森部浩至氏(左)、ラグビーチーム「NEC Green Rockets」のフランカー・大和田立選手(中央)、NECパーソナルコンピュータ 執行役員の河島良輔氏(右)

  • LAVIE Pro Mobileは3色展開。メテオグレー(左)、クラシックボルドー(中央)、フレアゴールド(右)の3色で、色ごとにパームレストの触り心地も異なっている

  • クラシックボルドーの天板

  • クラシックボルドーのキーボード面。キーボードの印字はカラーに寄って異なっている。また、タッチパッドのボタンは一体型だ

  • フレアゴールドのキーボード面

  • メテオグレーのキーボード面

  • 左側面の端子は、セキュリティロック、USB 3.0 Type-C×1(USB Power Delivery 3.0対応、ACアダプタ接続ポート兼用)、microSDXCカードスロット、イヤホンジャック。なお、スペースの関係で通常サイズのSDスロットではなく、microSDスロットの搭載になった

  • 右側面はHDMI×1、USB 3.1 Type-C×1、USB 3.1 Type-A×1

  • 本体内部構成。バッテリは49WhのLバッテリ(3セル)を標準搭載しているが、直販モデルでは33WhのMバッテリ(2セル)も選択可能。Mバッテリの場合、重さは約50g程度軽くなるという